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「昆虫大学」学長 メレ山メレ子さん (1)

メレ山メレ子さんの名前にピンとこない人も、ブサかわ犬“わさお”を世に知らしめた大人気ブロガーと聞けば、俄然興味がわくだろう。旅先で出会った人や動物、日常のひとコマに軽妙な突っ込みを入れ、ブログ読者を爆笑必至の旅に誘うメレ山さんが、近年夢中になったのが「昆虫」。昨年は、虫の気持ちを代弁しつつ虫と虫愛好家の生態を紹介するという、例のない昆虫本を上梓した。本業はメーカー勤務の会社員。その素顔とは・・・。(取材・文=松田 慶子)

 【2015年7月9日】

 
 
わたしの原動力

 

平日は会社員、週末はカリスマブロガー その素顔は東大法学部出身の知性派

――メレ山メレ子さんという斬新なハンドルネームは、どこから?

2006年にブログ『メレンゲが腐るほど恋したい』を始めるとき、タイトルから名前をとりました。わたしよりやや鬱屈しているメレ子という人間が、生活のなかや旅先で感じたことを、妄想も交えて紹介しているブログです。

――ブログは、関西弁をしゃべる鳥や如才ない発言をする猿のような、人間臭い生き物が頻繁に登場し、妄想いっぱいの「メレ子ワールド」が展開されていますね。近年は昆虫関係の記事も多いことから、昆虫のイベントを主宰されているとも聞きます。一方、現実のメレ山さんは東大法学部を出て、メーカーの管理系の職に就かれているとか。さぞご多忙では。

そうでもないですよ。だいたい、週末や長期休暇中に旅行をして、平日の帰宅後や残りの休日にブログを書くというペースです。ただ雑誌連載や昆虫本を執筆しているとき、イベントの準備をしているときは、深夜の3〜4時までパソコンに向かっています。昆虫は見られる時期が決まっているので、それを逃さないために有休をとって取材に行くことも。でもそれ以外はぼけーっとしています。ほかの人より動かないほうだと思いますよ。

本が大好き。自然も大好き! 自分のペースで楽しんだ子ども時代

――どんな子どもだった?

マイペースな子だったと思います。知育に力を入れる幼稚園に入園したのですが、みんなと同じことをするのが苦手で登園拒否をし、別の幼稚園に移りました。その転園先が、“ほったらかし”といえるほど自由な幼稚園だったんです。放し飼いにしていたウサギが、いつの間にか園長室で子どもを産んでいたというほど。かまわれないのが居心地よく、だいたいいつも1人で庭で遊んでいたと記憶しています。
小学生になっても自分のペースで遊んでいました。虫は当時から好き。木登りも好きで、よく登って木の実をとりました。知らない実や草をかじって味を確かめることも。おいしいと思った草を友だちにすすめ、引かれたこともあります(笑)。

――そのころから、自然観察をされていたんですね。

田舎なので、自然くらいしかなくて。本も大好きでした。母が図書館で上限いっぱいまで本を借りてきてくれるんです。それをかたっぱしから読んでいました。中学生くらいまでそんなペースだったと思います。文は、読むだけでなく書くことも好き。絵をかくことも好きだったので、紙をホチキスで留めて、簡単な絵本もつくりました。

――勉強は?

教育熱心な母が買ってきたドリルを毎日やっていました。あと、小学3年生から算数だけは塾に通っていました。

やりたいことを探す学生時代 “わたし”を発信したいと、ブログを開始

――東大法学部に進まれたのは?

わたしが通った高校のコースでは、とくに行きたい大学がなければ東大をめざすのがあたりまえだったんです。法学部を決めたのは、消去法。将来像が全く浮かばなかったので「とりあえず資格を取っておこう、そうしたら世の中から邪険にされないだろう」と、司法試験を受けられる法学部を志望しました。

――実際に入学されてみて、東大はどうでしたか?

 地方の高校にいたときは、勉強だけやっておけばそれなりに居心地よく暮らせたんです。ところが大学で出会った東京出身の子は、勉強だけじゃなく遊びも知っているしお店も詳しいし、家庭の文化レベルも高い。ピアノやバレエも全国大会で活躍する腕前だったり。教養課程のころから自分なりのテーマをもって研究に近いことをしている学生もいる。でもわたしはやりたいことが見つからなくて・・・。空っぽだなという思いがありました。
 大学3年生のとき、友人だけに公開するブログを始めたのも、発散する場所が欲しかったんだと思います。

――自分を出したかったということ?

 そうです。高校のころから、教室のできごとをイラスト入りでノートに書いて友だちに読ませていたので、最初は、その延長線というイメージでした。

Profile

メレ山 メレ子 さん (Mereco Mereyama)

 1983年、大分県生まれ。東京大学法学部卒業。学生時代からブログを始め、メーカー勤務の傍ら、2006年より写真と文章による旅行記『メレンゲが腐るほど恋したい』スタート。2008年、青森県鰺ヶ沢町のイカ焼き店で飼われていた秋田犬を「わさお」と名付けブログで紹介したところ話題となり、わさおが一躍スター犬に。09年ブログが『メレンゲが腐るほど旅したい』(ブルース・インターアクションズ)として書籍化。一方、旅行先で虫の魅力に目覚め、虫に関する雑誌連載や寄稿を行うように。2012年からは昆虫研究者やアーティストが集うイベント「昆虫大学」を主宰。昆虫観察会やトークショーでも活躍。2014年『ときめき昆虫学』(イースト・プレス)上梓。


 

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