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フィンスイマー 長谷川雄太さん (1)

お笑い芸人のチャレンジでにわかに注目を集め始めたフィンスイミング。今回はそのフィンスイミング界の第一人者、長谷川雄太さんにズームアップ。現在、2017年に開かれるワールドゲームズに照準を合わせて練習、強化中です。保持する日本記録は10個、国内で圧倒的な強さを誇りながら、向上心を持続して競技を続けるモチベーションはどこにあるのか? これまでの長谷川さんの歩みを振り返っていただき、その原動力を探ります。
(取材・文=石川哲也)

 【2016年4月14日】

 
 
わたしの原動力

 

フィンスイミングとは?

長谷川選手

長谷川選手が持っているのがフィン。この大きな1枚の足ひれを着けて泳ぐのがモノフィン種目だ。

――フィンスイミングと聞いてもあまりなじみがない方が多いと思うのですが、どんな競技なんでしょうか?

フィンという足ひれをつけて泳ぐ競技です。人魚のような1枚の足ひれをつけて泳ぐモノフィンと、ダイビングのような2枚の足ひれをつけて泳ぐビーフィンの2種類があり、飛び込んでタイムを競いあいます。道具をつけるからスピードが出る。水中最速競技といわれています。
この競技の魅力は、フィンという規格の決まった道具を使うので、体格差によるハンデが小さいところですね。ふつうの競泳だと身長が高いとか、手が長い、足が大きいといった生まれ持った体格で差がついてしまう部分があるんですが、フィンスイミングは努力すればしただけ、記録が伸びる。結果につながる競技なんです。

――フィンスイマーになったきっかけはなんですか。

もともと競泳をやっていたんですが、大学2年生のときに先輩にすすめられて、足ひれをつけて泳ぐなんておもしろそうだなと思って興味本位で始めたんです。そうしたらスピードは出るし、競泳での泳ぎとは全然違う。試合での成績もよかったんで、じゃあ本格的にやってみようということになった。以来、10年の競技歴になります。

いろいろなスポーツに取り組んだ学生時代

――もともと競泳選手だったということですが、水泳はいつから?

3歳のときです。気がついたらやってました。両親とも水泳をやっていたわけではないんです。1988年のソウルオリンピックで鈴木大地さんが背泳ぎで金メダルを獲られて、ちょっとした水泳ブームが起きたそうですが、それにのっかった感じです。だから英才教育だとか、スパルタといったことはなかったです。

――じゃあ子どものころは、のびのびと楽しく泳いでいたわけですか。

そうでもないです(笑)。小学生のときは放課後、週5〜6日はスイミングスクールに通っていましたから、友だちと遊ぶ時間がないのがイヤでした。競技会などで結果が出ていたので続けていましたけど、どうしてもやりたくて、というわけではなかったですね。

――それでも続けたのはなぜでしょう?

いや、実は中学受験をきっかけに、水泳はしばらく休んでるんです。中学校では野球部に入りました。水泳では全国大会に出場していましたから、野球もやるからには甲子園に行くつもりでしたよ。でも1年生のうちは声出しだとか、球拾いばっかり。自分なりにプランをもって自主的にトレーニングをしましたけど、発揮する場がない。それにチームスポーツだから自分だけが張り切っても、仲間がついてこないことにはどうにもならない。どうやらチームスポーツは向いていないなと(笑)、中2の夏でやめました。

――それで水泳をまたやり始めたんですか。

友人に誘われて、中1の終わりくらいから野球と並行してトライアスロンをやっていたんです。トライアスロンは水泳、自転車、長距離走の複合競技ですから、水泳の強化のためにスイミングスクールに戻ったんです。トライアスロンはジュニアオリンピックで3位になりましたけど、競いあえる同世代の仲間がいなかったこともあって、高校からは水泳一本に。紆余曲折がありましたけど、このころにいろいろな競技を経験したのはよかったと思っています。

――長谷川さんは学校の部活動と、スポーツスクールの両方を経験されてますが、同じスポーツを習うのでもそれぞれ特徴や違いはあるんでしょうか。

学校の部活動はあくまでも課外活動ですから、練習できる時間は限られている。その点、スクールはスポーツをするためにありますから、専門の指導者がいて自分が納得いくまで練習することができる。ただ部活動には先輩、後輩の上下関係があるので、あいさつや社会常識を身につけられるというのはありますね。どちらにもよい点があるし、自分に合った環境を見つけることが大事だと思います。

スポーツと勉強の両立

――勉強のほうはいかがでしたか?

中学校のころは、典型的なテスト前の詰め込み型でした。大学系属の中高一貫で上位50%しか大学に進学できなかったので、高2くらいからは危機感をもって勉強し、無事、大学に進めました。

――スポーツと勉強を両立するコツがあったら教えてください。

勉強できる時間が限られてますから、やみくもにやっている余裕はない。いかに効率よく必要な勉強をするかですよね。最終的なゴールを決めて、そこに到達するまでの過程を実行していけばいいんです。たとえば上位50%に入るという目標が定まれば、そのためにどんな勉強をすればいいのか、今、何をしなくてはならないのかは見えてくるはずです。

Profile

長谷川 雄太 (Hasegawa Yuta)

1986年、東京都出身。3歳のときに東京スイミングセンターで水泳をはじめ、小学校時代は全国大会で活躍。早稲田中学進学後は三菱養和スイミングスクールに所属し、トライアスロンでジュニアオリンピックに出場、3位となる。早稲田高校を経て、2005年に早稲田大学スポーツ科学部に入学。2年生のときにフィンスイミングを開始し、2007年の世界選手権で、ビーフィン(2枚フィン)種目で世界選手権決勝に進出、2015年にはモノフィン(1枚フィン)種目のアプニア(潜水)で世界選手権で決勝に進出するなど国際大会で活躍。長水路(50m)、短水路(25m)併せて10種目の日本記録を保持する。会社員として働きながら、2011年にフィンスイミングクラブ「ATHRA Racing Team」を立ち上げプレーイングマネージャーを務めているほか、フィンスイミングの第一人者として普及活動にも力を注いでいる。


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