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<ことばのチカラで自立しよう>

最終回:ことばのチカラで自立する

わたしは自分の気持ちや意見をことばにして伝える練習「ことばキャンプ」を主宰しています。ことばキャンプは度胸力、論理力、理解力、応答力、語彙力、説得力、プレゼン力の7つのチカラのトレーニングで、相手の気持ちに配慮しながらも自分の気持ちを適切に表現できるチカラを育てることを目ざしています。

このコラムでは、そんなことばキャンプのエッセンスやエピソードをお伝えし、ことばによって考え、人とよりよくかかわっていくチカラを身につけていきます。

子どもの自立を促すために、子どものことばのチカラを磨いていきましょう。

【2017年2月23日】


 
 

自立とは他者と調和しながら生きていくこと

子育てのゴールは、子どもが一人で生きていく力をつけること。親の保護のもとから巣立ち、働いて生活の糧を得て自立していくことです。

保護者の方からは、よく「自立した子になってほしい」といった声が聞かれます。

自立とは、身の回りのことができ、経済的に自活できることを指すことが多いですが、一人で生活する力をつけるだけでいいのでしょうか?

ある青年は、親から独立して一人暮らしをしています。でも、人とかかわることを避けて、働き先や友だちと会話することがほとんどなく、部屋にこもって一人で過ごしています。

経済的には自立していますが、「自立」ではなく「孤立」です。

社会で生きていく人間の営みのなかでの自立とは、一人で何でもできることではなく、多くの人とのかかわりのなかで生きていけること。友だちや仕事、地域の人々とコミュニケーションをとり、ときには人に頼ったり人から頼られたりしながら、助け合って生きていくことこそ、自立していると言えるでしょう。自分のやりたいことを考えて行動する主体性をもち、周りの人と調和していく。そのバランスをとりながら生活できることが自立だと思います。

人と調和していけるということは、人を信じることができるということです。人を信じることができるのは、まず自分を信じることができるから。自分を信じられるようになるためには、土台として、自分が価値のある者として認められているという絶対的な安心感が必要です。

こうしたことは、まず親との関係のなかで育ってくるものです。その後、友だちや周囲の大人、親以外の人との人間関係のなかで学んでいくのです。

親に干渉され過ぎたり否定されたりばかりだと、その分だけ自分を価値のないものと感じてしまいます。自分の存在を肯定的に感じることができるように、安心感の土台をしっかり築いていきましょう。自分の存在を十分認められているという実感があるから子どもは安心し、自信をもって周囲の人との調和をはかり、自立できるようになっていくのです。

どうか自立を急がせないで、親やその他の大人や子ども、仲間とのかかわりのなかで育つのを待ってあげてくださいね。

人とかかわり、ともに生きていくことばのチカラ

ことばは、人と人とがつながるコミュニケーション活動において、重要な役割を果たしています。

友だちが遊んでいるおもちゃが欲しいからと、いきなりおもちゃを奪ったらケンカになってしまいます。ことばで自分の気持ちや状況を表現できれば、手をあげるようなことにはならず、譲り合ったり交渉したりすることもできるでしょう。

大人になってからも、ことばのチカラは欠かせません。

ことば一つで人間関係にひびが入ってしまう経験をおもちの方も、いらっしゃることでしょう。ことばの使い方で誤解されたり、ことば足らずだったり逆に言い過ぎてしまったりしてトラブルが生じることがあります。相手の状況や心情を理解して、ことばを選ぶことが必要なのです。気持ちよく人とおつきあいしていくために、ことばのチカラを育てていきましょう!

ことばのチカラの育て方については、このコラムで繰り返し書いてきましたので、ぜひ過去の記事をご覧ください。

ことばのチカラは、人が生き抜いていくために欠かせない、生きていくための武器です。

生まれつきもっている才能だけではなくて、後天的に身につけていくものです。ヒナ鳥が飛び方を練習するように、生きていくためのことばのチカラを親子で一緒に練習していきましょう。

子どもたちが将来、自分の人生の主人公となって、自分らしく歩むためにも、自尊他尊のコミュニケーション力(自分も相手も大事にして上手にかかわるチカラ)を身につけられるようにサポートしてあげたいですね。

これまで2年間ご愛読くださいまして、ほんとうにありがとうございました。

<お知らせ>
高取先生主催の「ことばキャンプ」では「やる気の出ることばかけ」を毎週メルマガにて配信しています。メルマガの詳細と登録方法は「ことばキャンプ」のWebサイトをご覧ください。

「ことばのチカラで自立しよう」は今回が最終回です。今までのご愛読ありがとうございました。

高取先生には、次回4月号の特集で「子どものやる気を引き出すコツ」についてお話を伺います。3月23日(木)の更新をぜひお楽しみに!

高取しづか
高取 しづか (たかとり・しづか)

NPO法人JAMネットワーク代表・「ことばキャンプ」主宰
消費者問題・子育て雑誌の記者として活躍後、1998年渡米。アメリカで出会った仲間や日本の友人とJAMネットワークを立ち上げた。「子どもの自立トレーニング」をテーマに新聞・雑誌・本の執筆や、各地で講演活動を行っている。神奈川県の子育て支援の委員をつとめ、子育てや教育の現場で支援にあたっている。また、東京都と神奈川県の児童養護施設で社会貢献活動を行っている。おもな著書に『子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉』(PHP研究所)、「子どもに英語を習わせる親が知っておきたいこと』(アルク)、『実用絵本 ことばキャンプ』1〜5(合同出版)、『イラスト版気持ちの伝え方』(合同出版)、 『コミュニケーション力を育てる 実践ことばキャンプ』(主婦の友社)など多数。近著は『ダメッ!って言わない 子どもへ good アドバイス』 全3巻(合同出版 )。


 

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