思春期のお子さまとの会話を続けるには?_2016.8

2016年8月25日

カテゴリー : 教育情報全般

思春期のお子さまとの会話を続けるには

中学生になってから急に親子の会話が少なくなったとお悩みの方、話の途中で逃げられてしまった経験のある方は多いのではないでしょうか。思春期の特長を理解することで、お子さまとの会話が弾むようになります。言葉でのコミュニケーションによる成長を促す「ことばキャンプ」を主宰している高取しづか先生にアドバイスをいただきました。

 

高取 しづか (たかとり・しづか)先生

高取 しづか (たかとり・しづか)先生プロフィール

NPO法人JAMネットワーク代表・「ことばキャンプ」主宰
消費者問題・子育て雑誌の記者として活躍後、1998年渡米。アメリカで出会った仲間や日本の友人とJAMネットワークを立ち上げた。「子どもの自立トレーニング」をテーマに新聞・雑誌・本の執筆や、全国で1万人以上に講演を行っている。神奈川県の子育て支援の委員をつとめ、子育てや教育の現場で支援にあたっている。また、東京都と神奈川県の児童養護施設で社会貢献活動を行っている。著書は『子どもが本当に待っているお母さんのほめ言葉』(PHP研究所)、「子どもに英語を習わせる親が知っておきたいこと』(アルク)、『実用絵本 ことばキャンプ』1~5(合同出版)、『イラスト版気持ちの伝え方』(合同出版)、 『コミュニケーション力を育てる 実践ことばキャンプ』(主婦の友社)など26冊。近著は『ダメッ!って言わない 子どもへ good アドバイス』 全3巻(合同出版 )。
▼ホームページ:「幸せになれる子」に育てたいあなたへ

中学生ともなると、いっぱしのおとな。ああ言えばこういう、気分がノッてくれば話すけれど、ふだんはダンマリ。不機嫌、不愉快のとげとげオーラをいっぱい出すくせに、まだまだ子どもっぽく甘えたりする。とっても扱いにくい年齢ですね。
とはいえ、将来の受験を視野に入れて勉強に身を入れなければならない時期であり、部活にも時間をとられて忙しい、親としてはハラハラしどおしではないでしょうか。
そんな難しい思春期の子どもたちと、どんなコミュニケーションがとれるのか、子どもに届く声かけについて考えてみましょう。

 

◆「勉強しなさい!」を言わない

以前『10代で育てる「じぶん表現力」』(2005年 主婦の友社)という本を出しました。そのとき中学生に「親に言われてイヤだったこと、うれしかったこと」についてアンケートをとりました。(神奈川県の中学1~3年133名)
すると「うれしかったこと」の少なかったこと!ほんの数個でした(「背が高くなったね」「今日の演奏よかったね」「試合がんばったね」「はい、おこづかい!」 )。
それに比べて「イヤだったこと」がたくさん書かれていました。それも「!!!」がいっぱい!親にはそんなつもりはないでしょうが、子どもたちは「ガミガミ」言われていると感じている様子が伝わってきました。
親に言われてイヤだったことの第1位は、ご想像のとおり勉強に関することでした。「勉強やっているの?」「宿題終わったの?」「成績をあげなさい!」「高校行けないよ!!」叱咤激励のことばが並びました。第2位は「早く早く」とせかすことば。第3位は、だれかと比較されることでした。
どこの親も子どもの成績は気になるものです。宿題をやっていなかったり、Z会の答案がたまっている光景を見ると、「どうしてやらないの!」とついつい言ってしまうのもわかります。
でも、口を開けば勉強のこと、ではイヤな気持ちはマックス!「うっせーな」ともなってしまうでしょう。子どもとのコミュニケーションの糸口さえもつかめなくならないように、ここはできるだけ「勉強しなさい」ということばはガマンしてみてくださいね。
中学生ともなれば勉強しなければならないことはわかっているはず。「わかってるよね」と信頼を寄せ、むしろ何も言わない方が、子どもには緊張感を与えるかもしれませんよ。

 

◆思春期の子どもと会話するコツ

思春期とは、子どもから大人への移行期間です。「もう子どもじゃない!」干渉され、子ども扱いされることに抵抗します。それは思春期の特長が「自我」の増大だからです。「あなたにはあなたの考えがあるんだよね」と認められることを望んでいます。子どもを一人の人間として尊重する話し方のポイントを3つあげてみました。

(1) 子どもの話を聞く
反抗期の子どもであっても、本心は親と話をしたいし話を聞いてもらいたいと思っています。まずは、否定せずに聞くこと。自分の考えをもつようになった子どもの話を「そうなんだ」「そう思ったんだね」キミにはキミの考えがあるんだよねと受け止めて、聞き役に徹して聞くことです。
その上で伝えたいことを伝えます。しっかり話を聞いてもらったら「自分のことをわかってくれている」と、苦いことばも受け止められるようになるのです。子どもの方から、心を開いて話をしてくれるようになるでしょう。
(2) よその大人と話すつもりで話す
ポイントは大人扱いすること。わが子には遠慮がないですから、ぞんざいな口調になってしまいます。「さっさとやっちゃいなさい!」と子どもに言えても、近所の方には「そろそろお時間ですよ」と気を使って言いませんか?繰り返しになりますが、思春期の子どもは尊重されたがっています。よその大人に話すように話しかけられると、聞く耳になります。不自然にならない程度にやってみてください。
(3) 子どもを認める
多くの親は、子どもの生活を見ているとダメなところばかりが目についてしまいがちです。親は欲張りですから、「もっともっと」とさらに上を望んでしまうのです。
子どもたちはすでに十分がんばっているのです!
すでに「できていること」「がんばっていること」はたくさんあるのに、そこをスルーされ「もっと!もっと!」と言われたら、ガッカリです。
認めるところがない!と言うあなたにおススメなのは要求水準を下げること。100%を望まず10%でもできていることをみつけるのです。毎日学校に行っている、部活をがんばっている、ご飯をたくさん食べている、宿題を自分からやった・・・いいところを探そうという視点で見ると、かならずいいところが見つかります。

子どもとのコミュニケーションの糸口は、些細なことでいいのです。「おはよう!」「おかえり!」毎日の声かけ、ご飯をいっしょに食べる、いっしょにテレビをみる、他愛もない話で笑い合うこと。お説教よりも、親の失敗話やドジなことならおもしろがって聞いてくれるでしょう。
将来の受験に向けて勉強に身を入れなければならない時期。日頃の親子の会話があれば、大事なことを伝えたいときに親のことばは子どもに届きます。あきらめずに、子どもとのコミュニケーションを続けていってくださいね。

 

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