これから「どうしたら勉強ができるようになるか」というお話を書いていきます。こういう書き方をすると、すぐに勉強法だなとお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。とくに中学生高校生の方。もちろんそれは大切なのですが、それ以前に勉強に向かう心は、方法論以上に重視する必要があります。
わかりますか? 何をやるか以前にどのようにやるかということを真剣に考えないといけない。1回目はそのあたりをお話します。

あなたが柔道部に所属しているとしますね。後輩が練習している。よく見ると柔道着ではなくパジャマで練習しているではありませんか。さらに床の上にはいろいろ余計なもの――コミック類だとかお菓子だとか――が散らばっている。先輩として注意しませんか。その格好は何だ、その散らかりようはどうしたことだと。
仮に後輩が「パジャマだって動きやすいからいいじゃないですか」と答えたとします。あなたはきっと呆れるでしょう。と同時に、内心こんな気持ちでは強くなれっこないと思うはずです。

勉強も同じです。自宅で勉強されるときに、だらしない格好で散らかった机で半分遊びながらの「ながら勉強」をしているのであれば、パジャマ姿で散らかった床で練習をしていた後輩と同じです。この記事を読みはじめた時点では、どなたもそんなひどい後輩いるわけがない! と思われたでしょう。しかし、勉強のときパジャマ姿のまま散らかった机で友だちとメールなんかをさかんにやりとりしながら作業している中学生高校生を私はたくさん知っています。

単に形を整えろというのではなく、形によりそう心を大切にしなさいということを伝えたいと思います。真剣に臨む心を作る。何をするのもまずそこですよ。柔道着、剣道着、野球やサッカー選手のユニホーム・・・きちんと身につけることで「さあ、やるぞ!」と心を作る。
きちんとした格好で整理整頓された机に向かい勉強の最中はほかのことをしないというのは基本中の基本です。これまでのことはもういいですよ。本気でやるのであればこれからはそうしてください。勉強の前に、ご自身と周囲の状況を確認する。勉強の心を作る。そこからスタートです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。