前回は最初の心構えについて書きました。
さらに心構えについて追加の話を書いておきます。何年か前、ある難関女子高校の副校長先生に次のようなお話をうかがいました。
いよいよ大学受験が近づいてくるとその高校も皆さん、必死です。医学部に進学される生徒が大量にいらっしゃるので、受験が近づいてくるとそれこそ「寝る間を惜しんで勉強」という感じになってきます。するとどういう現象が起きるか。

ときどきもう見てくれはどうでもいいという生徒も出てくる。もちろん制服は着てくるのですよ。ただ髪は乱れているしお風呂どころかシャワーを浴びる機会もないというような状況にもなってくる。
でもね、と副校長先生は笑顔でおっしゃいました。毎年きまって最上位にいるような生徒がみんなにやんわりとアドヴァイスしてくださるそうです。きちんとしようよ、私たちりっぱなお医者さんになるのだからと。「みんなはっとしますよ。そうだ、自分たちは何から何まで一流を目指すのだったと思い出すのですね」と先生はおっしゃっていました。

お話を聞いていてわかるような気がしました。いまのあなたは将来の理想のあなたとつながっています。理想はお医者さんでも何でもいいですが、とにかく別人ではない。もし理想のあなたと現在のあなたが著しく違っているのであれば、どこかおかしいと思いませんか。おかしいだけでなくそのままでは理想に行き着けない可能性が出てくることに気づいてください。
一流の高校で大活躍しているあなたとまあ少しぐらいサボってもいいやと今日を無為に過ごしてしまったあなた。つながりますか? つながらないとしたら、いつつなげるのですか?

いよいよ受験生になったら・・・などというのではたった一年しか理想のあなたに近づかないことになります。それでは到底理想そのものまではたどり着けないでしょう。
どうすればいいか。いま、この瞬間から意識してください。一流校に不勉強な人は似合いませんね。つまり一流校に入りたいというのであれば、勉強する人になるしか選択肢はない。勉強する人としての生活を、この瞬間からスタートさせるしかないと覚悟を決めてください。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。