先日、保護者会で数学の先生が面白い話をされていました。今日はそのお話を書こうと思います。
みんないい生徒ばかりである。大人しく授業を受けている。何も問題はないようにも見える。ところがじつはこうしなさいという教えを「正確には」守らない。反抗的で守らないわけではなく、言われた通りにやらなくてもうまくいくだろうと勝手に解釈して省エネみたいなことをする。

例に出てきたのがy=2x2というやつでした。xが−1から2までの値をとるときにyの値はどうなるか? 先生は必ずグラフを書いてから解きなさいと教えている。ところがこんなの書かなくても・・・と甘く考えて書かない。書かないで式に数値を代入して2〜8という誤答を出す。
グラフをきちんと書けば放物線が0を通るということがひと目でわかります。どうして言われた通りにやらないのかと聞くと「できると思って・・・」と答える。

悪気はないのです。しかし、やりなさいと言われたことはきちんとやらないといけない。そんなにむりなことを要求しているわけではありません。
国語にしても漢字テストがあまりにも悪かった生徒に「本当に三回ずつ練習したのかね」と質問することがあります。必ず三回は書こうと言っています。照れ臭そうに書きませんでしたと答える。忙しかったと答えるのですが、本当はそうではないですよ。3回ずつ書いても十数分で終わります。一週間に十数分も取れないわけがないと思いませんか。

どの教科でも同じです。言われた通りにやらなくても何とかなると勝手に考えてしまう。そして、例外なく楽なほうへ楽なほうへとやり方を変えていきます。それで確かに何とかなる日もあるかもしれませんが、ならない日も出てきてしまう。「ケアレスミスだから」とごまかし続けていては進歩がありません。
初心のうちは自己流を取り入れてはいけないのだぐらいに考えてください。習った通りに、正確にやりましょう。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。