最近ちょっと心配なのですが、そもそもエネルギーの欠如している子どもが増えているように思います。勉強がいやというより、何をするのもおっくう・・・みたいな感じ。エネルギーそのものが若干枯渇気味なのです。
そういうのは、おおむね生活から来ています。疲れている。理由はいろいろあるでしょう。肉体的なものより精神的な要素が大きいかもしれません。友人関係であるとか学校の部活であるとか。勉強以前に、整理できることは整理してみてください。

いやいや部活をやっているという中学生がいました。本当はやめたい。やめたいけれどもやめると友だちにばかにされそうな気がする。それで週に何回もいらいらしながら気が向かない練習に出ているというのです。
そんな状態では勉強どころではないですよ。大人だって心配事を抱えていては仕事が手につきません。まして中学高校生の方ならなおさらでしょう。その生徒の場合、思い切って部活をやめたら状況はうんと改善しました。

すべての変化は成長という側面を持っているのだということに気づいてください。はじめは楽しいと感じていたことが苦痛になってくる進歩や成長だってありえます。「一度決めたことだから」と歯を食いしばってやり通すのはもちろん自由ですが、乳歯が抜け落ちるように自然に離れていく選択肢があってもいいと思います。
たとえば一般的に大人は子どもほど大声で走り回ったりしませんね。自然とそうなったわけで、その自然さは責められるべきものではありません。

人それぞれ成長速度が違う。だから友だちもくっついたり離れたりする。一度友だちになったからといって死ぬまで親友でいなければならないという義務はありません。お互いの目指す方向や趣味が違ってきても、別の人格なのですから当然ですね。
ご自身の本当の気持ちに耳を傾け、生活を整えてください。スケジュールをたてるのはそれからです。気持ちよく勉強に入れる環境作りはとても大切だと思います。


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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。