全人的なものが試されていると考えてください。これはとくにご本人に強調したい。点数「だけ」を何とかしようという発想そのものが幼いのです。ぜんぶしっかりしてくる過程で、勉強「も」できるようになるのですよ。
いよいよ夏休みに入るわけですが、日々の生活をどこまでしっかりさせるか、そこが肝心です。どれだけ勉強するかではないですよ。生活自体をきちんと構築していけば、必然的に勉強はできるはずです。

朝は早めにきちんと自力で起きられるか。午前中に少し稼いでおかないと勉強時間はどうしても足りなくなるものです。とくに受験生の方。昼ぐらいにのそのそ起きてきて、さあ効率よく勉強を・・・などという姿勢そのものが学力不足の原因なのだと気づかないといけない。
夜もまただらだら起きていてはいけないということです。気分転換は必要ですが、朝起きられないほど深夜まで起きていてはいけない。

夜眠れないから朝起きられないという人がいますが、朝は何が何でも早く起きる。三日続けてごらんなさい。夜はひとりでに早く眠くなるはずです。
学校に行くとき毎朝7時に起きるとしますね。夏休みも同じように7時に起きるのは苦行でも何でもないはずです。それから食事をしてうんと休憩しても9時には勉強がスタートできます。まず3時間稼ぐ。夜の11時に寝るとしてもあと11時間あります。受験生の方は、仮に半分は他のことをしていたとしても日に8時間以上の勉強時間を確保できますね。

そうしたことを自分で考えられるようになるのが全人的成長です。もちろん8時間行き当たりばったりの勉強ではいけません。どの時期に何をするか、計画をたててください。どの科目もきちんとやる。好き嫌いをなくす。不得意科目という言葉に逃げこまない。
塾や通信の教材を組みこむいい機会ですね。学校以外の勉強をする。まとまった本を読む。それもまた大きな勉強です。インターネットやスマホなどは管理しましょう。自力でできなければおうちの方にお願いする。これはかなり重要なことだと思いますよ。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。