こういうことを考えてみてください。ちょっと面倒な感じの英単語、たとえばFebruaryを覚えなければいけないとします。あなたも覚えなければいけないし、優秀なお友だちも覚えなければいけない。明日の試験に出る。どうやって覚えますか? 見ているだけでなく手を動かして実際に書いたほうがいいですね。声を出して発音しながらFebruaryと書く。一回だけですか? 何回か書いてみましょうか。で、さらにFebruary、Februaryと書いてみる。

覚えましたね? 優秀なあなたのお友だちもまったく同じことをしています。かけている時間もほとんど同じです。で、仮に明日試験があれば――試験直前も見直したほうがいいですが――あなたもお友だちもおそらくFebruaryと正解をもらうでしょう。
まったく同じことをしたのでまったく互角の結果が出ました。私が言いたいのはこのあとです。1つだけの単語の試験なら互角なのになぜ20語、30語、40語になると差が出てくるのですか?

100語ならもっと差がつく。それこそ入学試験ともなるとさらに差が開く。だってあいつは頭がいいし自分は頭が悪いからと逃げる人がいます。本当にそうでしょうか。
本当の理由はそうではないですよ。成績のいいお友だちはFebruary の苦労を100語なら100語全単語で行った。あなたはFebruaryだけは確かに熱心に練習したものの、100語すべてについては同じような努力をしなかった。場合によっては見ただけだったり発音しなかったり省エネになってしまった。違いますか?

できるできないというのはすべてこうした心構えの差です。一つの単語では成功できたわけですから、それをすべてに貫き通せばよかったのです。やり方は知っているわけです。あとはきちんとぜんぶひたすらこなすというあたりまえのことができるかどうか「だけ」なのです。
ときどき自分はやってもだめだと決めつけている人がいます。あいつ(優等生)みたいにできるようになるわけないよ。ただ実際はやっていないわけですから、「やってもだめ」ではないのは確かです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。