同じ教科書、テキストを使って同じ先生の授業を受けているにもかかわらず違いが出てきてしまうのは、授業の受け方の周辺に大きな差があるからです。そこは意識的に上手になってくださらないと困ります。意識的にです。
ただ「静かに座っている」などというのはまったく意識的とは言えません。もっと能動的に「求める何か」を意識して授業に臨んでください。そのためには何が必要ですか?次の授業で何をやるのかという下調べ(=予習)は最低限欠かせないですね。

授業を受けるときは好奇心を持って話を聞いてください。ときどきノートを写すことばかり夢中になっていて、話を聞いていない人がいます。そうではなくしっかり聞いて、これだけは書いておこうというものを厳選するようにしてください。自宅にもどってから改めてノートの整理をしている方もいますが、そこまでやればもちろんできるようになるはずです。ノートの整理は何よりもいい復習になるからです。
そうですね。復習というのは習ってきたことの確認と再構築にあります。

先生が繰り返し音読しておきなさいとおっしゃることがあります。繰り返しというのを2、3回でいいやと思う人もいます。5、6回ととる人もいます。10回以上と考える人もいます。複数の先生に質問してみたらいいのではないですか? 英語の教科書を何回繰り返し音読すればいいのですかと。先生によっておっしゃる回数は違うと思いますが、いちばん多かった回数を採用するべきでしょう。「覚えるまで」と告げられることもあるかもしれませんね。暗記するぐらい繰り返しなさいということです。

英文だけではないですよ。短歌なんかも教科書に出てきたものは、本当はぜんぶ暗記するべきです。昔の優等生の勉強法は――いい塾や参考書などなかなかありませんでしたから――教科書の丸暗記でした。文章を冒頭から末尾まで覚えてしまう。やり終わったらひたすら繰り返す。
いずれにせよ、授業を受けているだけではいけません。授業の前後が大切なのです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。