生徒がいわゆる過去問を解いているのを見ていて感じることがあるのですが、復習する時間があまりにも短い人がいるのでちょっと本当の目的を考えてほしいとも思います。50分なら50分かけて問題を解きますね。終わりきらなかったところがあった。作文なんかはそうかもしれません。残念だったということでマルやバツをつける。わかる範囲で得点も入れてみる。だいたい70点か、もう少しほしいかな・・・で、終わりにしてしまう人さえいます。

本当はそこからですよ。やるべきことが出てくるのは、そこからです。
問題を演習すること自体は勉強というより「診断」だと思ってください。ご自身がどれぐらいとれるのかといういわば健康診断です。
できなかった(終わらなかった)ところこそが治療すべき箇所で、そこをじっくり治すことであなたははじめて完全な健康体になれます。放置しておいたら何も変わりませんし、ひょっとするとひどくなるかもしれない。ひとりでに治癒することはめったにありません。

終わりきらなかったところはぜんぶ埋めてみてください。作文は10分ぐらい制限時間を設けて実際に書いてみる。10分で終わらなければ、どこをどう変えていったらうまくまとまるか作戦をたてないといけません。そしてさらに書く。
暗記するべきものが覚えられていないようであれば、当然練習が必要です。べつのノートで練習してください。覚えるまで練習することです。

ときどき問題集を片っ端からただ解いているだけの人がいます。解いたあとにきちんとやり直しをしていない。たとえば数学の問題を解いたとしますね。解けなくて、解答を見て何とか理解できた。本当に理解できたと思ったところで、すぐに解答解説を見ないで解き直してみることです。
時間がかかるようであれば翌日にはもう忘れてしまうかもしれません。翌日も念のためにもう一度解き直してみる。それが勉強です。

健康診断は健康法ではありません。健康診断の結果で何をどうするかを決めるべきだということです。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。