下條隆史校長先生

多摩地区における都立の名門校として、長く伝統を築いてきた立川高校。「多摩に立高あり」との誇りをエネルギーの源に、世界で活躍する社会のトップリーダーを数多く輩出してきました。
現在、進学指導重点校としてさらなる「高い志の実現」を目指し躍進を続ける立高はどのような生徒を求めているのか、校長の下條先生に伺いました。
(文・吉田真理)

東京都立立川高等学校 校長 下條隆史先生
【略歴】東京理科大学数学科卒業。数学教師として都立高校の教壇に立った後、文京高校、駒場高校で副校長、東村山西高校で校長を務め、現職として5年目。その他、東京都高等学校情報教育研究会や全国高等学校情報教育研究会の会長を歴任し、現在は東京都高等学校数学教育研究会会長、日本数学教育学会副理事長を務める。


東京都立立川高校

1901年(明治34年)東京府立第二中学校として多摩地区の期待と支援のもとに開校した、創立114年を誇る伝統校。
「トップリーダーとして活躍する志の育成」「難関大に合格できる学力の養成」「人と関わる力や豊かな心の育成」「自主性と自律性の涵養」を教育の中核に置き、「高い志の実現」を目指して熱意あふれる指導を展開している。授業はもちろん部活や行事も非常に活発で、生徒は学業のみにとどまらないトップリーダーとしての資質を磨く。
今年度も難関国立大学に多くの合格者を輩出。さらなる成果が期待される。

▼東京都立立川高等学校公式Webサイト
www.tachikawa-h.metro.tokyo.jp/

基礎基本を確実に身につけることが第一

本校のカリキュラム上の大きな特色は、3年間全員が数学を学ぶこと。さらに地歴3分野(世界史、日本史、地理)、公民2分野(倫理、政治経済)、理科4分野(物理、化学、生物、地学)も、全員が学習することになっています。

高校での学習は社会に出た時の知識基盤です。できるだけ多くの様々な知識があればこそ新しいものを創出できるのであり、無からは何も生まれません。そのため本校の学習では幅広い分野での基礎基本を重視。学習指導要領に示された学習内容は在学3年間で一通り学び、社会に出たとき役立たせることができるよう、知識の活用の仕方を身につけます。

中学生諸君も、まずは中学校段階の基礎基本を確実に身につけてください。教科書はバイブルです。
無駄なことは記述していないが、逆に必要なことはしっかりと記述してあります。残念なことに、多くの受験生は教科書をうわべだけ眺めて、あとは記憶したり、問題を解いたりすることに専念しがちですが、その前に教科書の内容を読み込むことが大切なのです。そして教科書を読んで、少しでも疑問がわいたら、そのままにしておかず、興味を持って調べてみましょう。
教科書に記述してあることは必要最小限、その奥にもっと大きな世界が待っているに違いない。―そういう経験のできる受験勉強こそが最良です。

立高生は114年の伝統を土壌に育つ

立高は創立114年の伝統を誇る学校です。この伝統こそが、他校にはない最大の特色と言ってもいいでしょう。
紫芳会と呼ぶ同窓会の支援は非常に大きく、卒業生は惜しみなく後輩に力を貸してくれます。また、自主自律の校風はもちろん、部活や行事にも様々な伝統が息づいています。新入生はこの伝統という土壌の上に新たにまかれた種として育ち、入学と同時に卒業後の人脈まで手に入れることができるのです。

今年度、新しい試みとして、同窓会と学校とのコラボによる「立高時代塾」を開校することになりました。
社会で活躍する卒業生を講師として招き、講演を拝聴したうえで、グループに分かれて演習、発表、討論を行い、思考力、判断力、表現力を養成します。
目の前の大学受験だけを考えるのではなく「次代を担う志」を持つことを促し、真のエリートを育成することが目標です。在校生も卒業生も教員も一丸となって立高というチームの力をさらに高め、いずれは日本を、そして世界を引っ張っていくだけの存在になりたいですね!

「立高時代塾」、入学したらぜひ参加してください!

「思考力向上プロジェクト」で主体的に考える生徒を育成

中学時代と違って、高校では主体的に学ぶことを要求します
主体的に学ぶということは極めて大切であるとわかっている生徒が多いと思いますが、実際にできている人は少ないでしょう。本校では、自分で考え、自分で課題に挑戦する学びを推進しています。とはいえ、自分一人ではなかなかできないことなので、チームでの取り組みを行っています。

現在、本校では「思考力向上プロジェクト」を立ち上げ、新しい大学入試制度にも対応できる学びを研究しています。いかに生徒を主体的に活動させるかを目標に、「教え込む」のではなく「思考させる」授業を展開。大学入試の対策のためだけでなく、立高の能力が高い生徒たちにとって、社会で活躍できる力を養いたいと考えています。
社会では、数学のように「0」か「1」で正解が出るわけではなく、100%満足できる正解はないことの方が多いでしょう。むしろ、地域や人やお金など様々な条件を加味して、その中でよりよい解答を見つけて物事が進んでいくものです。そういう学びの基礎を立高で身につけてほしいと思っています。

入試では記述力と論理的思考力を重視

本校の入試は「記述に手をつけなければ合格できない」問題です。
つまり答えだけではなく、なぜそうなったかを論理的に説明できなければいけないということです。数学では空間認識力と関数を重視。ミスのない計算力と速く確実な処理能力を前提とし、その上で論理的思考力を求めます。また、まず全体を見通してから考えるということも重視しています。国語と英語の長文読解は、全文を読まなければ解答できない問いがほとんどです。

社会に出たら、論理的思考力や全体を見通す力は必須です。入試問題は、入学後、そうした力をさらに磨いてほしいという我々からのメッセージでもあるのです。

何事にも果敢に挑戦できる生徒なら、立高で必ず資質と能力が開花する!

いつも「挑戦できる生徒に入学してほしい」と話しています。さらに「勉強することが苦にならない生徒」、そして「協力することを惜しまない生徒」であることも大切です。

立高の教育水準は高く、どんな質問や相談にもこたえられる教師陣がそろっています。
また、本校には難関国立大学(東京大学、一橋大学、京都大学、東京工業大学、国立大医学部)合格を視野に入れたカリキュラムと合格させるためのシステムがあります。
何事にも果敢に挑戦できる生徒なら、立高で必ずその資質と能力が開花するはずです。

ぜひ、立高で自分自身の「高い志の実現」に向けて、私たちとともにがんばってみませんか。来春、お会いできるのを楽しみにしています。

-----------------------------下條先生、ありがとうございました!-----------------------------

下條校長先生からのメッセージ

下條校長先生からのメッセージをいただきました。
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一以貫之(いつもつてこれをつらぬく)

最後まで自分の志(志望校)を最後まで貫いてほしい。
どんな難問にも必ず答えがある(「下町ロケット」より)。
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Z会は、志望校合格に向かって努力するみなさんを応援します。
一緒に頑張っていきましょう!

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