教員養成教育への取組(後編)
2005.07.08
学力低下や学級崩壊など、教育に関する問題が深刻化する中、いかに質の高い教員を養成するか、に関心が寄せられています。Weekly Eye-zでは教員養成教育の現状と、それに対する文部科学省などの取組について、2回に分けて解説していきます。
後編では、教員養成の専門職大学院を取り上げます。
教職大学院の概要と設立の背景
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教職大学院とは
中央教育審議会
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は、教員養成のための専門職大学院(名称は『教職大学院』)を2007年4月開学に向けて検討を進めている。「専門職大学院」とは、法科大学院や会計大学院のように、高度な専門知識を備えた人材を育成する教育の場である。教員のための専門職大学院とはどのようなものなのか、現時点で判明している構想をもとにまとめた。
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中央教育審議会(中教審)
教育を取り巻く課題を検討するために文部科学省に設置された審議会。ここでの提言が立法化されていく。教育行政へきわめて大きい影響力を持っている。
【教職大学院の概要】
誰が通うのか?
現職の教員、大学学部の卒業者、教員免許を持たない社会人など
何年通うのか?
原則2年間だが、在学中に学部の教職科目を履習できる3年間のコースもあり
得られる学位は?
「教職修士(仮称)」
給与面で優遇される、新任教員は初任者研修を免除される、などのメリットあり
どこに設置されるのか?
教員養成系学部、教職課程を備えた国立大学を想定
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どうして教職大学院が必要なのか?
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実践的指導力を持つ教員の養成
教員免許を習得し、採用試験を通れば教壇に立つことは可能だが、実際の教育現場で起こっている問題を解決する能力を持ち、柔軟に対応できる教員が不足している、と指摘されており、具体的には不登校、いじめ、学級崩壊、学習障害を持つ生徒などの様々な問題に対応できる、実践的な指導力を備えた教員を養成する教育の需要が高まっている。教職大学院では、生徒や保護者から「この先生なら安心して受け持ってもらえる」という信頼を得られるような、「質の高い教員」の養成を目指す。
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教員数増加に向けて
大量採用世代である、現在40歳〜50歳代の教師が一斉に定年退職する時に備え、教員の数を増やす必要性があるが、若手の教員を多く採用するとなると、各地域で指導的立場に立てる、経験豊富な教員が不在となる恐れがある。教職大学院では、各地域でリーダーシップを発揮できる教員の養成を目指していて、学部の卒業生を即戦力のある教員に育てる。また、現在教職を持たない社会人にも門戸を開き、幅広い人材を教員として登用することも目的としている。
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教職大学院の教育内容
「教職大学院」では、以下のような教育現場の現状、現在の教員教育の問題点を考慮し、カリキュラムを計画している。
◆教員養成教育の問題点◆
・講義が中心で、演習・実習が不十分
・実際に教員として働いたことのある経験者による指導が少ない
・大学で学んだことが、教育の現場で活かし難い
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教職大学院で行われる教育内容
カリキュラム
全員が学ぶ「共通科目」
教材研究、授業計画、生徒指導など
「コース別選択科目」
心理学、集団学習論など
必要によっては、現地調査や実務実習も行う。
「連携協力校」制度を設け、実習校を確保する。
指導者
「実務家教員」
校長経験がある教師などを起用。教員にとどまらず、生徒の非行問題などに詳しい家庭裁判所の調査官経験者、医療・福祉施設関係者、経営指導のための民間企業関係者なども含める。教職大学院の専任教員のうち4割以上がこの「実務家教員」で占めるべき、という提案もある。
単位数など
卒業に必要な単位数を45と想定する。そのうち10単位を教育実習に充てる。これは約10週間程度の期間になる見込みで、現在の教員養成課程(1種免許状の場合)で必要とされる教育実習の2倍以上にあたる。
「教職大学院」の問題点
「教職大学院」設立の計画は、2007年度開学に向けて進められているが、様々な問題点も指摘されている。
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教職大学院の設置数、教員数について
専門職大学院は、1校に必要な教員数など、設置条件の基準が高いため、限られた大学にしか設置されないのではないかと危惧されている。また、教員数に関しては、現在の教員養成課程や教育学部に属する教授も充てることになり、「実務家教員」を投入して数を増やすとしても、十分な教員が配置できるのか、課題となりそうだ。
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設立の意義について
教職大学院は、より優れた教員養成の場であり、教員になるために必ず通らなければならないルートではない。また、修了することで、学校現場で具体的にどのような優遇処置がとられるのかも、これからの検討次第である。2007年度開学が近づくにつれ、明らかになっていくであろうが、どれだけ対象者を引き付けられるかがポイントになるだろう。ここ数年は、教員需要が高まり、学部卒業者の教員採用数が増加している。2年以上遅いスタートとなっても進学したい、という意欲を掻き立てるような魅力ある大学院づくりが求められる。
また、教職大学院と既存の教育系大学院との関係も気になるところだ。「現職教員の実践的な指導力を伸ばす大学院」としての機能は、上越、兵庫、鳴門教育大学も同様の目的で設置されたため、これらの大学の存在理由が問われることになる。「教員免許を持たない社会人も受ける」という体制については、東京大学教育学部が、2006年度より現在の大学院に、社会人や教育分野以外の学生が免許を取得できる仕組みを作る計画があるという。
このように、教員養成教育に関しては、既に様々な大学が取り組んでいるため、教職大学院ならではの特色を出し、アピールする必要があるだろう。
最後に
教職大学院の詳細については、今後中教審と文部科学省、各大学が協力して徐々に決まっていくことになる。現時点ではっきりしていることは、教職大学院は現在の教育現場のニーズから生まれる、ということ。将来、教員を目指す人は、教育問題について考える際には、教職大学院設立の過程は大いに参考になるだろう。
≪今回の掲載内容について≫
中教審ワーキンググループの文部科学省への提案・検討事項であり、決定事項ではありません。