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「大学国際戦略本部強化事業」の 
中間評価結果(前編)
2007.08.31

 文部科学省は、国際競争力のある研究環境を実現するために、「大学国際戦略本部強化事業(SIH)」を2005年度より開始しました。期間は2009年度までの5年間で、20の機関が選定されました。このほど、各機関の取り組みへの中間評価が発表されましたので、ここで紹介します。
文部科学省ホームページ
「大学国際戦略本部強化事業」の中間評価の結果について

 
「大学国際戦略本部強化事業(SIH)」の目的
 20の機関を選定し、採択機関の取り組みを支援・分析することで、より効率的な国際化のモデルを開発することを目的としている。また、優れたモデルを開発することにより、他大学が自主的に創意工夫して国際展開戦略を検討するよう促すねらいもある。
 
20の採択機関への中間評価
評価方法
 採択された20の機関に対して、文部科学省が3年目の中間評価と5年後の事後評価を行い、公表する。SIHは、2005年度から2009年度まで5年間の事業計画となっており、2007年度はその中間にあたるため、中間評価が行われ、このほどその結果が発表された。
  採択機関から提出された進捗状況報告書による書面評価とヒアリングにより中間評価が決定された。進捗状況報告書の記入事項は以下の通り。

  • 機関の区分 (国立、公立、私立などの区分)
  • 機関名 (大学名など)
  • 本部名称 (各機関が設置した国際化戦略本部の名称)
  • 国際戦略・国際戦略本部の機能・体制の整備状況 
  • 事業計画の達成度
  • 事業効果の大きさ
  • その他


  • 中間評価結果
      中間評価で、17機関は「当初計画が順調に実施に移されており、目的達成が可能と判断される」との評価を受け、3機関は「当初目的を達成するには助言等を考慮し、一層の努力が必要と思われる」との評価を受けた。そして、「このままでは当初目的を達成することは難しいと思われるので、助言等に留意し、当初計画の適切なる変更が必要と判断される」との評価を受けた機関はなかった。
     ここでは、「順調に進捗している」と評価された17機関に対する、文部科学省から出された評価コメントを一部抜粋して紹介する。
     なお、今回の中間評価は各機関の取組みに対するものであり、国際化の進捗状況への評価ではない。
    採択機関本部の
    名称
    コメント
    北海道大学
    「持続可能な開発」国際戦略本部
    「持続可能な開発」というテーマに絞った国際戦略の策定、学内の横断的調整機能を担う特別なポストの設置は評価できる。しかし、事務作業の効率化を図る観点から、事務局全体の組織改革が必要だろう。今後は国際化をより全学的な取組みへと拡大していくことを期待したい。
    東北大学
    グローバルオペレーションセンター(GOC)
    国際経験豊かな専門スタッフの雇用、英文ウェブサイトの開設など情報基盤の構築、海外の大学とのダブルディグリー・プログラムの短期間での策定等が成果として評価できる。 しかし、GOCの学内での位置付けがやや弱いように見えるので、今後はGOCを大学全体の国際化戦略の中心に位置づけることが必要である。
    東京大学
    国際連携本部
    事務職員と教員の中間的立場の新たな職域を創出し、雇用・養成を行なった点や、情報収集・分析の活用による「国際化推進長期構想」の検討については評価できる。今後も先導的取組みの積極的な発信を期待したい。
    東京外国語大学
    国際学術戦略本部
    アジア・アフリカ研究・教育コンソーシアムを当初予定より早く形成できたこと、専任スタッフの雇用を含めた国際学術戦略本部の体制の組織化等、着実に国際化活動を推進していることは評価できる。 また、国際情勢に精通していることや多言語に対応可能という外国語大学ならではの特性をさらに活かした取組みを期待したい。
    東京工業大学
    国際室
    海外の連携大学との関係を精査し、協力相手を重点化し、デュアル・ディグリー制度の設立等の具体的成果をあげたこと、海外アドバイザリーパネルを活用した戦略策定などは評価できる。 しかし、先端科学研究大学の特性を活かした戦略を改めて検討し、本事業ならではの特色ある取組みを積極的に企画・実行していくことが必要である。
    一橋大学
    国際戦略本部
    事務職員への研修で、留学生受入れ業務の体験などを海外で実践的に訓練していることや、組織体制の整備、情報発信などに重点化している活動は評価できる。今後は、事務局だけでなく、学内の研究者間に存在するリソースを活用するなどして取組みの実効性を向上させることや、海外の拠点をより有効に活用する方法を開発していくことを期待したい。
    新潟大学
    国際学術サポートオフィス
    「環日本海」という地域の特性を活かす戦略や、「医療保健分野GISの応用研究」という明確な重点課題を設定し、それを中心にして国際的な連携・協力を着実に進めている点は評価できる。しかし、国際学術サポートオフィスの体制・機能をより充実させることが必要である。国際学術サポートオフィスの全学的な位置付けの強化や組織面での強化を期待したい。
    名古屋大学
    国際交流協力推進本部
    複数の海外の大学と情報交換を推進している点や、基盤整備・支援への取組みは評価できる。さらに、国際交流協力推進本部の要員の確保と育成を図り、より強固な国際化推進体制を確立すること、事業終了後の体制の確立について全学が合意するよう努めることが必要であると思われる。
    京都大学
    国際交流推進機構
    大学事務局の国際化の推進に効果をあげていること、また、部局の自律性が高い大規模総合大学であっても、各部局の国際的教育研究活動に影響を与えつつあることは評価できる。しかし、事業終了後にも国際交流推進に係る体制を持続するための検討が必要である。
    大阪大学
    国際交流推進本部
    国際戦略の企画・立案のための調査・分析機能を強化した点は評価できる。しかし、事業終了後も国際企画室の活動を維持していくためにも、国際活動への全学的な理解を得ていくことが求められる。
    神戸大学
    国際交流推進本部
    特に人材面において着実な活動がなされていること、また、事業本部主導による大学間交流協定の締結、セキュリティー・ポリシーの整備等については評価できる。しかし、外部人材の任期は3年と限られているので、外部人材の活動を継承する内部人材を早急に確保する努力が必要である。
    鳥取大学
    国際戦略企画推進本部
    「砂漠化防止」等の特色ある取組みを基盤として学内組織の連携を強化するなど、国際化への努力に一定の成果がみられる点などは評価できる。しかし、さらなる国際化を推進するためには、国際単位互換における制約等の課題の抽出・提示や、戦略的な国際発信活動が必要であるだろう。
    広島大学
    国際戦略本部
    「平和希求」など大学の特色を生かした国際戦略により、具体的な成果をあげつつあることは評価できる。しかし、平和ブランドの国際認知度を高めるための戦略的な広報活動の展開など、さらなる工夫を期待したい。
    九州大学
    国際交流推進機構
    アジア学長会議などの国際活動を通じて韓国の大学との教育連携プログラムを実現するなど、アジア重視の戦略を対外的にも発信できていることは評価できる。今後は、アジアを一つの視座としながらも、世界に展開していく方策を検討していくことを期待する。
    長崎大学
    国際連携研究戦略本部
    特色ある3つの分野に焦点を絞り、様々なプロジェクト等の具体的な活動を通じて国際化を全学的に推進しており、地方国立大学の戦略の一つのモデルとして評価できる。今後は、国際化に対して全学的に合意を得ること、外部資金獲得に努力することを期待したい。
    慶應義塾大学
    大学国際連携推進 機構(OGI)
    学内の国際活動組織を一元化し、意思決定の迅速化を実現するなど体制が整備されていることや、その成果として留学生数が増加していることは評価できる。今後は、海外拠点の有効活用や、より具体的な成果の発信も期待したい。
    早稲田大学
    国際研究推進本部
    学内文書の英語化や若手研究者のための英語論文作成講座などの取り組みの推進は評価できる。今後は、事業のさらなる積極展開を図り、他の大学にモデルとなる創意工夫ある取組みの実現を期待したい。
     
    中間評価結果を総括すると…
    ローカルでグローバル
     今回採択された20機関への中間評価結果のコメントを見ると、一部の機関は、大学の所在地の地域特性を活かした国際戦略に対して評価されていることがわかる。
     例えば、新潟大学、広島大学、鳥取大学などにその特徴が見られる。新潟大学の場合、「環日本海」という地域特性を活かす戦略に対して評価されている。平和祈願の象徴である広島県に所在する広島大学の場合、「平和希求」を軸にした国際戦略で具体的な成果をあげつつあることに対して評価を受けている。砂丘で有名な鳥取県にある鳥取大学の場合、「砂漠化防止」等の取組みで成果がみられる点で評価されている。
     各大学の所在地の地域特性を活かすことが、結果的にうまく強みを活かしたことになったのかもしれない。
    日本の大学の国際化
     今回の中間評価結果からわかるように、20機関のうちの17機関が取組みに対して「順調に進捗している」との評価結果を得ている。また、文部科学省からのコメントを見ると、各機関がそれぞれ国際化に向けて創意工夫しているが、文部科学省は、それぞれの特性を活かしながらさらに工夫していくことを期待しているのがわかるだろう。
     今回の中間評価結果のコメントを受けて、20の採択拠点がさらに国際化への取組みを進めていくことを期待したい。また、これら採択機関がモデルとなって他大学に国際化の推進を促し、将来的には日本の大学全体が国際的に魅力ある教育機関となることを望む。
     前編では、大学国際戦略本部強化事業の中間評価結果に関する全体像を紹介したが、後編では、改めていくつかの機関をピックアップし、それらの取組み内容を紹介する。
    後編へ

     
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