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「大学国際戦略本部強化事業」の 
中間評価結果(後編)
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| 2007.09.14 |
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| 8月31日のWeekly
Eye-zでは、「大学国際戦略本部強化事業」の中間評価結果の全体像を紹介しました。今回はその後編として、北海道大学、東京外国語大学の取り組み内容を詳しく紹介したいと思います。 |
▼文部科学省ホームページ
「大学国際戦略本部強化事業」の中間評価の結果について |
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北海道大学の取組み |
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| ■プロジェクト設置の背景とその目的 |
北海道大学では、「『持続可能な開発』国際戦略本部」を設置した。「持続可能な開発」に焦点を当てた理由として、地球温暖化、エネルギー不足、食糧不足など、人類社会の「持続可能性」を危ぶむ問題に対する学問領域で、当大学には十分な実績と蓄積があることを挙げている。その学問領域の代表例として、「地球温暖化」「食糧・森林の安定的確保」「水の統合的管理」「感染症対策」「循環型国際社会の構築」の5つを挙げている。そして、これらを分野ごと独立した課題と考えるのではなく、連携して研究を進め、国際対応、国際連携全般の機能・能力の向上に結びつけることを目的としている。
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| ■「持続可能な開発」国際戦略への3つの課題 |
5つの持続可能性の基礎となる学問領域(「地球温暖化」「食糧・森林の安定的確保」「水の統合的管理」「感染症対策」「循環型国際社会の構築」)に関して、これまで北海道大学で培われてきた学問を背景に、「持続可能な開発」国際戦略の具体的な目標として、下表の通り3つの課題を設定している。
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| 課題 |
主な内容 |
【課題1】
北東アジア・環オホーツク北太平洋における気候環境システム |
オホーツク海のメカニズム解明に実績がある北海道大学が中心となって、環オホーツクに位置するロシア、中国、韓国の大学・研究機関と連携を強化し、国際的イニシアティブを発揮するためのノウハウを蓄積する。
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【課題2】
人獣共通感染症 |
人類を脅かす新興あるいは再興の感染症(SARS<重症急性呼吸症候群>や新型インフルエンザウィルス感染症など)の発生・拡散に関する日本の研究・教育拠点である北海道大学が、このプロジェクトを通して総合的な広報活動をしたり、国際機関や省庁の壁を超えた検討や施策を提言として取りまとめたりする。また、これまでは個々の研究者に依存してきた国際機関等との対応を支援する仕組みを構築することも目指す。
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【課題3】
北海道大学サステイナビリティ・ガバナンス計画(Sustainability Governance Project:SGP)
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これまで各部局で個別に行われてきた研究と教育を、サステイナビリティ学(持続可能性をテーマにした学問)として体系化を図ることを目指す。また、この新しい学問体系の構築とガバナンス(管理・統轄)提言を北海道大学のイニシアティブのもとに推進する。
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| ■達成状況と今後の課題 |
今回の中間評価のために北海道大学が文部科学省に提出した書類によると、事業計画は概ね順調に実施されている。なかでも、2006年8月に開催した「持続可能な発展」国際シンポジウムは特筆に値するもので、このシンポジウムによって「持続可能な開発」に関する研究者らとのネットワークが拡充し、これを機に北京オフィスの開設にもつながった。また、このシンポジウムを開催したことにより、事務局職員の国際化対応力の向上にもなった。
北海道大学側は、今後は「持続可能な開発」領域での国際拠点化を進めるにあたり、研究者個人のつながりを組織的なつながりに発展させて、コンソーシアム(共同研究体)を形成することや、関係機関との連携をより一層強化することが今後の課題になると考えている。また、文部科学省は中間評価結果のコメントで、事務作業の効率化を図るために事務局全体の組織改革が必要と述べている。また、同コメント内で、国際化をより全学的な取組みへと拡大していくことへの期待も述べている。 |
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東京外国語大学の取組み |
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| ■プロジェクト設置の背景とその目的 |
東京外国語大学では、「国際学術戦略本部(OFIAS:Office
for International Academic Strategy)」を設立した。その背景には、世界のほぼ全域にわたる言語、文化、社会の研究・教育を担う東京外国語大学ならではの特性を活かして、今後急速に進展する多言語・多文化共生社会に必要とされる研究・教育、組織運営のモデルのひとつを示せるとの自負がある。そして、OFIAS設置の目的は、大学全体の国際的な展開戦略の策定、海外拠点の創設・運営、海外機関とのリエゾン(連携)、国際的な人的ネットワークの形成にある。
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| ■7つの国際戦略 |
| 東京外国語大学では、アジア・アフリカ諸地域での研究活動を活発に行っており、また、日本語教育研究を重点的に担う大学として、海外諸機関との連携を強力に進めている。その実績をもとにOFIASを設置し、その活動目的として以下7つの国際戦略を策定した。 |
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| 戦略の名称 |
主な内容 |
【戦略1】
大学の個性を活かした海外研究拠点の設置と整備 |
海外研究拠点を設置、整備することで研究活動の推進および共有化を促す。具体例として、
以下のものがある。
- ベイルートなど海外研究拠点を活用したイスラーム研究教育プロジェクトに基づく研究の推進
- 国内外の研究者による、ベイルートなど海外研究拠点の共同利用の促進
- ロンドン研究拠点における共同研究の推進とワークショップなどの開催
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【戦略2】
国際コンソーシアムの形成 |
研究・教育分野を共有する海外の諸機関と連携し、世界水準での研究・教育活動を行う。具体例として、以下のものがある。
- アジア・アフリカ諸地域の研究を行う海外の諸機関との研究者の交流、共同研究の推進
- 海外の日本語教育機関との連携による日本語教育の開発および積極的なアドバイジング活動と柔軟なネットワークの形成
- 平和構築・紛争予防研究・ネットワークの形成のための、世界レベルの専門家の養成
- アジア・アフリカに関する諸機関との史資料共有体制の整備と共同研究、連携教育の推進
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【戦略3】
「TUFSグローバル・コミュニティ」による海外事業の展開
※TUFS:Tokyo University of Foreign Studies(東京外国語大学)の略称
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世界各地にいる卒業生、留学生、研究員、教員などをネットワーク化し、海外事業展開の協力体制を構築する。具体例として、以下のものがある。
- 世界各地に広がる卒業生や修了生によるTUFSコミュニティの世界的展開
- TUFSに在籍したことのある外国人研究者のネットワーク化と、TUFSコミュニティの海外での研究活動支援
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【戦略4】
研究・教育活動との連携による国際協力・社会貢献の推進 |
世界諸地域に関する研究の成果と実績をもとに、多言語対応の国際協力・社会貢献を推進する。具体例として、以下のものがある。
- アフガニスタン文字文化財支援事業、インドネシア・アチェ文化財復興支援事業などの文字文化財復興支援事業の推進
- 学校教育や生活情報提供などへの支援を通じた日本の地域社会における国際化対応への貢献
- 平和構築・紛争予防プログラムによる、世界諸地域における平和と社会貢献に寄与する人材の育成
- 国際学術業務に従事する専門家を養成するための国際協力インターンシップの実施
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【戦略5】
キャンパスと地球を結ぶ国際連携教育の推進 |
学生の海外での教育・研修を推進しつつ、外国人留学生がともに学ぶ教育環境を整備する。具体例として、以下のものなどがある。
- 協定校・提携校の拡大による双方向的な交流活動の推進
- 海外インターンシップの拡充
- セメスター制の整備による海外留学の円滑化
- インターネットの活用による海外協定機関との双方向的な教育交流の推進
- 日本国内の国際化に対応した多言語・多文化教育に携わる人材育成のためのコースの設置
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【戦略6】
多言語・多文化のユニバーサル・キャンパス21(UC21)の実現 |
TUFSの強みである多言語・多文化共生をさらに推進し、地球社会を体現するユニバーサル・キャンパスを実現する。具体例として、以下のものがある。
- 外国人研究者のための多言語のマニュアル整備による研究活動円滑化の推進と、多言語対応支援活動の展開
- OFIASにアカデミック・オフィサーを設置することによる研究者の負担軽減化と国際的な研究事業の活性化の推進
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【戦略7】
国際学術活動を支える多様な人材の育成 |
外部人材の採用、実地研修などを通して、国際学術業務に携わる多様な人材を育成する。具体例として、以下のものがある。
- 高度な実務経験と専門性を有する外部人材を国際展開マネージャーとして採用することによる国際関係業務の円滑化と体制の整備
- 国際展開マネージャーのもとでの実地研修による国際機関やNGOで必要とされる人材の養成
- 学内外の事務職員を対象とした研修プログラムの実施
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| ■達成状況と今後の課題 |
今回の中間評価のために東京外国語大学が文部科学省に提出した書類によると、概ね予定通りに計画を推進している。なかには、当初の計画を上回る成果をあげているものもある。
例えば、職員が自主的に企画した「OFIASブラウンバッグフォーラム」は、国際業務経験・知識の共有化に役立っている。「ブラウンバッグ」というのは、アメリカの大学で頻繁に開かれるランチタイムのミーティングが「Brown
Bag Lunch Meeting」と呼ばれていることに由来し、ランチタイムのカジュアルな雰囲気での語らいの場を意味している。この「OFIASブラウンバッグフォーラム」は、学内の誰でも昼食を持参して参加でき、取り上げられるテーマもさまざまだ。
今後は、OFIASを通して養成した人材を有効活用するために、他大学と連携して彼らのキャリアパスを開拓していく必要があると考えている。また、文部科学省は、中間評価結果のコメントで、国際事業のサポート体制を財源の面からも検討していく必要性があることを指摘している。また、同コメント内で、国際情勢に精通し、多言語に対応可能という外国語大学ならではの特性をさらに活かすよう期待する旨も述べている。 |
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国際戦略の内容と今後への期待 |
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| ■個性を活かした取組み |
北海道大学にしても、東京外国語大学にしても、それぞれの大学が持つ特性を活かした取組みとなっていることがわかるだろう。
北海道大学が挙げた3つの課題のうち、【課題1】のオホーツク海に関する研究にはもともと実績がある。また、【課題2】の人獣共通感染症に関する研究については、以前から日本の研究拠点となっている。つまり、どちらも大学の特性や強みを活かせる分野であることがわかる。
そして、それら2つの課題を含む「持続可能な開発」領域の研究・教育を全学的にまとめて新しい学問体系の構築を推進していくために【課題3】の北海道大学サステイナビリティ・ガバナンス計画がある。
東京外国語大学が国際化推進のために打ち立てた7つの戦略は、どれも外国語大学ならではの特性を活かしたものとなっており、特に多言語・多文化との共生が前面に出ている。この、多言語・多文化へ対応できるという特性を軸に、海外との連携や国際協力、地域社会への貢献、研究者支援などを推進していくものとなっている。
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| ■今後への期待 |
北海道大学も、東京外国語大学も、どちらもそれぞれの強みを承知した上で国際戦略を打ち立てている。今後は、両大学とも、それぞれが持つ強みを最大限に活かして国際戦略を強化していくことが期待されている。
例えば、北海道大学の「『持続可能な開発』国際戦略本部」が挙げる5つの学問領域(地球温暖化や感染症対策など)を連携して研究を進めることで、いつの日か地球規模の危機に対する救済策が提示されるかもしれない。
また、東京外国語大学の多言語・多文化に対応した取組みの強化により、社会貢献や国際協力が推進されると、多言語・多文化への理解不足などから起こる、諸地域の小さな不和から世界の紛争まで、予防策を講じることができ、世界平和につながる一助となるかもしれない。
つまり、各大学による「大学国際戦略本部強化事業」への取組みとその成果が、世界人類の命を救う手段のひとつになっているとも言えるのだ。
今後もそれぞれの強みを活かした国際化戦略を推進し、身近なところから地球規模まで、それぞれ問題になっている危機の回避につながる一助となることを期待したい。
なお、今回は「大学国際戦略本部強化事業」の中間評価結果で発表された中から、2つの大学をピックアップして、その取組み内容を紹介したが、他の大学の取組み等については、前編の一覧表を参照してほしい(「採択機関本部の名称」をそれぞれクリックすると各機関のホームページが開く)。
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