答案講評 4月の回答選と解説

中1
総合|答案講評 中1 4月

今回の課題

今回の答案講評では、以下の課題について取り上げます。

資料2で,先生は「考えるべきは,はたして道徳教育によっていじめは防げるのか,ということなんだ」と言っていましたが,政府は道徳を正式な「教科」にすることを「いじめ対策の一つとして」位置づけています。
では,あなたなら,いじめ問題に対してどのような対策を打ち出すのがよいと考えますか。道徳を正式な「教科」にすることがいじめ問題にもたらす結果やその理由にも触れながら,300字以内であなたの考えを述べなさい。

今回の課題では、2つの判断を求めている。1つは、政府による道徳の教科化がいじめ対策に有効なのかどうか、という判断。もう1つは、自分ならいじめ問題に対してどんな対策をとるか、という判断である。もちろん、それぞれの判断とともに、そう判断した根拠も示す必要がある。この、二段構えの課題が厄介だったようで、いずれの判断もおさえられている答案は少なかった。したがって総じて得点は低くなるのだが、片方だけの判断とその根拠であっても、中にはキラリと光るものがあったのも事実である。

答案拝見

先生

93-71920-4の意見について。たしかに、道徳とは、わざわざそういう教科を設けて伝えるものではなく、教育という営みの総体を通じて感得させていくべきものかもしれない。国語の教科書に載っていた田中正造の話や、フランシス・ムンテヤーヌの「一切れのパン」という短編小説は、今でも鮮明に思い出すことができる。国語を通じて道徳を学んだよい例だろう。
48-47583-3の意見について。なるほど、まずは先生と生徒とのコミュニケーションを密にする、ということか。先生が生徒の状況、クラスの状況を正しく把握できていれば、もしいじめがあってもすぐに気づくことができるし、対策も打てる。ただ問題は、生徒が本当にありのままを書いてきてくれるかどうか、ということで、これはほとんど先生の側の問題であり、先生側にとってなかなかハードルが高いかもしれない。

93-71920-4さん

僕はいじめ問題に対し、道徳を正式な「教科」にすることにあまり賛成しない。ある団体のサイトで調べたところ全国の教員の約8割が道徳の教科化に反対していることがわかった。理由は普段の授業や修学旅行等でも道徳を学べるから、というものが多かった。/僕も小学校で道徳の授業を受けた。しかし、道徳以外にも国語の物語文や社会の歴史や公民分野で人の気持ち、公正公平について考えることができた。道徳を教科化すれば、子どもがいじめに触れることが多くなり、いじめに走る子どもは少なくなるかもしれない。しかし、普段の学校生活に道徳の要素を組み込めばさらに効率の良いいじめ対策になるのではないか。

48-47583-3さん

僕は、いじめ問題の対策には先生と生徒が交換日記を毎日することが最善だと思います。道徳をやることによって、心の在り方を改めて確認することができます。しかし、僕の周りの人は「テストがないのなら勉強しなくていいや」という考え方の人が多いので、道徳はあまりやっても意味がないと思います。それに比べて交換日記をすることは、いじめなどの直接言いにくいことも書くことによって伝えることができるし、先生と生徒の間でコミュニケーションができるので、優れていると思います。以上のことから、先生と生徒が交換日記を毎日することが最善の対策だと思います。