答案講評 6月の回答選と解説

中2
総合|答案講評 中2 6月

今回の課題

今回の答案講評では、以下の課題について取り上げます。

「表現の自由」は、どうあるべきか? ウォーミングアップから資料までで取り上げた具体的事例の中から1つ以上を選び、それを題材として、あなた自身の考えを、なぜそう考えるのかも含めて400字以内で述べなさい。

どの具体的事例を取り上げるかによって、論述の方向が左右されたようだ。たとえば香川県のカルタの例だと、多くの人が「表現の自由は守られるべき」と書いてきていた。一方、ヘイトスピーチの例だと、「表現の自由は規制すべき」という意見がほとんどであった。それが悪いとは言わない。根拠さえしっかりしていれば、評価するのにやぶさかではない。ただ、あえてみんなが選ぶだろう方向とは逆を選んでみる、ということも、たまにはあってよいだろう。それを真っ当な意見として成り立たせるための論理を考え、根拠を探すことが、思考のトレーニングになる。

答案拝見

先生

たとえば男子諸君、女子に「バカ」と言われたとしよう。君たちぐらいの年代だと、言葉どおりの意味のことがほとんどだろうが、もう少しオトナになると、しかも相手と交際中だったりすると、そうではない場合も往々にしてあるので注意が必要だ(もちろん、言葉どおりの意味の場合もあるので、これまた注意が必要だが)。90-39029-5さんは、そんなところに気がついたようだ。また、90-39033-3さんの「表現の自由は人々を幸せにするためのものである」にも感心した。「表現の自由」自体を目的とするのではなくて、その上位に「人々の幸せ」を置く。そうすれば、自由と規制をどう折り合わせていけばよいのかも見えてきそうだ。最後に、40-30028-7さんの答案。読みながら、表現の自由に関する国連特別報告者であるデービッド・ケイ氏の会見を思い出していた。ケイ氏は、日本報道関係者が政府の圧力にさらされていると指摘していた。

90-39029-5さん

僕は、現在の社会は「表現の自由」について厳しすぎると思います。なぜなら、友だちをからかうときに使う「お前のカアちゃん、出〜べそ」という言葉から、本当にこの発言をした人が友だちの母のへそを実際に見て言ったとは思いません。相手をからかう中でもおもしろさをまじえながら言っているだけです。つまり、相手を見下しているわけでもなく、本当に嫌いで嫌がらせをしているわけでもありません。それなのにこれだけで罪にとわれる可能性があるのです。こんな社会が続いてしまうと、思ったことを話せなくなる人が出てくるかもしれないです。自分の考えを言うだけで罪になる可能性があるからです。相手が本当に傷ついているとき(いじめのような)のかそうでないのかは周りで聞いている人も発言している人も言われた人もある程度はわかるはずです。だから、1つ1つ取り上げて文句を言うのではなく、状況を考えることが大事だと思います。

90-39033-3さん

私は表現の自由は守られるべきだが、その一方で他人を傷つけることはしてはいけないと思う。ステップ3の中で取り上げられているテロ事件のように、たとえ風刺画を売り物にしている週刊紙だとしても、人を何度も不快にさせるのはよくないことだし、それを自分がされたら嫌だと思うようなことはしないというのが人々の間で争いを防ぐ方法だと思うからだ。表現の自由は、人の表現を保障することによって自分だけでなく他人も幸せにするためにあり、決して人を不幸にするものであってはならないと思う。「シャルリ・エブド」の襲撃事件では、もちろん襲撃した側が悪いが、イスラム教を信仰している人だけでなく他の宗教の人も不愉快にさせた出版社も悪いと思う。このように表現の自由は人々を幸せにするためのものであるので、誰かに規制されるべきでないと思うが、人々を不愉快にすることに利用されてはいけないと思う。

40-30028-7さん

シャルリ・エブド事件やヘイトスピーチのように、表現の自由によって、他人の人権が傷つけられてしまうことがある。よって、結果的に表現の自由は少し規制しなければならないことがある。一方で、資料の高市大臣のような、表現の自由によって、政府が批判され、立場が危うくなったので、表現の自由は規制するべきだという意見に対しては、疑問に思う点がある。つまり、立場や権利が傷つけられたからといって、一概に表現の自由を規制すればよいかといえば、そうではないということだ。おそらく、前者は表現の自由が規制されたからといって何も危険はないが、後者は、表現の自由が規制されると、国民の声が政府に届きにくくなるという危険がある。だから僕は、表現の自由を規制したときに、どんな影響が生じるか確かめたうえで、表現の自由を守るべきか規制するべきかもっと慎重になって一概にならずに結論を出してほしいと思う。