基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 課題発見・解決能力テスト基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 課題発見・解決能力テスト

監修者からのことば

アクティブ・ラーニング型の課題に取り組む意義とは?

早稲田大学人間科学学術院 尾澤 重知 教授

写真:尾澤 重知 准教授

近年、アクティブ・ラーニングが大きな注目を受けています。導入段階を過ぎた今、重要になってくるのは、その評価と持続的な改善です。学び手が適切な評価を受け、その結果をさらなる学びに結びつけることができてはじめて、成果が未来につながります。

しかし、評価には落とし穴があります。安易な評価は、それ自体が目的化しがちだからです。「目標から逆算する」という発想は、確かに重要な考え方の一つですが、予測不可能な時代においては逆算型のアプローチは限界があります。

「課題発見・解決能力テスト」の考え方のベースになっている学習科学・認知科学に基づいた方法論は、優れた問題解決者が当たり前のように(しかし時に無自覚に)行なっている「物事を複数の視点から捉え直す」ことを促す手法です。授業内はもちろんですが、個人であってもこの発想を応用することができます。本アセスメント課題は、これまでの実証研究に裏付けられた素材を用いて、これまでになかった未来志向型の評価を目指します。

「課題発見・解決能力テスト」のもう一つの特徴は、学び手の視点に立った「問い」を重視している点です。優れた問いの組み合わせは、学び手の知的好奇心を喚起するだけでなく、「問い」が新たな「問い」を生み出します。例えば、「3Dプリンタって何だろう?」という身近な話題を「複製とは何か?」「摸倣はどこまで許されるのか?」などの問いと関連づけることができれば、自ずと探究が展開していくはずです。

本手法が、さまざまな教育現場で活用されることにより、アクティブ・ラーニングが単なる経験学習ではなく、持続的に協調的な学びを生み出す原動力になることを願っています。