基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 日本語運用能力テスト基盤学力アセスメントシリーズ LIPHARE 日本語運用能力テスト

監修者からのことば

「読めない」のはなぜか? 論理的文章の理解における学術共通語彙の重要性

国立国語研究所 松下 達彦 教授

写真:東京大学 松下 達彦 准教授

学術共通語彙は専門用語ではありません。論説文などの硬い文章では、ジャンルを問わず幅広く使われますが、日常会話や文学にはあまり使われません。「占める」「当初」など、抽象的な言葉が多いため、できるだけイメージが湧くように年齢相応に書かれた学術的文章や新聞記事を利用するなど、学習には工夫が必要です。

学術共通語彙は小学校高学年から急増するため、ここでしっかりと勉強する必要があります。7割以上が漢語なので、漢字学習も欠かせません。学術共通語彙の理解は、社会科や理科など、他教科の学習においても極めて重要です。まずは、どの程度これらの語彙を理解できるのか、測定し、診断することが、学習全体の基礎を固める上で重要でしょう。

「知っていること」と「できること」 知識と技能の測定評価

中央学院大学 田島 ますみ 教授

写真:中央学院大学 田島 ますみ 准教授

言語学習の分野では、近年、「知っているかどうか」を測る評価に加えて、「できるかどうか」を測る評価が注目されています。単語の意味や文法を知っているかといった言語知識の部分だけでなく、その言語を実際に「使えるのか」、その言語で「何ができるのか」という技能の面が重要になってきているからでしょう。言語の産出物である発話や文章を直接評価するパフォーマンステストも普及や研究が進んできました。基礎的な言語知識を正確に測り、なおかつCan-do Statements(能力記述文)によってできることを具体的に記述して評価する方法も活用され始めています。「日本語運用能力テスト」はこのような潮流を踏まえて作成されています。