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『大学院のススメ』


吉田 直教授
(青山学院大学法科大学院)
青山学院大学法学部教授。4月から法科大学院専任教員。専門は商法。特に株式会社のコーポレート・ガバナンスについて学際的研究を行っている。主な著書に『競争的コーポレート・ガバナンスと会社法』(中央経済社)・『アメリカ商事契約法 統一商事法典を中心に』(中央経済社)がある。
第1回第2回
■ 取材日:2003.12.25
掲載内容は取材当時の情報となりますので、ご了承のうえご覧くださいますようお願いいたします。
 
 第1回 法科大学院レポート
建学の理念にもとづく法科大学院を
法科大学院はひとことで言ってしまえば「法曹養成の場」ですが、青山学院大学は建学の理念にもとづき、法科大学院設置に向けて以下の教育理念を掲げました。
  1. キリスト教理念に基づく教育
  2. 真理の探究
  3. ヒューマニティにあふれ社会的責任を果たせる法曹の養成
  4. 国際的視野をもった法曹の養成
  5. 情報公開と参加
これらの理念を実現するために、優れた教育スタッフを集め、特色あるカリキュラムの創意工夫に努めました。例えば「国際的視野をもった法曹の養成」ですが、アメリカ人とドイツ人の実務にも通じた研究者をスタッフに迎え、カリキュラムについては国際渉外法・英米法に注力しています。

「国際色」は青山学院大学法科大学院の大きな特色の1つと言えるでしょう。カリキュラムにおいても国際渉外関係科目の単位取得を規定し、海外のロースクールとの間でも衛星回線を用いたグローバル・クラスルームやワシントン大学(セントルイス)から教員を招聘したアメリカ法講座を開設します。異なる法文化に積極的にふれることは将来きっと役立つことでしょう。

また青山学院大学法科大学院では2名の「ローライブラリアン」を配置します。基本的な役割は「文献データベース検索のサポート」ですが、それだけでなく、日常的な勉強から生活・将来設計の相談まで、院生を全面的に支援します。それだけに2名の選考にはかなり力を入れました。学生の相談に乗ることができる方、国際性を備えている方、社会経験のある方…私が言うのも何ですが(笑)、非常に優秀な方をお招きすることができました。
 
国際マネジメント研究科とのコラボレーション
現代の企業社会で必要とされているのは「企業が分かる、会計が分かる弁護士」ではないかと思います。例えばバランスシートや貸借対照表を読める弁護士は少ないですけれども、実際には倒産処理など需要は多い。そこで青山学院大学法科大学院では「国際マネジメント研究科」と協力し、相互乗り入れ授業を行います。

具体的には「国際マネジメント研究科開設科目の履修を認める」という形で実施します。経済学の基本科目から、コーポレート・ガバナンス、企業合併・買収、デリバティブなど、専門知識の修得に役立つ科目を揃えました。こういった「研究科の枠を超えて単位取得を認可する」という動きは今後、より拡大していくでしょう。今年度は私も国際マネジメント研究科で「ビジネス法務」を講義しましたし、また会計専門大学院の設置予定もありますから、いずれはそちらとのコラボレーションもあるでしょうね。

青山学院大学法科大学院の教育理念には含まれていませんが、決して企業法などを軽視している訳ではありません。国際マネジメント研究科とのコラボレーション科目についても、できれば修了までに単位取得してもらいたい。これは私の専門が企業法だから言っているのではないですよ?(笑) リーガル・マーケットに強い法曹を養成することは社会的にも必要とされているのです。
 
「判例の海に溺れる」
法曹を養成するという意味では、いわゆる「新司法試験」対策のカリキュラムも用意する必要があります。しかし司法試験ばかり意識していては予備校と何ら変わりませんので、法科大学院ではやはりケースメソッドなどの実務教育を重視します。ケースメソッドの方式で学ぶことを「判例の海に溺れる」と表現しますが、これまで日本の法曹教育ではやっていそうで実はやっていない。これでやっと世界標準に追いついた、という気がしますね。

実務教育とはそんなに難しいことではないんですよ。実務経験のある教員と協力して判例の分析や流用の方法を学び、裁判官をどう説得するかを学ぶ。事実をもとに法律をどう総合的にかつ柔軟に考えるのか。これを法科大学院でなければどこで訓練するんですか? アメリカのロースクールのような職業訓練の場であることを意識したいですね。

そしてもうひとつ、「クライアントの利益をどのようにして図るか?」という考え方を学ぶことも重要です。この考え方は「法曹倫理」と並んで「法曹の両輪」とも言うべきものです。法曹倫理の重要性は明確ですし、青山学院法科大学院も重視していますけれども、その一方で「顧客のために何ができるか」という職業意識も身に付けてもらいたいですね。
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