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小田先生のさんすう力UP教室(3_6年生)

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<小田先生のさんすう力UP教室(3〜6年生)>

”やってみる”力を育てよう

さんすう力を高めるにはどうしたらいいの?
まあ、そんなに難しく考えないで、まずはお子さまと一緒に問題に取り組んでみましょうよ。

【2015年3月26日】


 
 
 こんにちは、もうすぐ誕生日を迎える小田です。年をとるのは実に1年ぶりなので、ちゃんと年をとれるかどうか不安です。
 さて、そういうわけで昨年度連載させていただいていた「おやこですんなり さんすう力UP計画」、今年度からWeb連載ということで、リニューアルさせていただくことになりました! とはいえ、基本的には1話完結ですので、初めましての方も安心してお楽しみください。
 本連載では、昨年度の連載同様、わたしがふだん子どもたちに解いてもらっている問題を紹介していきます。その問題を解いてもらうことで、子どもたちに何ができるようになってほしいのか。そして、その問題を解いている子どもたちに、どのように接しているのか。皆さまの参考になればいいな、と思います。もちろん、純粋に問題だけ楽しんでいただくのも大歓迎ですよ!
 それでは早速問題に行ってみましょう。

Stage1:やってみる力を育てよう

 
問題

 

指導のヒント

「指導のヒント」のコーナーは、実際に子どもにこの問題を解かせているときに、どういうふうに声かけをしてあげるのか、どのようなヒントを出してあげるのがいいか、ということを解説していきます。お子さんが解いている横で、親御さんが指導する際など、お役に立てていただけるとうれしいです。
 今回の問題では、まず問題の意味をきちんと理解できているかどうかを確認します。いまひとつ理解できていなさそうな場合、いちばん上の段に適当に「1,2,2」などを入れて、足すといくらになる?と聞いてみてください。そして、それが「4」になっていないことを確認し、「あわせて4になるようにすればいいんだよ」と伝えます。
 それぞれの数字を1回ずつしか使おうとしないようなら、同じ数字を何回も使っていい、というのを強調してあげてください。
 答え合わせの際、「どのマスは正解でどのマスはまちがっている」というチェックのしかたはしないほうがいいでしょう。まずは、「1〜3」以外の数字を使っていないか確認します。使っていたら、「1〜3しか使っちゃだめだよ」とだけ指摘します。
 1〜3以外の数字しか使われていないことを確認したら、それぞれの縦、横の合計が指定された数字になっているかどうかを確認します。こちらも、条件どおりになっていないところがあれば、「ここが違うよね」と指摘してあげてください。
 何度も失敗して心が折れそうになったら、まずは、まちがえたときに全部を消すのではなく、部分的に調整していくよう伝えます。それでもまだヒントが必要そうなら、4か8の列に注目させ、「3つで4(もしくは8)にするにはどうすればいい?」と聞いてみましょう。
 

解答

解答

 

さんすう力UPのポイント

 この「さんすう力UPのポイント」のコーナーでは、それぞれの問題の狙い、つまり、なぜこの問題を解いてほしいか、この問題を解くことで何を身につけてほしいか、といったことについて解説します。
 今回の問題で身につけてほしいのは、なんといっても“やってみる力”です。カッコよく言えば、試行錯誤する力ですね。
 子どもに算数が得意になってほしいと思っている親御さんの中には、「考える力を身につけてほしい」と思う人も多いようです。しかし、だからといって、子どもに「考えなさい!」と言ってみても、なかなか子どもは“考える”ようになりません。子どもからすれば、「考えるってどうやればいいの?」と思うからです。
 一方で、「やってごらん」と言うのは、子どもにとってすごくわかりやすい指示です。そして、たとえ子どもが何を“やって”みればいいのかがわからなくても、それに対して具体的に答えることは簡単です。今回の問題なら、「1〜3の数字を入れてみる」「足し算をする」「答えが決められた数字になっているかどうかを確認する」たったそれだけです。具体的に何をやればいいのかがわかっていると、子どもも取り組んでみやすいのです。
 最初は何が何だかよくわからなくても、いろいろとやっているうちに気づくことはたくさんあります。そうやってさまざまなものを見つけていくと、そのうち自然と“考え”るようになります。新しい概念に出合ったときも、まずはいろいろとやってみる姿勢さえあれば、そのうちなんとなく理解できるようになるでしょう。いろいろとやってみて問題が解けた経験があれば、難しい問題に立ち向かっていく勇気にもなります。
 頭を動かす前に、まず手を動かす。それこそが、算数の得意な人になるための第一歩なのです。
 

もっと問題

もっと問題

  《解答》
もっと問題の答え

 
 いかがでしょうか。
 リニューアル後の1回目、ということで、初心に帰ってまずは試行錯誤のお話でした(冒頭の文章も、昨年度と揃えてみました。ネタの使い回しとも言いますが)。
 わたしは今まで、さまざまな本や記事を書いたり、いろんなところでお話をさせていただいたりしましたが、そういったときに必ずするのがこの「“考える”よりも“やってみる”ことが大事だ」という話です。
 泥臭く試行錯誤してようやく解けた、というのは、あまり算数のできる子に見えないかもしれません。もっと“考え”ればうまい解き方があるのに、と思うかもしれません。しかし、だからといって「考えなさい」と言ってしまうと、せっかくの“やってみる”手が止まってしまいます。そうすると、算数ができるようになりません。非効率的なことをやっていても、自分の力で“やって”いる限り、応援してあげてください。そして、自分の力でそれを解決したら、そのことをまずほめてあげてください。そうすると、算数の力はどんどんついていきます。
 それではまた来月!

小田 敏弘(おだ・としひろ)

数理学習研究所所長。灘中学・高等学校、東京大学教育学部総合教育科学科卒。子どものころから算数・数学が得意で、算数オリンピックなどで活躍。現在は、「多様な算数・数学の学習ニーズの奥に共通している“本質的な数理学習” 」を追究し、それを提供すべく、幅広い活動を展開している。(小学生から大人までを対象にした算数・数学指導、執筆活動、教材開発、問題作成など)。

《書籍》
■試行錯誤しながら計算のセンスを鍛えていきたい方へ
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル』(幻冬舎エデュケーション)
■試行錯誤しながら図形のセンスを鍛えていきたい方へ
『東大文の会式 東大脳さんすうドリル 図形編』(幻冬舎エデュケーション)
■「算数のセンス」の具体的な中身を知りたい方へ
『できる子供は知っている 本当の算数力』(日本実業出版社)
 


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