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成城大学 社会イノベーション学部

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プロフィール

――社会イノベーション学部では、どういうことを学ぶのでしょうか?

【先生】経済や法律、情報通信から医療分野、幅広く学問分野横断型で「イノベーション」に関しての知識を得ていきます。

イノベーションとは、新しいものをつくるという意味を語源とする「innovate」の名詞形で、その辞書的な意味は物事の「新機軸」などですが、本学部では「社会に持続した発展をもたらす人間の創造的活動」として捉えています。わかりやすく言えば「より良い社会を作ることをめざして、新しい考えを生み出し形にすること」がイノベーションです。

最も身近な事例は、「スマートフォン」ですね。
かつては家に固定されていた電話が、軽量小型化され、個人が持ち運びながら話せるようになった。さらに、インターネットやカメラ機能など多機能化し、進化し続けています。

知識を得るだけでなく、イノベーションに関わる問題を、自律的に発見し、設定し、解決し、その成果を伝達する能力も身につけていく点も、特長のひとつです。

「社会の持続的発展に寄与するイノベーションがどういうものなのか」をしっかりと理解してもらい、社会に出てからも、多方面の分野において活躍できる人材を育成しています。

――学部名に社会とついていますが、他大学との社会学部とは違いますね?

【先生】社会学は社会の在り方について学ぶので、テーマによっては本学部においても近い学びがあります。ただ本学部では、あくまでも「イノベーション」について、経済学や経営学、法学、心理学なども含めてさまざまな社会科学の観点から学ぶという意味が含められています。

――先生の研究されている専門分野に関して教えてください。

【先生】メインの研究テーマは「科学技術・イノベーション政策研究」です。

実は、イノベーション自体がどのように実現されるのか、まだよくわかっていません。ですから、背景となる科学技術の状況を考察し、イノベーションを行う企業の目的など、普段は「見えないもの」を見えるようにし、「測られていないもの」を測り、「説明されていないもの」を説明していきます。つまりイノベーションの「把握し測定する」研究をしています。

また、大学で教えるほかに、行政機関や国際機関等においても活動し、イノベーションを進めるための政策や、イノベーションの基になる新たな知識や技術を生み出す研究開発活動や科学技術活動を支援するための助言等も行っています。

――梁田さんはどんなお仕事をされているのですか?

【卒業生】NECソフト㈱の海外ソリューション事業部に所属し、サーバの構築など、コンピュータシステムの基本設計を行う技術者として業務をしています。システムエンジニア(SE)と呼ばれる職業です。

――SE職とのことですが、在学中に学ばれたのですか?

【卒業生】 いえ、在学中はイノベーション研究に専念していました。プログラミングやSEに関するスキルは、入社後の研修と自分の努力で学びとっています(笑)。

【先生】 残念ながら、本学部学科ではコンピュータ関連のプログラミングまでは学べませんね(笑)。

【卒業生】ゼロからのスタートなのでもちろん大変でしたが、新しい知識やスキルを身につけたいという意欲があれば、頑張れるのだと実感しています。

――間庭さんは現在3年生ですね? 学生生活ではどのようなことをされていますか?

【大学生】 2年生から伊地知先生のゼミに所属していまして、「イノベーション政策」について学んでいます。 家が遠いのでサークル活動はしていませんが、ゼミも少人数制ですし、クラス行動の機会も多いため、大学に来ていれば自然と友達も増えます。お互いに勉強面など刺激し合い、充実した大学生活を送っています。

大学生活

――「社会イノベーション学部」を受験した理由は何ですか?

【大学生】高校時代、明確に学びたい学部・学科が見つけられずにいました。一方で、学生一人ひとりをサポートしてくれるような、少人数制の大学で学びたいという思いがありました。

そこでまず、人数やゼミなどの学習環境で大学を絞り、その時点で、成城大学が候補になりました。社会イノベーション学部に関しては、正直、「イノベーションっていったい何?」という感じで(笑)、逆に興味がわきました。

様々なことに興味がある状況でしたので、学問横断型の学部であることが魅力的でしたし、「社会を変える」というメッセージにさらに関心が湧き、社会イノベーション学部で学んでみたいと思うようになりました。

【卒業生】イノベーションは卒業後に社会でも活かせる実用的なテーマですし、心理学の授業も取れるというのが面白そうだなと思い受験しました。高校時代より英語能力を高めたいという目標もありましたので、成城大学が英語教育に力を入れていることも決め手のひとつでした。

――実際に大学に入学されてみての感想はいかがでしたか?

【大学生】 高校までは一週間のスケジュールを学校から与えられますが、大学では自分で授業を選び、スケジュールを決めます。これがとても新鮮で楽しいですね。

また、イノベーションに関しては全く知識もなく入りましたが、身の回りにある社会的な事象がテーマとなることも多く、関心を持って学べる学問だと感じています。

【卒業生】 この学部は文系出身者が多いのですが、科学技術に関する理系的な授業も豊富です。興味のあるテーマを幅広く学べる点がすごく良かったですね。

【先生】 学生は文系出身者が多いですが、イノベーションは科学技術とおおいに関わる分野ですから、理系的な学びも必要な学問だと考えています。ちなみに、私自身は学生の頃は理系でした。

――特徴的なカリキュラムや学内の施設について教えてください。

【先生】 まずゼミナール制度(ゼミ)がひとつの特徴です。社会イノベーション学部では全員が3年次よりいずれかのゼミに属します。
ゼミが選択制の大学も多いのですが、大学で学ぶ大きなメリットのひとつです。学びの専門性だけでなく、教員やゼミ内の学生との絆も深められます。

【大学生】さらに、基礎ゼミナールとして、2年生からゼミの学びを経験できる点もとてもいいシステムだと思います。グループワークは、みんなで刺激し合えてとても楽しい作業ですね。

【先生】 少人数で学生同士の議論などを行うゼミは、それまでとは大きく異なる学び方ですし、よい経験になるはずです。2年次から必修で取り入れている大学は少ないと思いますよ。

それから、施設環境面では、学生同士で自由に集まり討論し、研究を進めることのできる施設として、学生共同研究室や心理学実験室を整備しています。

――お二人とも伊地知先生のゼミ生ですが、どういうことを学びましたか?

【大学生】先生のイノベーション政策ゼミに入った動機は、とにかく「イノベーションって何?」ということを基礎から学びたかったからです。

先生のゼミでは、イノベーションに関連する政策や制度についてまずどういうものがあるのか、その基本から学びます。その後、グループディスカッションやディベートなどを交えながら、どういう分野にどんなイノベーションがあるかを発見するような課題に、自分たちで模索して取り組んでいきます。

【先生】グループワークは楽しいでしょ? ゼミナール大会とかもあるし。

【大学生】はい、楽しいですね。
ゼミ大会は、ある研究テーマに沿って調べた内容をプレゼンテーションする場で、2年生にとっては、3年から参加するゼミを選ぶ、絶好の機会でもあります。

私の参加したゼミ大会では「iPS細胞」を取り上げ、4名1グループになって各グループが「iPS細胞」について個別のテーマで分担して研究し、全グループでまとめあげてその全体像を発表するというグループワークを行いました。

【卒業生】 私の卒業研究のテーマは「政策の国際比較」でした。スウェーデンにおける「産学連携」のシステムについてまとめました。

【先生】「産学連携」はイノベーションの実現において、とても重要な部分を担っています。
3年生にとってゼミは4年生で取り組む卒論のテーマを見つける場でもあります。梁田さんの卒論はスウェーデンと日本を比較した内容だったよね?

【卒業生】はい、そうです。おそらくスウェーデンの方がうまく機能しているだろうという想定から、研究を始めました。
日本にも学内企業は増えていますが、制度的にスウェーデンには大学のホールディングカンパニー(持株会社)がたくさんあり、就職後の進路を含め、大学院生が学生時代から社会に進出しやすい、産業に貢献しやすい、という環境があることが分かりました。

――間庭さんは、イノベーションに対する理解はかなり深まりましたか?

【大学生】はい、高校時代から比べれば数段に(笑)。社会の知らないところに、かなりイノベーションはあるのだなと実感しています。
例えば、前にゼミで学んだことですが、介護用ロボットなども進化していまして、今後の高齢化社会に向けてもイノベーション技術が生まれています。

【先生】いま間庭さんが紹介した介護ロボットは、人間が装着するものです。
介護の現場で人を持ち上げる動作などにはなかなか体力がいるわけですが、この装置を身に付けることで、楽に持ち上げられるようになります。こういった新しい装置の開発とイノベーションが、大学の先生のもとで進められています。

今後の日本社会にとって介護は重要なテーマであり、政策面でも重要課題です。ゼミではこうした事象も題材に取り上げて学んでいくわけです。

――ほかに役に立っている授業にはどのようなものがありますか?

【卒業生】英語でのプレゼンテーションを学ぶ授業は今の仕事に直結していますね。
また、IT業界では「イノベーション」が随所で行われているので、様々な分野におけるイノベーションへの理解を深められたこと自体が、役立っていると思います。

自分でも、将来的にはシステム構築や提案の際に、常に新しい方法などを考えていければなという意識がありますね。

【先生】本学部では、入学から3年次まで、さまざまな英語の授業がステップアップ形式で必修になっています。
TOEICは学部生全員が必ず受けますし、受信力、発信力、対話力を高めようということで、「社会に出て使える英語教育」を行っています。

【卒業生】 在学中、TOEICスコアは200点以上伸び、最高890点まで取ることができました。今の職場は、TOEIC平均900点という環境なので、現在も日々、英語のスキルアップに励んでいます。

【大学生】 私は高校時代から英語が苦手科目でして…。少人数制で、ネイティブスピーカーによる英語のみの授業には、相当鍛えられました(苦笑)。

伊地知先生のゼミでも、英語の資料を使うことがあり、英語力を磨く上で役立っています。おかげで英語に対しての苦手意識がなくなってきました

【先生】私のゼミは英語を前面に押し出した内容ではありませんが、イノベーションに関する資料や文献は圧倒的に外国語によるものが多いですから、英語を使うのは必然ですね。

就職活動・仕事

――現在の会社を志望した理由は何ですか?

【卒業生】英語を活かした職種を希望したことと、プログラミングやシステムエンジニアなど、新たな知識を学びたかった、というのが理由ですね。

――梁田さんは文系出身ですが、職場の同僚の方々はやはり理系出身ですか?

【卒業生】ソフトウエア会社なので全体では理系出身者が中心ですが、私の部署は海外の通信事業者や国際的に事業展開しているメーカーなどと仕事をしますので、語学系学部など文系出身者も多いですね。部署内の同僚は、3分の1が外国籍の方々です。

――同僚の方とは、普段は英語で会話をされるのですか?

【卒業生】 社内では日本語が基本です。しかしお客様との電話やメールは英語が中心ですから、日々、英語力に磨きをかけています。同僚の出身国も北米、南米、アフリカ、ヨーロッパ、アジア全域と、まさにインターナショナルな雰囲気で楽しいですよ。

【先生】 海外出張もあるんだよね?

【卒業生】はい、研修中も約1か月間はインドで行われました。模擬プロジェクトでのシステム開発案件を現地の方々と共同で行いました。皆さん、とても自己アピール能力にたけていらっしゃって、いろいろと勉強になりました。

――仕事のやりがいはどんな時に感じていますか?

【卒業生】 お客様のニーズをしっかりと満たし、製品やシステムにご満足いただけたと実感した際にやりがいを感じます。日常業務での新たな知識や技術との出会いのすべてが新鮮であることも、仕事のやりがいになっています。

――卒業生はどういう分野・業界の就職先へ進みますか?

【先生】 金融、不動産、メーカー、旅行業界や航空会社、公務員など各方面で幅広く活躍しています。
本学部ではイノベーションをテーマにしながら「問題発見・設定・解決能力、伝達能力」を磨くことになりますので、その意味では社会のどんな分野でも通用する力が得られるように学生を育てようと、教員も努力しています。

【卒業生】 私の周りでは、金融関係や出版業、サービス業などに進みました。

――間庭さんは3年生でちょうど就職活動が始まったところですね?

【大学生】 そうですね、学校のキャリア支援部に日々お世話になり、金融業界や不動産業界などを中心に就職活動をしています。また、結婚や出産後もなるべく仕事を続けたいので、女性が働きやすい環境の会社というのも念頭に置いて就職活動をしています。
同期の友人には、音楽業界、IT業界を目指している人もいますよ。

――イノベーションと関連の深い就職先をご紹介ください。

【先生】 私の担当する政策イノベーション学科の学生で毎年いるのは、地方公務員ですね。

意外に思われるかもしれませんが、イノベーションに係わるのは民間企業だけではありません。近年は、公共部門におけるイノベーションにも関心が高まっています。国や地方公共団体は政策や制度の整備だけでなく、新しいサービスの導入を行いますので、その意味ではイノベーションの供給者側でもあります。

私としては、卒業生が地方公共団体でイノベーション活動に従事し、地域住民や社会のために貢献してくれることを期待しています。

5年後のプラン

――皆さんの将来の夢・目標は何ですか?

【大学生】5年後であれば、就職した会社で自分の持てる能力を発揮するようにしたいです。また、「女性が働きやすい職場環境づくり」にイノベーションを起こして、貢献できればと考えています。

【先生】 5年後も、研究の主軸のテーマは変わってないでしょうね。
先ほどもお伝えしましたが、イノベーションのシステムなどについて「見えないものを見えるようにする」、「測られていないものを測る」ことに関わることを地道に行って、より良く理解できるようにして、イノベーション政策の推進、ひいては社会の持続的発展に貢献していたいですね。

【卒業生】 4月に入社し、秋までの長い研修を終えたばかりですが、プログラミングやシステム構築の楽しさが、少しわかってきました。
5年後までにはもっと多くのスキルを身につけ、大学で学んだイノベーションの知識も総動員して、時代に即した提案型のSEコンサルタントになるのが目標です。また、プロジェクトリーダーとして案件をまとめられるようにもなりたいですし、英語能力ももっと磨いて、ひとりで世界中を出張して活躍できれば、とも思っています。

アドバイス

――もし高校1年生に戻れるとしたら、何をしたいですか?

【卒業生】 私は高校時代を思い出すと、「バドミントンを一所懸命やったな」ということしか思い出せないです(笑)。勉強もそうですが、もっと友達と旅行に行ったりするなど、視野を広げる活動をしたいですね。

【大学生】 私も部活がかなり忙しかったです(笑)。
男子バスケットボール部のマネージャーをやっていたのですが、活動に熱心な部でしたから。もう一度機会があるなら、梁田さんと同じように、部活以外のことも楽しみたいですね。

――進路選択や受験に関して何かアドバイスをいただけますか?

【大学生】 私は受験に関しては、塾へ通うというより、自宅や図書館で集中して勉強をしました。勉強場所は1つではありません。自分が落ち着ける場所、勉強に集中できる場所を見つけて、そこを活用するといいと思います。

【先生】 高校や受験で学ぶあらゆる教科・科目は、大学での学びや卒業研究、また、社会に出てからも基礎となり活用されます。イノベーションには科学技術の知識が大きく関わりますが、これを理解するには高校までの理科の学びも不可欠です。

また、イノベーションを理解するには、その地理的・歴史的背景を踏まえることも必要で、世界各国・地域の状況つまり世界史、政治・経済など社会科での学びも活かされてきます。

データや資料を読むための語学や、分析に必要な数学など、すべての教科の勉強は無駄にはなりません。そういう思いでぜひ、日々の勉強を捉えてほしいと思います。

進路選択に関しては、自分が好きなこと、得意なことを通じて、将来、いかにして社会のために貢献していくことができるか、を考えてみてはいかがでしょうか。
そのためにはどんな知識や技能を獲得していけばいいか、といったことを考えながら進路を決めていくといいと思います。

【卒業生】 私の場合は、高校時代から漠然とはしていましたが、将来の目標として「海外と関わる仕事がしたい」というのがありました。そこで語学+海外文化+実務的な学び、というキーワードで大学選びをしました。ですので、漠然とでいいのですが、将来の方向性を少し考えて見れば、学部選びもしやすくなると思いますね。

また、大学は学びたいことを優先で選んでいいのではないかと思います。もちろん苦労と努力は必要ですが、私も、大学の専門とは関係のないSE業務をやれていますから。

【先生】最後に、故スティーブ・ジョブズ氏が2005年に行った、スタンフォード大学卒業式の際のスピーチを紹介します。ご存知のように、多くのイノベーションを実現しているアップル社の創業者です。 このスピーチでジョブズ氏は、「過去に残した多くの点と点は、将来において一本の線として必ずつながる、ということを信じよう」と語っています。

この動画はYouTubeなどの動画サイトで見られます。皆さんにもぜひ見てほしいですね。

大学のおすすめ

――最後に社会イノベーション学部の素晴らしいところを教えてください。

【大学生】やはり少人数でアットホームな点が魅力ではないでしょうか。

【卒業生】そうですよね。勉強面でも就職面でも、先生にいろいろと相談しやすいです。

【先生】教員の方からも、顔と名前を覚えられるというのは、コミュニケーションが取りやすいし、とてもいいことだと思いますね。
あと、「心理学も学べるのが魅力」と答えてくれる学生さんは多いよね?

【大学生】はい。そして都内なのにとても静かな成城の駅周辺の環境が好きです。

【卒業生】同感です。駅から近いのも良いですよね。

成城大学 社会イノベーション学部

日本で初めて学部名に「イノベーション」をつけた社会イノベーション学部。これまでにない新しい視点で社会全体の諸問題を発見・設定・解決するという、課題志向型の学部として注目を集めています。