学部(系統)から探す

学際学部系統

筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類

  • 大学生
  • 先生
  • 卒業生

プロフィール

――筑波大学情報学群には3つの学類がありますが、それぞれの学びの違いは何でしょうか?

【先生】簡単に説明しますと、「情報科学類」ではコンピューターサイエンスを中心に学び、「情報メディア創成学類」は情報コンテンツメディアを学びます。

そして「知識情報・図書館学類」では、インターネットや図書館など「知識共有の場」における、仕組みの企画・運営やそれを支える情報システム、また近年普及しているデジタル図書、学術文献DBなどについて学びます。図書館という古くからの社会インフラを学ぶ場でもあり、知識と情報を共有する場としての図書館やコンピューターサイエンスを学ぶ場でもあるわけです。このように「知識情報・図書館学類」は、いろんな学びの側面を持ち合わせているのです。

――「図書館学」とはどういう学問ですか?

【先生】「図書館学」は19世紀からある学問ですが、図書館の歴史自体は、古代オリエントやエジプトの時代までさかのぼり、非常に古いんですね。つまりその時代から、知識を分類するという作業が当時の学者によって行われていました。「図書館学」は、その後世界中の知識を集めたいという人間の根本的な欲望みたいなものと、科学という色彩を帯びて、19世紀頃のヨーロッパで学問として成り立ちました。

ちょっと前までの図書館学とは、知識(本)をきれいに分類して、それを探し出せるようにする仕組みを考える学問でした。また知識を求めている人に対して「図書館員」という媒体者が情報を探す手伝いをする、その方法の研究などを主にやっていました。それがコンピューターによるデータベース管理の時代に入り、現在では情報学やシステム情報処理も図書館学の一部になっています。

ですから本学類では1年次の最初からプログラミングを勉強します。「OPAC」という図書館で本を検索するための蔵書目録システムがありますが、この「OPAC」を用いて、2年次の1学期からシステムを作る必修科目も用意しています。

――先生の研究されている専門分野に関して教えてください。

【先生】私はもともと大学図書館員を11年ほどやりまして、その後教員になり、文部科学省の役人も6年ほど経験しています。その間、一貫して「大学図書館と学術情報流通」を研究テーマとしてきました。

「大学図書館」というキーワードでの研究テーマは様々にありまして、電子化の時代における電子ジャーナルなど電子情報源、学術データの普及、「機関リポジトリ」とオープンアクセスの問題、また、図書館においていかに学生の学力補強ができるか、学習意欲を高めることができるか等の問題解決も研究テーマです。 また、デジタル・ネイティブと呼ばれる世代の学生に関する情報検索行動の研究も、継続的に行っています。

――「機関リポジトリ」とはどのようなものでしょうか?

【先生】「機関リポジトリ」の「機関」とは大学などを意味し、「リポジトリ」は貯蔵庫を意味します。つまり「電子図書館」の一種です。特に大学教授や研究者が作成した論文や研究成果資料などの「学術情報」をデジタル化して、各大学が管理し、インターネットを経由して学生や一般の人に「自由閲覧(オープンアクセス)」してもらおうという動きです。

これまでこうした学術ライブラリーは、民間の出版社が中心に行ってきました。例えば先だってiPS細胞研究でノーベル賞を受賞した山中先生も対象論文は『CELL』という化学系学術誌に発表しています。しかしこうした商業的な学術雑誌の購読料は年々上がっていて、購入する大学にとってはかなりの負担になってきています。

そこで大学が主導して「機関リポジトリ」を設置し、教授の研究発表を無償で公開して学生や一般の人に対して知識の共有を図ろうとしています。私が現在、その旗振り役をしておりまして、すでに全国で約200の大学に「機関リポジトリ」が設置されました。将来的には、博士号を出している全国の大学での設置を目指しています。

――「機関リポジトリ」が普及することの意義は何でしょうか?

【先生】多くの人に等しく知の共有が図れることと同時に、大学の研究成果を公表することは、社会に対する大学側の説明責任(CSR)の一環ともなるものです。

また、高校生を含む学生に対しても先生方の最新研究が「機関リポジトリ」を通して見えてくるということは重要だと考えています。特に人文社会系においては、日本語の論文が中心ですから、「機関リポジトリ」を通して研究成果にアクセスしてもらうことで、多くの高校生にも学問研究に関心を持っていただけるきっかけが提供できると思います。

――先生の研究のやりがいはどこにありますか?

【先生】科学研究の成果を情報という観点から伝えていくことが、私の役目だと認識しています。より社会に普及させるための研究であり、科学の推進にもつながるものであるというのが、やりがいになりますね。

――小野さんは大学院でどのような研究をされているのですか?

【卒業生】修士時代は電子図書館システムの研究をしていました。これは検索システムから電子資料、電子書籍までをどう扱うかという研究です。現在は、「学生の情報利用行動」を研究しており、主に高校生が様々な図書館や書店等をどう使い分けて学習しているのか調査しています。最終的には図書館と学生の両者が使いやすいシステムとはどういうものかを導くものです。

――小野さんは高校で「情報科」教員もされていますが、どのような授業をされていますか?

【卒業生】「情報科」は、教科書を含め2013年度に改訂されるのですが、現在の教科書は、中学生の頃からインターネットを駆使している高校生にとっては、少々内容が古いんですね。そこで、日々ニュースで流れる時事的な話題を授業に取り込み、生徒の授業に対する関心を引き付けるような授業をしています。

僕も高校時代そうでしたが、高校生くらいだとよほど興味が向かない限り、授業へは集中できませんからね(笑)。

――「情報科」の授業内容を教えてください。

【卒業生】「情報A」では、パソコンの基礎からやりますが、情報社会の中でコンピューターを安全に使うにはどうしたらいいかというセキュリティの話もしますし、著作権や知的財産権、検索エンジンやウェブサイトの仕組みについても教えています。

また、授業ではプレゼンテーションを重視しています。他の人に情報を効率的に伝えるにはどうしたらいいのか、その手段として文章の作り方やレイアウトデザインなども扱いますし、また、口や身振り手振りでいかに伝えるかといったプレゼンテクニックも教えます。

――小野さんは起業もされていますね。

【卒業生】そうですね。㈱しずくラボというソフト制作会社を起業して、図書館検索システムや教育の発展につながるソフト開発を行ってきました。

僕の中で一貫しているのは、コンピューターやインターネットなどの情報網を活用して、図書館、学校、自宅を含む教育の場をより良いものにしていきたい、という思いです。

【先生】小野君は本学類でたくさんのレジェンド(伝説)を残している学生なんですよ(笑)。

【卒業生】いやいや(笑)。レジェンドというほどではないですが、例えば、まだYouTubeもない時代に、筑波大は約10年前から学園祭をネット配信していたんですよ。

その学園祭のライブ配信動画に、僕はネット上で初めて「コメント機能」というのを付けたんです。それを見た「ドワンゴ」という会社の人が興味を持ってくださり、技術指導をしに来てくださいました。その2カ月後くらいにニコニコ生放送というのが始まって、コメント機能が一躍メジャーになりましたね(笑)。

あと今でも一番の達成感を感じているのが、学園祭で研究内容を発表した「近未来書籍カフェ」という展示ですね。毎年の学園祭では、広島風お好み焼きなどの屋台が優勝するのですが、本と電子書籍を並べて、居心地のいい空間を作るという「近未来書籍カフェ」が優勝したのは今でもいい思い出です。学術と一般の人を喜ばすエンターテイメントの融合というコンセプトは、僕の目指している1つのテーマでしたし、また、研究室が優勝するのはつくば祭で初めてでした。

――山口さんは1年生ですが、授業以外ではどんなことに取り組んでいますか?

【大学生】現在3つのサークルに所属しています。筑波大学の宿舎祭で「ヤドカリ祭」というのがあり、その実行委員と、「Study for two」という教科書リサイクルを通して国際協力する学生主体の団体の活動、そして今一番頑張っているのが、「スパイスアップカフェALDOR(アルドア)」という学生カフェ団体での活動ですね。

サークル活動によって、他の学類や他大の学生、また、地域の様々な方々との交流が生まれるので視野が広がり楽しいです。

大学生活

――「知識情報・図書館学類」を受験した理由は何ですか?

【大学生】小学生のころから図書館が好きでした。将来的に職業として図書館と関わることも考えて、高校の時に図書館の司書さんに話を聞いてみたんですね。図書館員や司書になるには結構厳しいよ、入ってからも大変だよと聞いて不安はあったんですが、高3の4月に筑波大の研究室訪問をして、大学の方に就職先などを聞いてみて「図書館員になる人はそんなに多くはなく、みんな自分のやりたいことを見つけて就職していく」というのを聞き、ここにいれば私ももっと自分がやりたい職業が見つけられるかなと思いました。

また、高校時代、吹奏楽部でフルートパートのほか、プロデューサーを担当していたのですが、楽譜探しにとても苦労していました。そこで知人の協力得て楽譜検索データベースの作成を行い、情報システム系の研究の楽しさを知りました。 司書資格であれば、他大学でも取得可能ですが、図書館学、そしてデータベースをはじめとする情報関係の知識も学べると考えると、「筑波大学しかない」という思いでした。

【卒業生】「この学類しかない」という思いは僕もまったく同じですね。僕は中学校時代に鉄道研究会、いわゆる鉄研を自ら創設しまして(笑)、研究活動誌を当時のワープロで作成し始めたんですね。その後、図書館にある性能のいいパソコンを借りるようになって図書館との縁ができました。高校ではもっぱらコンピューターを使った学習ソフトやシステム作りを英語の先生と開発し始めたんです。

そのうち自分は教育・情報・図書館をリンクさせて学校や教育の場に貢献したいのだと明確になり、また筑波大学に憧れのベンチャー起業家の先輩がいたこともあって、本学類を選びました。

――筑波大学ではAC入試(アドミッションセンター入試)という制度もあるそうですね。

【先生】はい。勉学について明確な目的意識があり,その目的を達成するために必要な資質と気力を備えている人を選抜するため、AC入試を実施しています。通常の推薦入試もありますが、推薦理由では学力が重要な指標となっており、一般の入試で入学してくる学生との類似点が多くなるのが実情です。本学類のAC枠の定員は5名です。試験内容は厳しいものがあります。この入試方法では、中学あるいは高校でどんなことをやってきたか、そしてその学びの延長として本学類が本当にふさわしいかどうかという観点で判定しています。

【大学生】私の場合、一般入試では学力不足でしたのでこれしかありませんでした(笑)。学力がどうにも伸びず、いったんは筑波大学の受験を諦めていたんですが、よく調べてみると「AC入試」があることに気づき、準備に入りました。高校時代に行った「楽譜検索データベースづくり」作業を中心に、かなりの文量のレポート作成と自己推薦書等、出願に必要な書類作成を行いましたが、これが想像以上に大変で、周りの受験勉強をしている友達がうらやましかったほどです。でも今は、あきらめかけていた夢を手に入れたという達成感でいっぱいです。

――知識情報・図書館学類には文系・理系どちらの学生が多いですか?

【大学生】私は文系ですが、文・理半々という気がします。
図書館が好き、本が好きという人は多く、図書館の話になるといろんな情報を友達が教えてくれます。高校時代は友達と図書館の話なんかできなかったので、とても楽しいですね。

【卒業生】僕の時代は文系が多かった気がしますね。ただ僕の周りには、図書館だけでなく、情報システム系にも関心を持つ人が多かったです。

【先生】図書館に限らず、情報の集積、整理、さらには公開といった、データベース作りとそのシステム管理などに関心のある受験生は、ぜひ本学類に挑戦していただきたいですね。

――では入学後に苦労するのは文系・理系のどちらなのでしょうか?

【先生】本学類では1年次からプログラミングだけでなく、数学も徹底的に学びます。ですから高校時代に数ⅡBまでは履修していないと苦労するでしょうね。数学が分からなければコンピューターや論理的な考察方法はわかりません。また、今日、情報学の重要な基礎となっている「哲学」も1年次の必修科目です。

文系・理系のどちらであっても、1年次の勉強は少々大変になりますね(笑)。

【大学生】学びたい目標があって入学しているので、大変ですが頑張れます。

――数学やプログラミングなどわからないことはどうするのですか?

【大学生】私のような文系の学生は、理系出身の友達に数学を教えてもらっています。

【先生】人に教えることで、自分も学びが深まりますので、学生同士が教え合うということも大事にしています。

その一環として、図書館の一部を借りた「春日ラーニングコモンズ」という学生チューターが後輩を指導する相談所も、本学類の特徴的な施設の1つになっています。これは、図書館を学生の学力向上の場、学習意欲を高める場にしたい、という試みでもあります。

【大学生】私はプログラミングについて聞くことが多いのですが、チューターさんは答えをズバリ教えてくれるわけではありません。答えを導く過程や、こういう方法もあるよと考え方のヒントを教えてくださいます。他にも履修したい授業の内容など、学生生活全般に対しても質問ができるので、「春日ラーニングコモンズ」はとても助かりますね。

【卒業生】ちなみに「春日ラーニングコモンズ」を2008年に開設したのは、他ならぬ逸村先生です。

――特徴的なカリキュラムについて教えてください。

【先生】科目は必修から専門まで構造化されており、体系的な学びを実現させています。また、学類共通科目として「知識情報特論」というのを設けていまして、これは4年生になってもしっかりと学びます。授業内容も興味深いもので、例えば、東大の先生を招聘して、3.11と原発事故でコミュニケーションはどう変わったか、といったテーマをかなり高いレベルで講義したりします。

また、3年の夏休みのインターンシップ(職業体験)では、希望者は国内外の公共図書館で情報システムを学びます。このインターンシップは全国レベルで見てもかなり充実した内容ですね。

また社会に出てから役立つ実学的な授業も多く取り入れています。特に学類として「プレゼンテーションテクニック」に力を入れています。パワーポイントを使ったプレゼンテーションはもちろん、パワーポイントを使わない、口と身振りで自分の主張を伝えるプレゼンテーション技能も教えます。

――役に立っている授業にはどのようなものがありますか?

【大学生】逸村先生が担当の「情報基礎実習」は基礎から教えてくださるので、とても参考になっています。word、excel、パワーポイント等の使い方も教えてくれるので、これからに役立つなと思いますね。レポートは膨大ですが(苦笑)。

【先生】この授業は早く大学での学習に慣れてもらうための授業です。特に大学を通して課題となるレポート作成の基礎を作るため、あえて課題は膨大なんです。山口さんはACで入ってきているので、レポート作成がどんなものかわかっているからいいけど、一般入試で入ってくる人たちの多くは、いかに簡潔に答えるかばかりを重視するので、そういうレポートには思いっきり赤を入れます(笑)。

【大学生】他に「情報リテラシー実習」という授業では、パワーポイントを使ってプレゼン用資料を作ります。例えば、「筑波大のいいところ」というテーマで3人ぐらいのグループで作成したり、筑波大を紹介するパンフレット作りの課題が出ます。

他の人たちの発表も見ますので、プレゼンの技、パンフレットづくりの発想など、刺激や参考になることもあって楽しい授業です。

【先生】授業を改編するに当たり、前述しましたが、論理性を重視して、パワーポイントを使ったプレゼン能力を強化しようと学校側では考えました。就職後も活かせるスキルの基礎は、1年生の頃に叩き込むという、そんなシステムの授業です。

【卒業生】印象的だったのは、1年次の最初の授業で先生が「君たちの未来は暗い」と、開口一番先生に言われるんですよ(笑)。当然ながら、ガクーンと来ますよね(笑)。

でもよく聞くと、それは「図書館が好きとか本が好きとか、そんなありきたりな思いだけで司書になろうと思ったら、君らの未来は暗いぞ」という意味なんですね。

図書館というのは、人々に知識情報を提供する大切な機関であり、今後は電子化も進んでいきます。ですから、さらに教育にいかに活かせる場にするか、ということまで深く考えて司書を目指さなければいけない、という教えなのですね。

この心構えは、今僕がやっている「情報科」教員の果たすべき役割とすごく重なる部分があります。「情報科」では、この情報社会の中でどうしたら効率的かつ安全に情報収集ができて、さらにその情報を加工・編集して活用できるか、また効果的に他者に情報を発信できるか、情報技術を活かして教育を発展させるか、ということ考えながら教えなくてはいけません。

ですから、とても大切な心構えを教えていただいた授業ですね。

就職活動・仕事

――知識情報・図書館学類の卒業生はどういう分野・業界の就職先へ進みますか?

【先生】毎年110名前後の卒業生が出ますが、そのうち1・2割が大学院進学で、司書を含む図書館関系に進む学生が1割ですね。一般企業の様々な分野で情報システム系の職に就くのがやはり1割ほどでしょうか。図書館も含む公務員や大学職員などが1ケタくらいで、あとは国家公務員として官庁へ入官していく学生が多いですね。

データベースやシステム作りに関する知識を身につけていきますので、幅広い分野への就職が可能だということですね。

【卒業生】そうですね。一般企業のエンジニア職が多いと思います。
他にも、図書館員になった人もいましたし、博物館で「デジタル・ミュージアム」の担当者になっている知り合いもいます。

【先生】国際船舶関係や貿易関係へ進む学生も多いですね。また物流の中でも国際物流・貿易に関わる運送業者や大手倉庫管理会社等、商社、航空関係事業者など様々です。

――小野さんが「情報科」の教員になられた理由は?

【卒業生】中学校、高校時代から、コンピューターやインターネットを使った勉強の効率化のためのソフト作り、情報の加工・発信などをやってきました。これらを通して、情報技術は教育に大きく貢献できるということを確信していたので、「情報科」教員になるという1つの目標ができました。

一方で、より良いソフト制作やシステム作りをしたいという目標もあり、卒業後に大学院へ進学しました。学部時代までは大学の研究室の中で、コンピューターを前にした研究が中心でしたが、教育現場を知らずに調査を進めることに限界を感じ、高校教師になることを決意しました。

現在の勤務先であるお茶の水女子大学附属高校を志望した理由は、学校に情報科教員が僕1名であったからです。教員になるのなら、生徒の興味を持てる授業をしたい、役立つ授業をしたいと思っていました。少々独創的にもなるでしょうから、他の先生と足並みを揃えなければいけないというのは、私には無理かなと考えていました(笑)。

――仕事のやりがいはどんな時に感じますか?

【卒業生】生徒に関心を持って授業に集中してもらうよう工夫をしているので、こちらの意図が伝わったと感じた際や、また、授業で伝えた内容に対して生徒から「先生、あのシステムを使ってみました」と反応があった際にやりがいを感じます。

今後も、図書館情報学で培った学際的な知見を通して、本質的な情報教育の在り方を研究し、生徒の皆さんへ還元したいですね。

5年後のプラン

――皆さんの将来の夢・目標は何ですか?

【大学生】大学院には憧れがあります。それは研究目標があってというよりも、単に「院生ってかっこいいな」という単純な憧れなんですけどね(笑)。

院生の方にもいろいろと話を聞いて、自分が院に進むことの目的などを考えてみようかなと思っています。大学院へ進むにあたっては、資金面の協力を獲るために親へのプレゼンもしなければいけませんので(笑)。

一方で、就職先として、出版系にも関心があります。これはある出版社の編集部を訪ねたことがあって、自分の興味とのマッチングを感じたからです。

【先生】私は大学の図書館というものが、5年後のニーズに即した形であれるように尽力したいと思っています。

「春日ラーニングコモンズ」もそうですが、ネットワークと融合して知を共有するという形はまだ多くの可能性を秘めていますから。そういうものの手助けを出来ればと思っています。

【卒業生】僕は高校教師になったことで今までの夢を全部達成してしまったんですよね。ですから、これからどう生きたらいいの、という感じなんですけど(笑)。

真面目に言うなら、直近の目標は、研究者として成果を出すことですかね。先ほども言いましたが、図書館と学校教育に情報技術を通して貢献したいです。

――学校の図書館が抱えている課題にはどのようなものありますか?

【卒業生】僕にとってはソフト開発も重要な研究テーマなのですが、いいソフトを開発するには、ユーザー目線がどうしても重要になります。そこでユーザー目線を探求するために、「情報利用行動」を学ぶ必要があると感じています。

現在の、特に中高生が使う学校の図書館は、まだ生徒側の使いやすさやニーズが汲み取れてはいないと感じているんですね。そこで中高生の「情報利用行動」を研究し、データを上げないと日本の学校の図書館はこれ以上発展しないかなという危機感がありますね。

アドバイス

――もし高校生に戻れるとしたら、何をしたいですか?

【大学生】地域社会やコミュニティとのつながりを持っておきたかったと思います。高校時代は部活と勉強で目いっぱいでした。大学に入り、高校時代に留学したとか、ボランティア活動を続けていたとか、いろんな活動をやっている人と出会うと、自分ももっと視野の広がることをしておけばよかったと実感しますね。

【卒業生】僕はまず、イケメンでやり直したいですね(笑)。
いや、ほんと暗黒時代でしたからね、高校のときは。高校では部活もあんまりやってないし、英語の先生とソフト作りばかりやっちゃってましたからね(笑)。
普通に高校生活をエンジョイしたいです。

――進路選択に関して何かアドバイスをいただけますか?

【先生】高1の段階で、大学や将来のことを真剣に考えてみるのはいいことだと思います。ですが、安易に文系理系と決め付けない方がいいですね。例えばうちの学群は、理系の学生でも少し文系科目を勉強すれば入れるし、文系の学生でもなんとか数ⅡBまで頑張ってもらえれば入れるように、間口を広くしています。

知識を貯め、数学的な論理的な能力、文学的な能力などを磨くのは高校時代がやはり一番良いですね。ですから高校時代に狭い範囲に自分の型をはめるのはもったいないという気がします。高1で一度考えた後、高3くらいで再度しっかり考えてみればいいと思います。

【大学生】私も同感です。高3までに文理転向をした友達も多いので、早くから「捨て科目」みたいなものは作らない方がいいですよね。

また、私は筑波大学を良く調べた結果、AC入試を知り、挑戦することを決めました。 志望する大学が見つかったら、その時点で学力が足りないと感じたとしても、その大学の入学方法などを調べてみて、あきらめずに頑張ることをお勧めします。

【卒業生】遠い先を見すぎずに、まずは夢や目標を直近に1つ作って、それを達成していく。その繰り返しで1つ1つクリアしていくと、気付いたら大きな目標を達成していたということもあると思いますよ。

――勉強のモチベーションを高めるにはどうしたらいいでしょうか?

【大学生】私は積極的に学校訪問をしたり、学校のシステムなどを調べたりして、とにかく志望校のことを常に頭に置くことで目標意識が強まりました。これは、日々の学力アップのためのモチベーションにも必ずなると思います。

【卒業生】特に苦手教科であれば、周辺情報から関心を持つきっかけを探す方法があると思いますね。例えば最近では『数学ガール』という小説が人気ですが、人間模様を楽しみながら数学を学ぶという形なら関心が向くかもしれません。

情報の中でもフェイスブックなどSNSを教える際でも、『ソーシャルネットワーク』という映画を生徒に薦めたりもします。映画や小説など、人間模様が関わってくると、そのテーマを学ぼうとするモチベーションが高まりますね。

【先生】受験勉強で得た知識は、うまく変換すれば大学でも社会でも、あるいは世界でもきっと役に立つものになります。

数学はコンピューターをやる上で重要ですし、歴史の知識は理科系にも活かせるわけです。「受験のためだけの勉強」と考えずに、「自分が将来において何をやりたいのか考えるための勉強」と捉えることでモチベーションは高まると思います。

また、就職先など大学の先のビジョンは漠然としていてかまいません。ただ、世の中を見てみると、世界へ出ていくのは必須の流れです。ですから海外との接点は必須ですし、国際化を視野に入れておくことは重要でしょう。

そういうつもりでいろんなことを学び、なんでも糧にしてしまおうと、いう気持ちでやっていただくのがいいでしょうね。

アピールポイント

――最後に知識情報・図書館学類の素晴らしいところをアピールしてください。

【大学生】図書館マニアのような友達もいて、変わった図書館に行きたいなというと、こんな図書館もあるしあんな図書館もあるよとか、いろいろ出てきます(笑)。
図書館のことから情報までいろいろと幅広く学べるのが魅力です。

【先生】カリキュラムのことは前述しましたので、生徒の学び、やる気、自主性を尊重した学校側の柔軟性にあると思います。小野君みたいにドクターに入った途端に「高校の教員採用試験を受けたいんですけど」って言っても「そう、頑張ってみたら」と学生の自主性を尊重します。

また、学生がWEBラジオをやりたいと言い出したら、多少の手続きはありましたけど、「いいんじゃないの」と言ってあとは学生の好きなようにやらせている、ということころもありますね(笑)。そういう柔軟なところは本学の素晴らしい点だと思いますよ。

図書館という、ある意味、古色蒼然とした部分もあるんですけど、一方でデジタルライブラリという新しい流れに変えようという動きもあるわけで、そういう柔軟性、フレキシビリティというものは、入ってみてぜひいろいろ考えて感じてもらえばいいですね。

【卒業生】僕はもう、ズバリ一言でいうと、日本最先端の図書館情報学を学べること。この一言に尽きると思いますよ。

情報を収集し、管理・蓄積して、人々がどこにいるのかを知り、その人々にどう伝えていくのか、という本当の「情報学」を最先端の高いレベルで学べるのは、筑波大学を置いて他にはないと思いますね。

筑波大学 情報学群 知識情報・図書館学類

「情報科学類」・「情報メディア創成学類」・「知識情報・図書館学類」の3つの学類から構成されています。あらゆる情報分野を学ぶことができ、将来の情報科学・情報技術を担う人材の育成を目指しています。