●プロフィール
先生の研究されている専門分野に関して教えてください。
■先生
キーワードを言いますと、「フランス革命とメディア」です。フランス革命は18世紀末に起きた大きな市民革命ですが、「この革命はメディアが起こしたのではないか」という仮説を立て、革命とメディアの関係を考察しています。「アラブの春」と呼ばれる民主化運動が中東諸国を席巻していますが、ツイッターやフェイスブックなどのインターネット・メディアが革命の火を起こしたと言われています。歴史学の学問的な意義のひとつは、過去を知ることで現在を認識することです。そこで、フランス革命当時のメディアの動きや内容を調べることで、現代社会の現象を分析することが私の研究内容になります。
フランス革命当時のメディアにはどのようなものがあるのですか?
■先生
フランス革命の幕が切って落とされると数多くの新聞が創刊されました。また本・パンフレット・ビラ、そして日本では浮世絵、錦絵などと呼ばれる世相を描いた版画なども当時のメディアとして挙げられます。これらのメディアはそれぞれに横のつながりをもっています。例えば、新聞が本の紹介記事を掲載したり、新聞で報道された事件が版画で再現されるなど、それぞれが関わり合いをもっているという部分は大変興味深いですね。現代社会には「メディアミックス」という言葉があります。フランス革命においても、そうした現象が生みだされていたと考えています。ですので、当時のメディアを単体としてではなく、いくつかのメディアから構成される複合体としてとらえながら、メディアが社会を動かすプロセスを総合的に検証しています。
新聞の記事の書き方などを注視されているわけですね?
■先生
「メディアが人びとを動かす」ということもあるのではないかと考え、フランス革命期のメディアにその痕跡を探しているわけですが、ただ単にメディアの中身だけでなく、それらの形態も調べています。当時は小型の新聞もあれば大判の新聞もあり、また日刊紙、週刊紙、月刊紙などそれらの発行間隔の規則性も多様です。さらには一定の期間毎に一巻に合本される新聞や、挿絵などを付録として配布する新聞など、新聞の形態は多種多様であり、それらが果たし得た機能も分析します。
研究の進め方は具体的にはどのように行うのですか?
■先生
まずはフランス革命当時のメディア(現物)を実際に確認します。もちろんフランスでの現地調査も大切ですが、日本の大学図書館を訪れて、そこに所蔵されている当時のメディアを自分の目で確認することから始めています。
先生が「フランス革命」に興味を持ったきっかけは何ですか?
■先生
単純ですが、私は7月14日生まれです。この日はパリの民衆がバスチーユ監獄を襲撃した日で、フランスでは国民の祝日です。これがひとつの理由です。それだけではありませんが、これを言うとみんなが喜ぶので、一応こう言うのです(笑)。もちろん、「世論が名もなき民衆を導いて歴史を動かした」ということが、研究対象として十分に魅力的だからです。
研究成果のアウトプットはどのようにされていますか?
■先生
学会での研究報告や学術雑誌に研究成果を発表します。発表の場は主として歴史学関連の学会・学術雑誌になりますが、私の研究テーマから出版史、ジャーナリズム史、美術史関連の学会・学術雑誌でも発表しています。
中川さんの在学当時の専門は何ですか? また、現在どのようなお仕事をされていますか?
■卒業生
大学時代は平先生のゼミに所属していました。卒業後は文教大学大学院国際協力学研究科修士課程に進学し、教育分野での国際協力を学び、ラオスという国をテーマに研究しました。2013年4月より、海外にある日本人学校の教員をやっています。
佐藤さんは現在4年生ですね。ご専門は何ですか?
■大学生
私も平先生のゼミに所属しています。卒業論文のテーマは、中国の太平天国の乱をフランス革命のモデルを使って解釈するということです。
学生生活ではどのようなことをされていますか?
■大学生
小学校・中学校で学習ボランティア指導をやっています。出向先は自分が通っていた母校で、週末やテスト前の時期に訪問して、勉強を教えたり一緒に遊んだりしています。また塾講師のアルバイトでは、世界史、英語、国語を担当しました。
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