●プロフィール
電気電子情報通信工学科の特徴を教えていただけますか?
■先生
まずは学科名にあるように、「電気・電子・情報通信」の幅広い分野が学べることです。もし今は漠然と「電気に関することが学びたい」という方でも、この学科に来れば、3年次までには自分の熱中できる、あるいは面白いと思える専門分野に出会えると思います。そして、就職の際に有利な点も挙げられます。本学科で学ぶ分野は、あらゆる企業においてニーズがありますので、就職も幅広い業種から選べます。
■卒業生
幅広く学べるということは「引き出しの数が増える」ということですから、就職してからもいろいろとメリットがあるのだと思います。
■大学生
幅広く学べるので、高校時代に明確な目標が無い人でも入学後に目標を探すことができます。実験器具や施設もかなり充実していますので、座学+実験でかなり実りのある勉強ができる環境だと思います。
先生の研究内容について教えてください。
■先生
キーワードは「無線通信」、「電波、電磁波」になります。
特に近年は、「移動体に使える無線技術」が私のメイン研究になっています。高速道路ではETCという無線を使った便利な料金支払い方法がありますが、こうした無線技術が私の研究分野を代表する例です。携帯、カーナビ他、移動体通信の需要がとても高まっている中で、まだまだ改善すべきことは多くあります。例えば、電車に乗る時はパスモやスイカなど、タッチ式のセンサーカードが使えますが、これをタッチせずにかざすだけにするにはどうすればいいかということもそのひとつです。携帯電話で言いますと、地下鉄線路内での通信はかなり改善されていますが、電波の届かないエリアがまだありまして、そういうエリアを減らすにはどうすればいいのかといったテーマにも取り組んでいます。
電波の存在は皆さんが知っていますが、実際は目には見えないものです。こうした無線通信研究では、電波の伝わり方を可視化したりして直観的に理解した上で解析します。そうして電波の伝搬する様子が分かると、次に、では電波を届きやすくするには何が必要か、逆に電波を届きにくくするには何が必要かなど、電波の伝搬に関していろんなことがわかってくるのです。
電波、電磁波を見えるようにする「可視化」はどのように行われるのですか?
■先生
電波、電磁波というのは、電界と磁界が振動しながら空間を移動伝搬して作り出しています。肉眼では見えませんが、各種の装置を使うことで電波・電磁波を粒子状に捉えて可視化することができます。可視化にはその方向性や濃度で分析する等、いくつかの方法があります。電波は空間を移動するという方向性を持つため、その動きを「ベクトル」で表すことができ、また、強弱を持ちますので「色の濃度」「粒子の大小」で表示することによってそれらを判別することができます。
「3次元の可視化装置」というものもありまして、映画館の3D作品を観るように液晶のメガネをかけて見ると、空間の電波・電磁波の粒子が動き回っている様子やこちらに向かって突き刺さってくる様子が見えたりもします。
実用化に向けた技術研究がメインなのでしょうか?
■先生
大学で行っている研究は電波、電磁波のふるまいや伝わり方など、まだ未解明な部分の基礎的な技術に関する先行研究です。これらがわからなければ、実用化に向けた応用技術は生まれてきません。ですので、基礎技術研究が中心です。
また、実用化技術研究をしている企業からも相談は多く受けますし、企業との共同研究を行う場合もあります。私のところへの相談が多い企業としては、通信関係、車に付属する通信機器関係の企業などです。共同研究は企業のニーズに直接触れ、企業の活動内容を知ることができるため、学生にとっても良い経験となります。共同研究を機に、就職先としてその企業を考える学生もいます。
金崎さんの現在のお仕事について教えてください。
■卒業生
私は現在、電子部品メーカーにて、企業顧客に対する商品の販売促進業務を行っています。電子機器を取り扱う製造業分野のあらゆるメーカーに対し、商品の有効な使い方の説明や、技術的なことを含んだ提案などを行っています。顧客の現在抱えている問題や、将来的に起きそうな問題を聞き、それらに対して自社商品を使っての問題解決策を提案するわけです。
商品開発の仕事ではありませんが、問題解決のために自社商品をどう活かせるかという部分においては、答えを導くため私自身も研究業務を行いますので、販売促進のための顧客へのコンサルティングと研究職が合わさったような職種になります。
■先生
要はトラブルシューターだよね(笑)。問題解決のための最善の部品提案をするわけですよ。
■卒業生
そうですね(笑)。
鈴木さんは現在4年生ですが、卒業研究テーマはどのようなものですか?
■大学生
白井先生の研究室で電波の可視化を主にやっています。ちょっと専門用語になりますが「FDTD法」という方法を用いて、ビルの外から入ってきた電波が室内でどのように反射や透過をしながら伝搬していくかを解析し、その結果を可視化しています。
今のところ私が得た結論としては、「外部から室内に入った電磁波は部屋の中心部で強くなっている」という分析になっています。
そういう研究をしていると日常で見かけるシーンにも反応してしまいますか?
■大学生
そうですね(笑)。ちょっと変わり者みたいですが、外を歩いている時など、家屋に設置されたテレビ受信用アンテナを見ると、そのアンテナから室内に電波が入って広がっている様子なんかをイメージしてしまいます(笑)
授業以外ではどのようなことに取り組みましたか?
■大学生
1年生の時からずっと同じアミューズメントパークで乗り物を動かすアルバイトをやっています。このアルバイトを長く続けているのは、来園するあらゆる世代の人たちが乗り物で喜んでくれますので、働いていてこちらも楽しくなるからです。
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