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大学生
末松由都さん

先生
町村敬志先生

卒業生
一色麻由さん
 

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス



●プロフィール




一橋大学社会学部の概要について教えてください。


先生
一橋大学は社会科学系の総合大学を謳っていますが、そのなかで社会学部は本学の基盤を支える役割を担う学部だと思います。他の大学との違いは明確で、他大学の社会学部は一般的に言う社会学を中心とした学部ですが、本学の社会学部は、社会学だけではなく、人文・社会科学のもっと広い領域をカバーし、学問の境界を越えた学びを実現できるところが大きな特徴です。具体的な学問分野を挙げるならば、社会学、教育学、人類学、社会心理学、政治学、地域研究、歴史学などがあります。他大学では法学部の領域である政治学や、経済学部の政策研究分野、文学部で扱う領域も、本学社会学部で学ぶことができます。


経済学部などの学問分野と接する部分も多そうですね。


先生
その通りです。一橋大学のもうひとつの特徴としては、学部間の壁が低いということが挙げられます。基本的には他の学部の授業も自由に履修できますし、学部間のつながりが深く、共同研究も盛んです。さらに、本学には社会学部独自の建物はありません。教員の研究室もいろいろな建物に混在していますし、教室も4学部が同じ部屋を共有しています。

先生のご専門について教えてください。


先生
研究分野で言うと、社会学が専門です。社会学は幅広い分野を扱うのですが、僕はその中でも特に都市や地域で起きている事柄を研究していますから、「都市社会学」が専門と言えます。「都市社会学」では、社会調査の手法を使いながら研究を行います。例えば、オリンピックのような大きいイベントがある際に、都市や地域の中でどのように準備され、都市開発などによって街がどう変化するのか、それによりどのような影響があるのか、ということをその場所を実際に訪れて、現地の人々の話に耳を傾けます。
また、東京を主な研究テーマとしており、東京の外国人コミュニティついても調べています。日本では、1980年代後半、いわゆるバブルの頃から外国人在住者の数が増え、日本の社会にさまざまな形で影響をもたらしました。研究では、例えば、新宿・大久保に行き、韓国の方たちが開いている焼肉屋や韓国家庭料理のお店を一軒一軒訪ねて、そこで働いているスタッフや経営者、お客さんから直接話を聞きます。そうすることで、韓国の食文化が日本の中でどのように広がっているのかなどが見えてきます。

一色さんは大学ではどういう研究をしていましたか?


卒業生
3年生の時のゼミナールでは、三宅島の地域研究を行いました。三宅島は2000年に大きな噴火が起こり、島民の方々が4年半にわたって全島避難しないといけない状況に置かれました。三宅島というひとつのコミュニティにいた島民の方々が、島を離れて他の地域に避難されていた中でどのようにコミュニティを再形成したのか、あるいは全島避難が解除された後の島の再生や復興がどのように行われたのかなどについて、ゼミ生十数名がそれぞれの興味・関心に基づいて、実際に島民の方などのお話を聞きながら調査をしました。

現在はどのようなお仕事をしていますか?


卒業生
2011年に株式会社ブリヂストンに入社しました。初任先は滋賀県の彦根工場で、人事労務を担当していました。昨年の8月に異動になり、現在は本社の労務部労務ユニットという部署で仕事をしています。具体的には、社員の労働制度や給与形態などの企画に携わっています。今まで日本ではどんどん仕事をして出世していきましょうという考え方がメジャーでしたが、最近はワークライフバランスという言葉がよく使われるようになりました。仕事だけではなくて、家庭生活を大事にするという発想ですが、いかにそのバランスをとっていくか、それを可能とする会社の制度や運用について考えています。

末松さんはどういう研究をしていますか?


大学生
私たちの学年は、ゼミナールの調査合宿で横浜中華街に行きました。横浜中華街は、実は単に中国の方が住んでいる街というわけではなく、昔から3代4代にわたって住んでいる方もいらっしゃれば、ここ30年くらいにビジネスを目的に来日した方もいらっしゃいます。それから、日本人の方が営む商店が意外に多いんです。私は、日本人、新しい華僑の方、古い華僑の方、それらのファクターがどのように関わり合いながら中華街を形成しているのかということを研究しました。個人的な感覚ですが、古くからの商店街のような特性に加え、現在ではテーマパークのような役割も有するところが、横浜中華街の特徴なのではないかと考えています。

大学生活で力を注いだことは何でしょうか?


大学生
主にサークル活動と学業です。学業では理系の学問を苦手としていたので、その分たくさん勉強しました。サークルについては、広告研究会HASCというサークルで活動しています。半期に一回、サークルメンバー全員でプレゼン大会を実施し、一橋大生の行動をおもしろい方向に変えていくプロジェクトを行っています。例えば、うちの大学は自転車通学の学生がものすごく多いのですが、あの自転車のすべてが広告だったら大きな付加価値が出るのではないかと考えたメンバーがいて、自転車のスポークホイールの部分に広告のカードを挟んでもらう企画を実施しました。

卒業生
私は中学の時から吹奏楽をやっていたので、大学でも吹奏楽のサークルに入って、1年から4年まで一貫して活動に力を入れました。
勉強面では、教員になることも少し視野に入れていたので、英語の教員免許を取るための教職課程を受講しました。社会学部の勉強以外に、英語学や言語学などにも力を注ぎ、4年次には教育実習に行きました。結果的に教員にはなりませんでしたが、教職課程での学びは自分の研究にも役立ちました。



  

 

  

●インタビューに答えてくれた方々


 


先生
町村敬志先生  

一橋大学大学院社会学研究科長・社会学部長・教授
北海道札幌北高校出身。東京大学文学部社会学専修課程卒業後、東京大学大学院社会学研究科にて修士課程修了、博士課程退学。東京大学文学部助手、筑波大学講師などを経て、1999年に一橋大学社会学部教授に就任。2000年より一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は、社会学、都市研究。著書に、『都市空間に潜む排除と反抗の力』(明石書店 2013年)、『開発主義の構造と心性』(御茶の水書房 2011年)などがある。

   


卒業生
一色麻由さん

株式会社ブリヂストン勤務
私立豊島岡女子学園高校出身。一橋大学社会学部卒業後、2011年にブリヂストン入社し、彦根工場総務・環境保全課に勤務。2013年8月より労務部労務ユニット所属。中学校より吹奏楽を続け、大学でも吹奏楽サークルで活動を行った。

   


大学生
末松由都さん

一橋大学社会学部社会学科所属4年生(2014年度取材当時)
福岡県立筑紫丘高校出身。高校時代はハンドボール部にてマネージャーを務める。大学では、一橋大学広告研究会HASCに所属。

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