●プロフィール
先生の研究されている専門分野に関して教えてください。
■先生
現在は「テレビドラマのテクスト(テキスト)分析」をテーマにした研究をしています。テクストの語源は「織物(テクスタイル)」からきていて、「編み込まれたもの」という意味です。つまり、ドラマに編み込まれているナレーションや俳優のセリフなど、台本を含めた言葉がまず大きな分析対象です。それ以外にも、出演者やストーリー構成、演技等の見せ方の演出、映像表現、時代的な要素など、一つのテレビドラマには、様々な要素が織り込まれています。これらの要素すべてを分析対象としています。
例えば、NHK朝の連続ドラマ「あまちゃん」では、80年代アイドルの話が語られる一方で、出演者の中には現代の人気アイドルや地域活性化の象徴であるご当地アイドルが出ていたりします。このようにテレビドラマなどにおいて、どのようなコンテンツ(情報内容)がそこに織り込まれているのかを、セリフであるテクストや出演者や演出など構成内容からも考え、社会学的な考察も加えて紐解く研究です。
もう一つの研究テーマは「ニュース言語分析」です。学問分野的には「言説分析」ですね。これはテレビニュースの中でアナウンサーが使った言葉や表現がどういう意味を持つのかなどを分析します。
研究はどのように進めるのですか?
■先生
テレビドラマの場合は大変で、一番詳細な分析をする時は、分析対象を録画に撮り、シーンごとに状況設定内容や登場人物のセリフを書き起こしていきます。これはかなり骨の折れる作業なので、頻繁にはやりません。
多くの場合は、メモを片手にドラマを観ていき、研究対象となるシーンに関して、セリフ等を書き起こしていきます。
最近では「明日、ママがいない」のように養護施設という設定だけでなく、登場人物の愛称やセリフが社会的に大きな波紋を広げたドラマがありましたが、分析対象でしたか?
■先生
さっそくきましたね(笑)。明日ママは、すごく重要な研究対象だと思います。10回放送の連続ドラマですが、初回などでは施設長が極悪人のように描かれるわけですね。その後、それが実は胸に秘めたある思いからのものであり、その人物の真の姿ではない、という感じで本当の人間性を見せていくという展開になります。こうした演出や、使われるセリフが、どのような意味を持っているのかを分析しています。
窪田さんも明日ママ、観ているよね?
■大学生
あ、私は裏番組の「僕のいた時間」派なので…。
■先生
えー(笑)。
■卒業生
僕も時間が合わなくてしっかり観ていませんが、スポンサーが全社降板するという異常事態にも関わらず、放送を続けたテレビ局の姿勢には、同じテレビ業界の人間として、考えさせられる部分がありました。
ドラマを通して、時代背景や社会的な影響に関しても分析はされますか?
■先生
はい。テレビドラマは基本的にエンターテインメントであり娯楽です。つまり、放送当時の時代の人々、視聴者を楽しませるものです。では、どういうコンテンツであれば当時の人々にマッチし、視聴され続けるのだろうか、ということをまず考えていきます。
そうしますと、時代ごとのヒットドラマには、その当時の人たちがドラマに託した夢や希望、あるいはその時代における強い関心といったものを切り取ることができるわけです。そうした形で、その時代における人々の営みを考察していきます。
研究のアウトプットは主にどういう形で行いますか?
■先生
単行文にしたり雑誌に寄稿したりすることが多いですね。論文にもしますが、論文では多くの人には読んでもらえませんので、なるべく社会の目に触れるかたちでアウトプットしていきたいと考えています。
寺田さんの現在のお仕事を教えてください。
■卒業生
フジテレビの編成制作局バラエティ制作部に所属していまして、アシスタント・ディレクター(AD)業務に従事しています。AD業務を一言で言いますと、番組制作における何でも屋です(笑)。番組を作る過程において必要な諸手配、下準備を行い、番組収録の際には収録現場で出演者へのカンペ出しから番組の進行管理までを行います。
スタジオ収録番組でよく大きな笑い声がスタジオ内で起こっていると思いますが、あの盛り上がりをお茶の間に届けるのも、ADの大事な任務なんです(笑)。
担当番組の「SMAP×SMAP」ではADを、深夜番組ではディレクター職をさせてもらうこともあります。ディレクター職の場合、収録現場においては「調整室」というブースにいて、複数あるカメラの切り替え指示や、ADへの指示を出すなど、番組全体の監修業務を行います。
大学時代の所属学科は何ですか?
■卒業生
メディア社会学科卒業で、「藤田ゼミ」でテレビドラマのテクスト分析について学びました。
窪田さんは現在2年生ですね? 所属学科は何ですか?
■大学生
私は「社会学科」です。ゼミは「藤田ゼミ」で、やはりドラマ研究をしています。この2月と3月は、実際に自分たちでドラマを制作も行っています。
■先生
本学は1年次に「基礎ゼミ」があり、2年次から「本ゼミ」に所属します。私のゼミは、社会学科とメディア社会学科のどちらの学生も履修できます。
大学以外では何か活動はされていますか?
■大学生
部活は特にやっていませんが、アルバイトを2つほどやっているのと、テレビメディアの現場を学ぶために「東京中野テレビ」というインターネットテレビ局で、ボランティアとして働いています。
|