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大学生
國分歩野さん

先生
諸星美智直先生

卒業生
佐藤彩さん
 

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス



●プロフィール




國學院大學文学部日本文学科ではどのようなことを学べるのでしょうか?


先生

文学部は学内でも最も古い歴史を持つ学部です。人文系の学問において、明治以降の近代学問史のかなりの部分、すなわち文学、歴史、日本語学、それぞれの分野の研究に大きく寄与してきた点が特色です。
その学科の一つである日本文学科は、日本文学、日本語学、伝承文学の3つの専攻と書道課程から構成されており、2年次より希望する専攻に進みます。また、書道は専攻ではありませんが、学科内の大きな位置を占めており、関連の講座も多く設けられています。


先生の研究内容について教えてください。


先生
私の専門は日本語教育学で、時の流れとともに3つの分野に関する研究をしてきました。
最初の研究は、近世語に関連する内容です。特に江戸時代の武士の言葉を研究対象にしていました。例えば、「遠山の金さん」のような取り調べ、あるいは吉原の花魁と武士の会話、そういったものについて、話し言葉で書かれた記録史料を探していくことが、私の研究のスタートでした。

近世語は現代語にどのようにつながっているのでしょうか?


先生
文法、発音、語彙、それぞれが変化し続けながら古典語が近世語を経て現代語にまでつながっているのですが、江戸時代の言葉は現代語と古典語のちょうど真ん中にあたります。
両者の中間の言語である近世語を知り、どう変化してきたのか、つながりがどうなっていたのかを調べることは、国語教育、日本語史を学ぶうえでの基本となります。また、國學院大學は明治期に国語などの教員免許が取得可能となった最初の大学の一つで、当初は師範学校でしか教員免許が取れなかった中、国に働きかけ、私学でも免許を取得できるようになったという経緯があります。ですから、本学にとって国語教員養成、そして国語教育・日本語教育はある種の使命や歴史を帯びているのです。

国語教員の養成は國學院大學の基幹なのですね。


先生
その通りです。ところがその後、少子化で教える子どもの数が少なくなり教員の仕事も減っていくという時代に入りました。この頃から、急増する外国人留学生への「日本語教育」へと私の研究分野も方向転換しました。
この「日本語教育」という学問も、教材研究や教授法の研究などいろいろな分野がありますが、私の場合はもともとの専門領域を生かして、日本語教育の100年の歴史を扱います。たとえば、明治時代、辛亥革命の前からアジアからの留学生に対する日本語教育が盛んになっていきます。魯迅が日本語を学んだちょうどその頃の教科書の作成に本学の卒業生もたくさん関わってきたのです。そこで、日本語教育史をより深く研究するため、当時の教科書に関する分析を行いました。

現代の国際化社会においても重要な分野ですね。


先生
そうですね。しかしここでまた、ちょっとした問題にぶつかります。「日本語教育史の研究」というのは、確かに日本人の日本語教師には重要な知識なのですが、海外から来た留学生にとっては、あまり関心がない事柄です。なぜ100年前の日本語を勉強するのかと彼らは感じるでしょう。それは、日本人が英語を勉強する場合にも全く同じことが言えます。たとえば、中高生にシェイクスピアの時代の綴り方や文法を教えたら、きっと好まれないのではないでしょうか。むしろニューヨークで実際に話されている最新の英語を勉強したい、と思うのが大多数だと思います。そこから、私の研究の対象も、第3の分野「最新の日本語」というものに移ってきたのです。
外国人日本語学習者は少なからず、映画、マンガ、アニメといったサブカルチャーから日本、そして日本語に興味を持ち始めます。しかし、いざ日本語が上達してくると、ビジネスでも日本語を生かせないかと考えることになります。そこで「ビジネスで使う日本語」が重要になってくるのです。

日本人が学ぶ「ビジネス英語」と同じですね。


先生
はい。日本の大学では「ビジネス英語」の講座は充実していると思います。しかし「ビジネス日本語」という概念はまだ浸透していません。一方、海外の大学では日本語のビジネス会話とビジネス文書の両方を扱う授業が増えています。こうしたことから、いま、「ビジネス言語学」という新しい枠組みを提示しています。研究室の目標にしているのは、「経済活動に伴う言語行動の研究」です。これは「ビジネス言語学」を言い換えたものになります。

國分さんのご専門は何でしょうか?


大学生
先生がおっしゃったように日本文学科には3つの専攻あるのですが、そのなかで、これから社会人として働くうえで一番「現代と通じている」ものを、ということで日本語学を専攻しています。最初は方言の研究に興味があったのですが、次第に諸星先生が力を入れていらっしゃるビジネス文書、あるいはビジネス会話のなかの敬語に興味が移りました。
4年生の演習では、「飲食店で使われている敬語」について検証し、研究発表を行いました。よく使われる敬語はどんなものか、その敬語は誰へ向けたものなのか、果たしてそれが正しいのかどうか、あるいはお店のランクによって敬語に違いがあるのか、など身近なテーマを扱いました。文学部といえば、「過去のことを勉強する」というイメージを持たれがちですが、現代社会に通じる日本語の勉強ができたことがよかったと思っています。

サークル活動など、学業以外についてはいかがですか?


大学生
スキー部のマネージャーをやっていました。中学、高校時代はダンス部に入っていたんですが、大学に入ったら一本に絞らず、いろいろなサークルを見てみたいなと思い、たくさん見学に行きました。最終的にはスキー部の先輩が語るビジョンに共感し、ぜひ入ってついていきたいなと思い、入部を決めました。

佐藤さんのお仕事について教えてください。


卒業生
神奈川の県立高校で国語の教員をしています。今年初任で、2年生の副担任も務めています。また、進路グループに属し、進路選択にあたっての学校と進路先との架け橋の役割を担っています。

職場には同期採用の同僚はいますか?


卒業生
私の勤務校では同期が1人ですが、これは少ないほうで他校では5人、あるいはもっと多く新任の教師が入る学校もあります。過去に大量に採用された先生方が定年で退職する時期を迎えていまして、私たちは「第2次大量採用世代」と呼ばれています。

約1年間先生をやってみてどうですか?


卒業生
やはり教えるのが仕事ですので、授業に重きを置きたいところですが、進路指導、それから日常の生活指導面に関する仕事も少なくありません。それが予想外に多く、大変です。



  

 

  

●インタビューに答えてくれた方々


 


先生
諸星美智直先生  

國學院大學文学部教授
私立中央大学附属高等学校出身。國學院大學文学部卒業。同大学院文学研究科日本文学専攻・博士課程後期単位取得満期退学。徳島文理大学短期大学部経営情報学科専任講師、國學院大學専任講師・助教授を経て現職。

   


卒業生
佐藤彩さん

神奈川県立高等学校勤務
神奈川県立海老名高等学校出身。國學院大學文学部日本文学科卒業。現在は高校の国語科教員、および2年生の副担任を務めている。
※内容は2014年2月当時のものです。

   


大学生
國分歩野さん

國學院大學文学部日本文学科4年生(2013年度取材当時)
私立國學院大學久我山高等学校出身。中学、高校時代はダンス部に所属。大学ではスキー部のマネージャーを務めた。

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