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大学生
松元隆輝さん

先生
上山大信先生

卒業生
小野隼さん
 

CONTENTS

●プロフィール    ●大学生活について     ●就職活動、仕事について
●5年後に向けて    ●高校生へのアドバイス



●プロフィール




先生の研究されている専門分野に関して教えてください。


先生
主に、自然界に存在する生物などが作り出すパターンや模様、形などを数理的に解明する研究をしています。
例えば、ここにハス、アンモナイト、水晶などのサンプルがありますが、どれを見てもある種の規則性を持ったパターンができています。「なぜこういうパターンが自動的にできるのか」は、実は大いなるミステリーです。それを「生物の神秘」として片付けてしまうこともできますが、そこには意図的、あるいは意思的なものがあるはずで、そのメカニズムや原理を、数学を使って解明していきます。よく使うのは「解析学」、その中でも「偏微分方程式」です。また、「コンピュータ・シミュレーション」の知識が必要になります。
私の現在の関心は、どういうパターンが生物的で、また非生物的なのかということです。パターンに対して数理的な説明がつけば、その形成メカニズムが解明されたことになります。同時に非生物的とわかりますので、このメカニズムを工業や医療など多くの分野にも応用していくことができます。


現象数理学には社会現象の解明というテーマもあるそうですが、これはどういう現象を調べるのですか?


先生
例えば「流行の広がり方」や「伝染病の拡大のし方」に関する数理的研究があります。社会に情報やウイルスなどが伝播するメカニズムを、数理的に解明するわけです。 モデルというのは、コンピュータ・シミュレーションや数学などのツールを使い、伝播という現象を簡略化した場合に、どういうことが起こるのかをまとめたものです。つまりモデルは、現象を数理的に方程式として記述し、実際の現象を再現する試みとも言えます。
ですから、「伝染病の伝播」という1つのモデルができてしまえば、それを類似現象である「流行の広がり」といった他の伝播現象にも応用できるところが、現象数理学の面白さですね。
また、金融の世界で起こる株価の上昇・下落といった現象も研究対象です。株価などの現象には、人々の心理的な不安要素なども介在しますが、その面を除いたマクロなデータからの数理分析を行っていきます。

研究はどのような形で進めていくのですか?


先生
多くの場合、他の角度から研究されている方と共同で行います。例えば、生物が作り出すパターンであれば生物学的なアプローチをされている方と共同します。
最近では、外科医師と一緒に「心臓の表面にできる渦巻きパターン」の研究も行っています。私たちの身体は、心臓の表面にある渦巻きパターンが現れると、心室細動という状態になり命を落とすことになります。これは人間にとって、できてほしくないパターン例でもありますが、そのパターン形成が起こる原因やメカニズム、また、できたパターンを消す方策を解明することで、医療への貢献につなげていきます。

小野さんは大学院生ですが、現在どのような研究をされていますか?


卒業生
数理的な立場から、主に「錯視」を研究しています。


先生
「錯視」の数理研究は、5〜6年前から始まったばかりの新しい分野です。数理的に研究を進めると、錯視においてもその原理がわかってきます。そうすると、それまではメカニズムを知っている一部の名人にしかできなかったことが、普遍性をもって多くの人ができるようになる。それが数理的な研究の意義になると思います。
総合数理学部は2013年度から始まった学部ですので、まだ卒業生はいません。そのため、総合数理学部の大学院である先端数理科学研究科に進学した小野君に来てもらいました。
彼がグループで作った錯視作品は、2013年5月に開催された第9回ベスト錯覚コンテンスト国際大会で、最優秀賞に選ばれました。
小野君は理工学部の数学科に在籍していたんだよね?

卒業生
はい。私の大学受験時代にこの総合数理学部があったら、自分の関心により合った学部ですので、間違いなく現象数理学科を選んだでしょうね。

現象数理学科は1年次からゼミがあるそうですね?


大学生
はい。自主ゼミという形ですが、僕は「流体力学」を学んでいます。「風」の動きに興味があり、「風をなくしたり、利用したりする方法」などを研究する自主ゼミを立ち上げました。

先生
少し解説しますと、本学科では、1年生に自主ゼミ参加を奨励しています。もちろん指導にあたる担当教員が付きますが、「自分が学びたいテーマを自由に掲げ、それを研究する」というゼミです。
1・2年次では本当にゼミで学びたいことがまだ明確にはならないため、あくまで自主的なものです。本格的なゼミは3年次からです。教員が学生にゼミ内容のプレゼンテーションを行い、3・4年次で所属するゼミを学生に決めてもらう予定です。



  

 

  

●インタビューに答えてくれた方々


 


先生
上山大信先生  

明治大学総合数理学部現象数理学科教授
山口県立大津高等学校出身。龍谷大学理工学部数理情報学科卒業。北海道大学大学院理学研究科博士課程修了。広島大学理学部数学科助手、明治大学理工学部数学科講師を経て、2013年より現職。

   


卒業生
小野隼さん

明治大学大学院先端数理科学研究科博士前期課程2年生(2013年度取材当時)
私立逗子開成高等学校出身。明治大学理工学部数学科卒業。2013年5月に開催された第9回ベスト錯覚コンテンスト国際大会で、「フットステップ錯視」による作品が最優秀賞に選ばれた。

   


大学生
松元隆輝さん

明治大学総合数理学部現象数理学科1年生(2013年度取材当時)
私立朋優学院高等学校出身。明治大学総合数理学部の学部第一期生。高校時代はアトラクション部で活躍。卒業後は大学院で数理生物学を学びたいと考えている。

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