●プロフィール
松本先生の研究されている専門分野に関して教えてください。
■先生
私は「西洋法制史」という歴史研究をしています。
その中でも、ドイツ近代史における「裁判所の役割」や「裁判の仕組み」の研究が中心です。わかりやすく言いますと、当時のドイツの人々が、どのように当時の裁判所や裁判制度を活用して自分の権利を守ってきたのかを調べています。
19世紀におけるヨーロッパ各国では、「行政裁判所」や「労働裁判所」などの専門裁判所が成立していきます。ドイツの場合は1890年に「営業裁判所法」が成立しました。これは例えば、労働者が不当解雇や不当な扱いをされた際に、裁判に訴えられる法律でした。もちろん雇用側が労働者を訴えるケースもあり、全盛期には営業裁判所がドイツ国内に500カ所ほどありました。
こうした裁判所において、どのような提訴内容があり、どういう人が提訴を行ったのか、和解率はどうだったのか、判決内容はどうだったのか、労働者が勝訴する確率は高かったのかなど、いろいろと調べています。
つまり、単にドイツの法制度の内容を調べるのではなく、市民の法制度活用の仕方や司法側の動きなども見ていく研究です。
研究はどのように進められるのですか?
■先生
研究対象とする当時の訴訟記録などの資料は、印刷されておらず、手書きのものばかりです。そこでドイツにある公文書館へ行き、それらを閲覧し、写真に撮るなどして分析します。
この研究成果は、日本の司法制度に生かす目的があるのでしょうか?
■先生
直接日本の司法制度に生かそうと思って研究しているわけではありません。もちろん、貢献できるのであれば、成果を活用してほしいとは思っています。
日本は西洋諸国に比べての民事訴訟率が格段に低い国です。その理由として、白黒をはっきりつける裁判自体が日本人の国民性に合わないという考え方があります。一方で、例えば裁判費用が高いとか期間がかかりすぎるといった、司法制度の不備こそが問題だという指摘もあります。
こうした議論に、法制史は直接答えることはできません。ただ、西洋法が導入される前の江戸時代は訴訟が意外にも活発だったことが、最近の史料研究からわかってきています。つまり、日本人の裁判嫌いは国民性であるというテーゼは、歴史的には成り立たないといえます。同じような意味で、海外のケース、つまり私の研究資料が比較材料として役に立つことは多々あると思います。
真城さんの専門は何でしたか? また、現在どのようなお仕事をされていますか?
■卒業生
大学時代の専門は、政治学や行政学が中心でした。
現在は時事通信社に就職し、内政部記者をしています。各省庁や地方自治体の政策や動きなどを取材し、記事として専門サイトや加盟紙に配信するのが主な業務です。その中でも私は、2013年11月より都庁を担当しています。都庁で立案された政策とその施行時期などを取材し、記事にするのが主な業務内容です。
猪瀬前都知事の辞任によって、都知事選挙が2014年2月に行われますので、現在は候補者の記者会見等も取材しています。
※取材は都知事選挙の前に行っています。
安森さんのご専門は何ですか?
■大学生
4年次は「経済法ゼミ」に所属しまして、「経済法」が専門です。
大学ではどのような活動をしていますか?
■大学生
映像制作のサークルに所属し、作品の制作活動を行っていました。その関係で、大学のメディアセンターからも依頼を受け、講義などを撮影して大学のホームページで公開するなど、大学のPR活動に2年間協力していました。
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