●プロフィール
先生の研究内容について教えてください。
■先生
数学科は「代数系」、「幾何系」、「解析系」、「応用系」の4つの専門分野に分かれています。「代数系」に属する代数学の中の、「素因子分解」、「整数論」といった分野が私の専門です。
「素因子分解」について説明すると、例えば、「12」は「2²×3」に分解されます。このように0ではない整数は素数のべきの積に分解されます。また、方程式x−a=0 のような最高次の係数が1の整数係数多項式の解を「代数的整数」と言います。この場合、整数aはx−a=0 の解なので「代数的整数」と言えます。
こうした「代数的整数」と呼ばれる数に対して素数をうまく定義するとき、「代数的整数」を三角関数の特殊値で表したり、群を作用させたりして、どのような「代数的整数」が素数のべきの積に分解されるか、どのような場合に分解されるかを研究しています。また、こうした体系が無限にあるのかどうかも調べています。
その研究は数学の未解決問題の一つですか?
■先生
そうです。数学者の間では「ウェーバーの類数問題」と呼ばれていて、200年前から研究されていますが、まだ有限性・無限性の証明はされていません。私の仮説というか予想では、無限にあるだろうなと思いながら研究を続けています。
森澤さんは現在、大学の研究職に就いているのですね。
■卒業生
はい。大学院博士課程を修了後、2013年4月より研究員として慶應義塾大学に所属しています。具体的な内容としては、数学の新たな定理を導き出すのが仕事です。見つけた定理は論文にまとめ、論文雑誌に投稿し、掲載の審査を受けます。
研究分野は整数論で、先ほど先生がおっしゃった「ウェーバーの類数問題」を中心に研究活動を行っています。
■先生
森澤君は博士学位を普通は3年かけて取るところを2年で取った優秀な卒業生です。
野上さんは4年生ですがご専門は?
■大学生
数学科に在籍し、4年次より小松先生のゼミに所属して「整数論」を学んでいます。
卒論では、「素数定理」という素数の個数を近似する定義についてわかりやすくまとめているところです。
大学生活を充実させるために、授業以外ではどんなことをしていますか?
■大学生
大学には早稲田高等学校時代の友達もたくさんいますので、そうした友人たちと交流する機会が多く、特にサークルには所属していません。
数学科は実験の多い工学系などに比べると時間に余裕があり、2年次より塾で事務のバイトをしています。あとの空いた時間は数学の研究に費やしていますね。
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