●プロフィール
国際教養学部の特徴は何でしょうか?
■先生
まず大きな特徴として、講義は原則英語で行い、日本語を母語とする学生には1年間の海外留学が義務付けられている点です。学部内では主に英語が使われますが、英語以外の言語も学ぶことができます。必修の留学先として、大学入学後に学び始めた英語以外の言語圏を選択する学生もいます。その結果、例えばスペインに留学するならば、英語に加えて、スペイン語をマスターできるということですね。国際教養学部に通学しながらにして、多数の言語を取得できる可能性があるのです。
また、幅広い科目を英語で学べることも特徴です。「哲学・思想・歴史」、「経済・ビジネス」「文化・心身・コミュニティ」「表現」といった7つのクラスター(科目群)が用意され、各自の希望に合わせて科目を選択できます。一つの狭い専門に限らず、興味に応じて2つ以上の専門分野を持つことも可能です。この学部では、一年交換留学生、ダブルディグリー留学生を含め、30を超える国と地域出身の学生が一緒に学んでいます。いろいろな価値観を持つ学生がおり、日々自由な討論が行われていることは魅力のひとつです。将来がまだはっきり決まっていない場合でも、この4年間でグローバルな視点から進路を見つけることができるでしょう。
学部生の特徴を教えてください。
■先生
留学先も多様で、一人一人のキャリアが異なります。全体的に意志の強い学生が多く、それぞれがある一定の自分の世界を持っているように感じます。少なくとも留学から帰ってきた学生たちに関しては、必要以上に教員を頼ってくるような学生は少ないですね。
■卒業生
やりたいことがそれぞれにあり、そのために今何をしないといけないかを考えて行動できる人が多いのだと思います。しっかりとした自分の考えを持った学生が多いですね。
先生のご専門は何でしょうか?
■先生
キーワードを挙げるとするならば「経済進化」です。新しい技術の登場が、社会の進歩・発展にどのような影響を与えているかということを研究の大きな柱としています。
新しい技術に対して人々や企業・社会はどのような対応をするのか、あるいは、しなければならないか。また、制度や法律をどう変えなければならないか。これらを経済動学の観点から考えています。研究を進める上では、さまざまな問題について検討が生じます。例えば、企業の問題、働くという労働の問題、経済システムの変化、国家間の貿易・協力問題などですね。私の研究では、こうした技術の進展と社会・組織・システムの関係性について考えていきます。
また、「景気変動」にも常に関心を持っています。リーマンショック以降の不況は記憶に新しいですが、なぜ不況が起こるかという問題は私の長年のテーマです。
地域活性化の問題にも取り組まれているそうですね。
■先生
はい。かつては台東区や、本学理工学部の都市工学研究者と連携して、商店街活性化の問題に取り組みました。最近、地域ブランドという名前を耳にすることが多いと思いますが、これは他に対して有利となる地域のオリジナリティを打ち出すことと捉えられます。他の地域との差異を見つけ出せなければ、活性化にはつながりません。ですから、地域活性化のためには、どのようなオリジナリティを出していくのかについて考える必要があります。
先生のゼミにおけるテーマは何でしょうか?
■先生
企業と経済の進化について考える「企業進化論」です。例えば、スマートフォンなどの新しい技術が出てきたときに、企業はどのような経済行動をした方がいいか、あるいは対応をしたらいいかという、イノベーション理論をベースにした研究ですね。ゼミの授業では、英語・日本語の両方を用いてディスカッションが行われます。
長牛さんは在学中どのような研究をされていましたか?また、現在はどのような仕事をされていますか?
■卒業生
卒業論文ではM&A(企業の合併・買収)をテーマとして、M&Aがいかに企業にとって経済合理性があるかということを複数のケースを提示して論証しました。
現在は新生銀行に勤めています。市場営業部という部署で、デリバティブ(金融派生商品)を用いた市場関連業務を行っています。市場と言いますと、例えば株式では東京証券取引所などを思い浮かべると思いますが、その他にもスワップ取引を行うスワップ市場やCDS取引(クレジット・デフォルト・スワップ取引)を行うCDS市場と呼ばれる市場が存在します。
こういった市場のすぐ近くで、主なお客様である金融機関に向けた商品を開発し、当行の専門的な営業部員と協働して商品の販売・提供を行うのが、私の仕事です。業務の中では英語を使う機会もあります。
一日のスケジュールを簡単に教えてください。
■卒業生
市場関連の仕事はどこの銀行・証券会社もそうだと思いますが、朝が早いんですね。私が会社に行くのは7時から7時半の間です。始業開始の9時までは、前日のニューヨーク、ロンドン市場の株価・金利・為替などの動きに関するレポートに一通り目を通し、東京市場のオープンに備えます。東京市場のオープン後は、お客様からの注文に対応し、15時に市場がクローズされましたら、デスクでできる事務作業を退社時間まで行います。
盛さんは現在3年生ですね。ゼミではどんな研究をされていますか?
■大学生
動学的な観点から、経済の成長について学んでいます。先生の授業を聞きながら、ひしひしと自分の無知を感じている状況ですね(笑)。卒業論文については、現段階では計量経済学の分野を考えています。
■先生
ゼミの冬合宿でテーマを決めたよね。
■大学生
はい。中国の経済について、将来的にどのような発展があるのか、また、経済成長はどの段階で進み、それとも衰退して限界を迎えるのかについて考えていく予定です。
ゼミ合宿は毎年行われるのですか?
■先生
ええ、3年次には毎年クリスマスイブに下田で合宿をします。ゼミは3年生10月から始まりますが、3年生はこの冬休みの合宿で卒業論文のテーマを決定します。テーマが決まるまで必死に勉強しますから、割合厳しい合宿ですよ(笑)。でも、一段落したらクリスマスパーティーをやって、プレゼント交換会を行い、合宿を打ち上げます。
■大学生
今年は深夜12時半からパーティーを始めて、2時頃までかかりましたね(笑)。先輩方の時は、もっとハードなスケジュールだったと聞きましたよ。
■卒業生
私のときは朝5時ぐらいまで勉強して(笑)、そのあとパーティーを1時間して、7時には朝食を摂るという恐ろしいスケジュールでした。1時間しか寝る時間がないので、当然ほとんどのゼミ生は起きることができませんでしたね。私はゼミ長という使命感から起きましたが(笑)。一方、先生は6時半にしっかり起床されていたので、どれだけタフなんだろうと驚きました。
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