「世界史B」2019年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月5日

■分量と難度の変化(時間/配点:60分/100点) ・大問数は例年同様4題、小問数は2005年度以来36問となっている。 ・正誤問題が中心であり、形式面では取り組みやすい問題が多かった一方で、問い方を工夫した問題が見られたり、一部で細かい知識を要する問題があったりした。全体の難易度としては、例年並みといえる。 ■今年度入試の特記事項 ・2018年度同様、正誤問題が全体の約8割を占めた。また、地図問題が2問、グラフを使った問題が1問、年表を使った問題が1問出題されたほか、2018年度には出題が見られなかった3つの出来事を並び替える年代整序問題が復活した。 ・先史時代から戦後まで、幅広い時代から出題された。現代史に関する選択肢も多く見られ、対策の有無が出来を分けただろう。 ・地域については、中国史・ヨーロッパ史を中心に概ねバランスよく出題され、東欧・アフリカ・中南米などの対策が及びにくい地域についての出題も見られた。 ・分野としては、例年通り政治史からの出題が大半を占めたほか、経済・文化・宗教に関する出題も見られた。 ■いま解いておきたい問題 ・第3問の問3は、2016年度以降毎年出題されている、グラフを使った問題であった。 ・この問題を解くためには、世界恐慌に直面したイギリスが開いた会議の名称、当時のイギリスとカナダ・ドイツの関係性といった様々な知識と、提示されたグラフを読み解く技能が必要とされる。問題文をよく読み、問題の趣旨に沿って、手持ちの知識・技能を適切に組み合わせて解答を導き出す力が求められる出題であった。用語の暗記だけでなく、考察力も必要とされることを実感できる1問だろう。 ■大問別ポイント 第1問 ・歴史的建造物や遺跡をテーマに、先史時代から戦後史まで幅広く出題された。 ・問3は選択肢中にやや細かい事項も含まれたが、正答が明らかであるため、手堅く正解しておきたい。 ・問4・問7は、基本的な事項に関する出題であったが、学習が手薄になりやすい地域のため、迷った受験生もいたかもしれない。 ・問5では、2018年度に出題が見られなかった、年代整序問題が復活した。苦手とされやすい戦後史に関する出題であったが、各事項の大まかな年代や冷戦の展開を把握していれば正答を導き出せる。   第2問 ・記録や文字というテーマで、前近代を中心に出題された。 ・問1は、社会・経済の分野まで教科書の記述をしっかりと押さえられていたかで差がついただろう。 ・問2・問3・問7は、一部の選択肢に細かい事項が含まれたため、とまどった受験生もいたかもしれない。選択肢中に知らない事項が含まれる問題の場合は、消去法を用いた解答方法も有効である。 ・問6の地図問題は、基本的な知識が問われており、確実に正解しておきたい問題であった。日頃から地図を用いた学習を行っていたかどうかで出来が分かれただろう。 第3問 ・国際関係をテーマに、政治・経済・文化の分野から出題された。 ・問1は、いずれの選択肢も用語の暗記のみでは正誤判断が難しく、出来事の影響や政策の意図まで押さえられているかが問われた。 ・問3はグラフを使った問題が出題された。手持ちの知識を適切に組み合わせて解答を導き出したい。 ・問5の地図問題は、各王家の支配領域だけでなく、時代による支配領域の変遷も押さえている必要があり、やや難度が高かった。 ・問8は、一部の選択肢にやや細かい事項が見られたが、消去法なども用いて解答にたどり着きたい。 第4問 ・宗教と政治をテーマに、時代・地域とも幅広く出題された。 ・年表が使われた問2のほか、問4・問9でも年代把握が解答の鍵となった。各事項の大まかな時期の把握や前後関係の理解ができているかで差がついただろう。 ・問7は、学習が手薄になりやすい地域かつ宗教に関する出題で、盲点だと感じた受験生も多いだろう。

攻略へのアドバイス

 ●センター試験・個別試験の両方で世界史が必要な場合

受験生になったら個別試験対策を中心に対策を進めよう。通史の基礎知識は受験生の夏休みまでに網羅しておくことが望ましい。 ・早期のうちに、通史の基礎知識を網羅しておくことが肝心である。受験学年に入る前には、教科書の通読のほか、Z会の通信教育の特講「大学受験勉強スタートシリーズ」などを利用して、一通りの世界史の流れを頭に入れておこう。 ・受験生になったら、個別試験対策がそのままセンター試験対策につながる。夏休みが終わるまでには、戦後史を含む通史学習を終えられるような計画を立ててほしい。そのためのペースメーカーとして、Z会の通信教育の本科「世界史」の受講がおすすめである。さらに、Z会の映像の各大学対策講座などを活用して、頻出分野の知識のインプットと志望大学の出題傾向に対応した問題演習を行うのもよいだろう。 ・但し、センター試験独特の形式には慣れておく必要がある。個別試験対策と並行して、マーク模試を受験するほか、Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」やZ会の映像「センター講座:世界史【標準編】」「センター講座:世界史【完成編】」に取り組み、センター試験の形式への対応力を身につけよう。
   ●センター試験のみで世界史が必要な場合 遅くとも受験生の11月くらいまでには通史学習を終わらせよう。同時進行で問題演習も行うのが理想的である。 ・世界史は学習量が膨大、かつ様々な時代・地域・分野の内容がランダムに出題されるため、通史学習を終えるだけでなく、センター試験形式の問題演習を十分に積まないと、高得点にはつながらない。Z会の書籍『解決! センター世界史B』や、Z会の映像「センター講座:世界史【標準編】」「センター講座:世界史【完成編】」で、センター試験対策を意識した通史の整理をしつつ、Z会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」を利用して、センター試験独特の出題形式に慣れよう。早期にセンター対策を終え、他教科の個別試験対策に効率的に時間を使いたい。
▼世界史担当者からのメッセージ  ・例年、センター試験の世界史Bは形式や難易度の大きな変化がなく、2019年度もきちんと対策を行っていれば確実に高得点がねらえる出題でした。センター試験では教科書で扱う全時代・地域を対象に、満遍なく出題されますから、通史を最後まで十分に学習しておくことがとても重要です。世界史は学習量が多いため、入試の直前になって詰め込もうとしても限界があります。受験学年を迎える前である今の時期から、コツコツと学習を積み重ねていくようにしましょう。対策をした分だけ得点を伸ばすことができる科目ですから、高い目標を持って取り組んでほしいと思います。 ・世界史Bの学習においては、用語の暗記だけでなく、空間的な広がりや時代の流れを意識して歴史を捉えることが不可欠です。こうした学びの中で、歴史が単なる“過ぎ去った時代の話”ではなく、現代の世界の諸問題にもつながっていることに気がつくのではないでしょうか。皆さんには、受験を突破するための表面的な学習に終わらせることなく、世界史の学習を通して現代の様々な問題に関心を抱き、それを解決する主体となっていくための素養を身につけていってほしいと願っています。

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