「化学基礎」2019年度センター試験分析

投稿日時:2019年9月5日

■分量と難度の変化(理科(1)…時間/配点:2科目60分/2科目100点) ・全体の難易度は昨年度と同程度であった。分量に対しての時間は比較的余裕があると考えられる。 ■今年度入試の特記事項 ・一つの小問の中にある枝問の数が増え、問題を把握するための負担が小さくなった。 ・さらに、選択肢の数が4つの問題が多く、例年よりも負担に配慮した出題が見られる。 ・マーク数は全体で16である点は昨年度から変わらないが、第1問がマーク数10、第2問がマーク数6へと変わった。 ・形式面で、負担の軽減に配慮が見られた一方、問題文を読み込んで深く考える必要がある問題が見られた。 ・身のまわりの化学、人間生活と化学を意識した出題が、例年通り見られた。 ■いま解いておきたい問題 ・第2問 問4 選択肢の数は4と少ないが、酸・塩基の学習で必要なスキルを、一通り確認するのに適切な問題である。 ■大問別ポイント  第1問  ・問2は、物質の精製法に関する問題であり、盲点になりやすい。 ・問3のような、混合物の組成に関する問題は2016年度でも出題されているが、今回はNiOの質量からNiの質量を求める必要があり、やや難度が高かったと思われる。 ・問4は、基礎なし化学で扱う題材である。当該分野の知識がなくても解けるように誘導を付してはあるが、試験時間内で思考を掘り下げるのは厳しかっただろう。 ・問6で必要な知識は基本的。しかし、化学式、イオン式を正しく書き出せないと正解は難しい。 ・問7は、例年同様、身のまわりの物質に関する小問であった。枝問が3つあった点は目新しい。「文系受験生にも、これくらいは常識として知っておいてほしい」という題材を出題しようという意向を感じる。  第2問  ・問1は、物質量に関する問題。選択肢は4つしかないが、一つ一つ検討していく必要があるので、時間がかかる。 ・問2はグラフを扱う問題。題材としては定番だが、V1とV2の両方を正しく選ぶ必要があるため、見慣れた題材の割に正答率は高くないと思われる。 ・問3は、リン酸を知っていなくても、消去法で正解を選べる。 ・問4は、酸・塩基の広範囲な知識や理解を問う問題。選択肢の数は少ないが難しいだろう。 ・問5は、実験時の安全確保の問題であった。正解の選択肢(4)は、文系受験生には難しいと思われる内容だったが、それ以外の選択肢の内容が平易であったため、正答率は低くないと思われる。 ・問6の酸化還元の判定は、出題されやすいテーマであるが、見慣れない反応が多く、また化学式が示されていないので、やや難しかったかもしれない。

攻略へのアドバイス

文系受験者が大部分だからといえど、難度の高い出題もあるため、十分に対策をとっておきたい。 今年度の出題を見る限り、形式面でひねる(選択肢の数を増やす、計算の段階を増やす、など)のではなく、より深い思考を要する形で難度を上げていこうという姿勢が感じられる出題であった。 まずは教科書や『解決!センター 化学基礎』(Z会)を用いて、忘れている箇所やあやふやな箇所をつぶしておきたい。その上でZ会の通信教育の専科「センター攻略演習セット」を用いて問題演習を重ね、本番でどの分野から出題されても対応できるようにしておこう。さらに、レベルが高めの『センター試験実戦模試 化学基礎』(Z会)を使うとよいだろう。

▼化学基礎担当者からのメッセージ  

ややもすると、暗記科目と捉えられている化学基礎ですが、今年の出題から読み取る限り、単なる暗記から深い理解を要する形へと変えていこうという姿勢が感じられる出題でした。その一方、選択肢の数を絞るなど、極端に難度が上がらないように工夫がされており、受験生への配慮も感じられます。これまで解いたことのない問題であっても、何とかヒントを探し出して考え、解答を導くという姿勢が、今後求められていくのではないでしょうか。 また、身のまわりの化学に関する出題は対策がしにくいところですが、瑣末な知識を問うのではなく、社会において一般的な知識を押さえておくという方向に、出題が軌道修正されているようにも感じます。過日、北海道で、屋内で大量のスプレーを噴霧したことが発端となる爆発事故がありましたが、スプレー缶の簡単な原理を知っていれば、缶に書かれた細かな注意書きを読まずとも、重大事故につながる行為は防げたのではないでしょうか。社会で生きていくうえで、最低限必要な常識を身につけていくことは、社会から中等教育への要請の一つなのだろうと思います。

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