ときどきどうもやる気が出ないのですが・・・という相談を受けることがあります。やる気が出ないから勉強に手をつけない。やる気が出てきたらやろうと考えているのです。
残念ながらその発想では、最後までやる気が出ることはないかもしれません。テニスやサッカーと同じで、やっているうちに面白くなってきたりますますやる気が出てきたりするのですよ。もしとりかかる前からやる気があるとすればすでに相当の上級者であり、勉強をはじめる前から楽しみな人は間違いなく優等生でしょう。

ですから一般の小中高生が勉強に向かう以前にあまりやる気が出ないというのはあたりまえの状態であり、深刻な何かではありません。と同時に、そうであればやる気が出るのをただぼんやり待っているというのは非常にまずい対処法だと気づいてください。
何だかんだ言っていないで、まず机に向かうのです。テキストとノートを開く。英文を音読する。計算式を書く。とにかく作業の中に入ってください。

そうやって少し経過するうちに「今日はけっこう進みがいいかも」という日が出てくるでしょう。いわゆるやる気が出てくる。ランナーズ・ハイと同じで、それは走り続ける過程で生まれてきます。
勉強をしていない状態で勉強に対してやる気を持つことは不可能です。なかなかやる気にならないのは、まだ勉強をはじめていないからです。声に出して読んだり手を動かしたりして練習していないからです。

毎日やる気が出ないという人は毎日たいして勉強していない人だということになります。調子が出る以前にやめてしまっている。それは人間ですから、いくら頑張っても調子の悪い日はあるでしょう。しかしいつもいつも調子が悪いというのは、本気で取り組んでいない証拠です。本気で取り組んでいればご本人の中に、いつもよりいいという感覚が必ず出てくる。その感覚を味わうことが大切です。次のやる気につながってきますから。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。