勉強するときに声は出ていますか。少なくとも英語や国語の勉強をされるときには声「も」使ってくださるといい。もっと書いてしまえば、英語の音読なんかは立ち上がって身振り手振りをつけるぐらいまでやってほしいところです。
そういう先輩がいらっしゃいますよ。会話文のところなど本当に感情をこめて、実際にどなたかとお話しているように発音する。感嘆文。心をこめて「wonderful!」と発音する。

ちょっとやってみてくださいよ。つまらなそうにぼそぼそ「How wonderful to see you・・・」と呟くのと、立ち上がって大声でうれしそうに発音するのとでは頭に残ってくるものが圧倒的に違います。中には呟くことさえ面倒がってただ字面を追っているだけという人もいる。同じテキストを使って勉強しているのに差が開いてくるのは、そうした部分だという自覚を持つことです。何をやるかではない。どうやるかなのです。
身振り手振りなんて・・・ばかばかしいような気がするかもしれませんね。ただ、こういうことはやり出してはじめてその面白さや効能がわかるものなのです。

保護者の方からうかがった話です。お嬢さんは大声でジェスチャーをつけて英文を読んでいる。はたから見てふざけているようにも感じられるし、あんなことで本当に大丈夫なのでしょうかと心配されていた。ただ現実に彼女は英語で高得点をとり続けているわけで、要するに勉強が遊びに近いところまで昇華されているのです。音読という作業が楽しくて楽しくて仕方がないところまで進化している。楽しんで勉強している人にはかなわないですよ。

見ているだけというのがじつはいちばんつまらない勉強法だということに気づいてください。楽ではあるかもしれませんが、つまらない。躍動感がない。参加していないからです。テレビのサッカー番組は確かにすごく面白いかもしれませんが、ご自身が試合に参加したらもっともっとエキサイティングで面白いでしょう。どうやったらより多く参加できるのか工夫しながら進めていく必要があります。どれだけ声を出したか、どれだけ書いたか、どれだけ身体を動かしたか、どれだけ楽しめたか。そういうことですね。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。