ご自宅で問題演習なさるときもなるべく解答はノートに書いてください。テキストに書きこめるようになっていても、ノートに書くクセをつけられたほうがいいと思います。いちばんの理由はテキストに直接書きこんでしまうと復習がやりにくいということです。
できなかった問題は解答を読むだけではいけません。解答を読んで理解して、時間を置いてからもう一度解き直す必要があります。

書きこんであるとそれがやりにくい。ゼロから解き直せないのです。
もう一つの理由として、大きな白いページ(罫線ぐらいは引いてあるでしょうが)でないとのびのびと考えられないという事情があります。国語の記述問題などでよくありますね。この要素とこの要素を入れようと箇条書きにしておく。そのうちにそうだ、もう一つこのことも入れようと思いつく。テキストの小さな解答欄でそんな作業ができるでしょうか。せいぜい完成された解答を書く程度のスペースしかありません。

解けなかった問題の解答を丁寧に写せるのもスペースが十分あるからです。テキストですと間違えた解答の下部にごちゃごちゃ書きこむ程度になってしまう。
つまり1.復習がしやすく2.のびのびと考えながら解けて3.正解も省略せず丁寧に書き写せる…わけで、どう考えてもテキストに書きこむよりよさそうです。
こんなことを強調するのは学校や塾で直接書きこんでいいよと指示されているケースもあるからです。復習したいからノートに書きたいと申し出ても怒られるわけがないので、そうしてみてください。

ある生徒は英語の教科書全文をノートに写していました。そのほうが説明を自由に書きこみやすいという理由だったのですが、続けていくうちに英文を書き写すこと自体に非常に大きな意義があると気づいたそうです。古文なんかでもそういう例はたくさんある。要するに手間をかけた学習で損をすることはないということですね。逆に省エネ学習は得をしたと思っていてじつは損をしている。よく考えないといけないですね。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。