ふだんから生徒たちに必ずしも自室でしーんと勉強しなさいとは言っていません。過去、自室だと落ち着かないというお話は何度も聞いたことがあります。どなたの目もない。遊び道具もいろいろ揃っている。遊び道具が仮になくても愛読書なんかは置いてある。ちょっとだけ・・・と思ってついつい遊んでしまうというケースはじつはけっこう多い。真面目な方でもよくあることです。
自宅のリビングルームでやるというお話は頻繁に聞きます。印象としては女子生徒に多いかな。さすがにテレビは消してもらって、皆さんのいる中で勉強する。

学校や塾の自習室や図書館でないと勉強できないという方もいますね。うちの息子も大学受験のころ、自宅ではやる気にならないと言っていつも外出していました。皆さんが勉強している姿を見て自身を励ます要素もあったのでしょう。
以前よく行っていたあるお蕎麦屋さんで、空いている客席で高校生ぐらいの息子さんと思われる方が一生懸命勉強されている姿を何度も目撃したことがありました。お店はうるさいのですよ。でも、関係なく一心不乱に打ちこんでいらっしゃった。

集中できるできないはたぶんに心理的なもので、その状況で本当に全力で打ちこめるのであれば周囲があまりやきもきする必要はないと思います。
そのあたりはご自身でも意識してください。音楽を流しながら勉強することが本当にご自身のためになっているのであればそれもいいでしょう。勉強だけだと退屈(?)するので・・・という部分が少しでもあるのなら、そこは改めるべきでしょう。

こんなことを書いている私もいちばん集中して読書できるのは電車の中です。人がたくさんいてわさわさしているのですが、たくさん人がいるからこそかえって集中できる感じがあります。自室ですと静かすぎて私自身が不必要に介入してくる感覚があり、落ち着いて読めないのです。静かだけれども集中できない。そういうこともあるのですよ。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。