もう25回目になりました。今回は具体的な勉強法は休憩して、勉強について少し本質的なことを考えてみたいと思います。そういう機会を持つことも大切ですね。
ときどき勉強を一切しなくてよかったらどんなに幸せだろうとおっしゃる中学生がいます。朝から晩までずーっと遊んでばかりいられたらいいのに。本当ですか?

仮に今後は一切勉強しなくていいということになったとしますね。他の中学生はしなければいけないけれども、あなただけはしなくていい。むしろしてはいけない。学校の内申は無条件でよい点をもらえるし、高校にも確実に行けるという約束がとれたとします。
何もやらなくてもいい。365日遊んでいなさいと言われて「得をした!」と思えるのはいったい何日ぐらいでしょうか。

友だちは一生懸命勉強しています。明日はテストだからと何かやっている。受験があるからと通信教育をやったり塾に行ったり必死で努力している。朝から晩まで遊んでいるのはあなただけです。当然の結果として友だちはあなたよりはるかに物知りになり、思慮深く知性的になっていきます。どんどん差がつきます。
これ、そんなに楽しいことですか。不安になりませんか。合格が約束されていたとしても心配になりませんか。

人間には知的好奇心があります。知らないことを知りたいと強く願う。ところが勉強しないと永遠にわからない。教えてくれる人がいたら教わりたい。調べる手段があるなら調べたい。それは自然の欲求ですね。放っておけば人は勉強したがるものなのです。
ただ漫然とそんなことを続けていくのは大変でしょう。そこで節目節目に大きめのテストをします。要するに入試ですね。目標を定めにくいでしょうから、それぞれ志望校というものを作ってもらって「入れるぐらい勉強してごらん」ということになる。

こんな便利なシステムが用意されているのですから利用しない手はないですよ。一人でやるのはどれだけ大変か。じっくり考えてみてください。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。