きちんと復習しなさいというようなことを言われていると思います。先生は「きちんと」とか「しっかり」としかおっしゃらない。それでわかってくださるはず・・・という期待がこめられているのですね。ところが全然伝わっていなかったりします。
先日、古文で古い月の呼び方を勉強しました。1月睦月(むつき)、2月如月(きさらぎ)、3月弥生(やよい)というやつですね。ご存知の方も多いでしょう。

これはもちろん私自身高校のときにやりました。やったものの正確に覚えなおしたのは大人になってからでした。部分部分あやふやになっていたのです。現在は毎年教えていますから、忘れるはずがありません。
私は中学生にこれを覚えるように言いました。漢字が書けという問題は出ないかもしれないとまで言いました。つまり最低ラインはひらがなで書けるようにしておくことだということを示唆したつもりです。

覚えるときには発音しながら3回ずつ書いてみるといいとも言っています。漢字練習などのときもそう言っている。3回書いても危ないなということであればもちろん4回5回書いてみる。この場合であれば、1月――睦月睦月睦月(実際に「むつき」と口に出して発音しながら)ということです。
そうやって復習しておきなさいと言いますね。その通りやってくださるものだとばかり思っています。あえてやらないという反抗的な態度の生徒は文字通り1人もいないからです。

ところがまったくやらない子もいます。漠然とした怠惰さからやらない。復習は面倒臭いという習慣からやらない。
気の毒ですが、そういうサイクルで生きているうちは少なくとも優等生にはなれません。大切なのは何がひらめくかではなくて、学んだことをどこまで丁寧に自分のものにできるかなのです。ひらめく方は確かに頭はいいでしょうが、自分のものにする努力を欠いていれば最後は落ちていってしまいます。

自分のものにするのは授業内だけでは不可能です。そのことは忘れないようにしてください。

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著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。