ちょっと聞いてみたのですが、夏休みに入って読んでいる人はじつにたくさん読んでいます。読んでいない人はそれこそテキスト以外全然読んでいない。読まないと読解力はつかないですよ。それでも読まないとなってくるともうお手上げです。もちろん見捨てたりはしませんが、ご本人が絶対に読みたくないということであれば、どこかで伸びが止まることは覚悟の上でできるだけの手助けをしていくしかないと考えています。
何を読むかという話もしています。身近なところで新聞を読みなさいと。

かたや毎日必ず新聞を読むようになりましたとおっしゃってくださった生徒もいる。どれぐらい読む? と質問すると、だいたい15分ぐらいですかね。面白そうだと思ったところをぱらぱらと拾い読みしている。コラムや社説や投書欄を読んでごらんと提案するのですが、スポーツ欄ばかりですとおっしゃる中学生もいる。
とりあえず読まないよりははるかにいい。語彙や熟語や慣用句、言い回しなどは完全に大人の表現ですからね。

最近、新聞に非常に面白い記事が出ていました。人工知能が白血病の患者さんを救ったというのです。特殊なタイプの遺伝子をたった10分で見つけ、適切な治療を施した。おかげで患者さんは退院できたそうです。人間なら2週間はかかる作業だというコメントが載っていました。それを僅か10分!
この人工知能には2000万件以上の生命科学の論文、1500万件以上の薬剤関連の情報を学習させたそうです。すごいですね。

こういう記事を読んで「自分で考える」ことが大切ですね。こんな高度な判断でさえ人工知能ができるようになってしまったら、人間はどうなるのだろうと考える。結論はないですよ。ただ大変な時代であると真剣に感じるだけで意味があります。また、それでは人間でなければできないことは何だろうとも当然考える。あるいは人間であることの価値はいったい何だろうとか。
そうしたことを次々と展開させていくことが「考える」ということですね。

連載バックナンバー

著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。