うまくいかなくなってしまうことがありますね。これは勉強に限りません。調子が悪くなってしまう時期があります。そういうときは慌てずに原点に戻るしかないですよ。原点というのは、あたりまえのことをあたりまえにやるということです。
ただし心をこめてやってください。机の上をきちんと片づける。筆記用具をすべてきれいに揃える。定規やコンパスはどうなっていますか。カバンの中の教科書やノートはちゃんと向きを揃えましょう。科目ごとのノートも用意してください。プリント類の整理。

ルーズリーフだと散乱してしまいませんか。そうならないように各教科きちんと毎日整理してください。学校や塾の前に持ち物を確実に精査して絶対に忘れ物をしない。授業中は寝ない。集中してノートをとる。予習復習――とくに復習が大事だとは思いますが――は欠かさない。
英語の音読、国語の意味調べ、漢字や計算練習、そうしたことをまあいいやではなくしっかりやる。文字はできるだけ丁寧に書く。

こういうあたりまえのことを順番にやるしかない。何かが雑になっているのです。ひょっとするとぜんぶ雑になっている。その精神のゆるみが調子の悪さにつながってくるのです。慢性病みたいなところがある。
一生懸命やっていることに関しては行為の中に魂が宿ります。その魂が特別なものをもたらします。運動競技でも何でもみんなそうです。魂ですから大げさに書けば「命がけで頑張る」ということです。頂点に立つ人間はどの世界でも命がけでしょう。

あたりまえのことを命がけで。命がけという言葉の中に変な負担を感じることはありません。たとえばアイスクリームを食べるのだって、この世に残された最後のアイスクリームということになれば、だれだって全力で味わいますね。その真剣さを勉強につなげてくださったらいい。
仮に教科書だけであっても、真剣にやればうんと成績は上がるはずです。原点にかえり、心をこめて勉強に向かいなおしてください。

連載バックナンバー

著者プロフィール

長野正毅先生

Z会進学教室渋谷教室長。
80年代より小・中・高校生(大学受験生)の学習指導に携わり、
97年よりZ会の教室に講師として勤務。担当は国語。
受験国語にとどまらない確かな指導は、生徒はもちろん、保護者からの絶大な支持を集める。

30余年にわたる指導において先生が目撃してきた
できる子の学習法
できる子を育てる家庭の秘訣
について綴ったブログが大人気(日本ブログ村「高校受験」カテゴリーで1位)。
2015年にはブログの記事を集めた書籍「励ます力」を出版。