過去に公開した「お天気コラム」

これまでに「Z会|天気の子」特設サイトで公開した「お天気コラム」を掲載しています。

第1回 『積乱雲』

「天気の子」のポスターに描かれた風景の季節はわかりますか?
女の子の服装がノースリーブでショートパンツなので「夏」、と答えても正解ですが、描かれている雲からも、「夏」であることが推測できます(「天気の子」の封切が夏だから「夏」という予想もあり得ますね)。

さて、通常、「上昇気流」という言葉は、調子が上向きである状態や勢いがある様子など、プラスのイメージをもつ言葉として使われますが、実際の上昇気流は、雲の発生原因であり、天気が崩れる原因になります。

また、強い上昇気流は、積乱雲と呼ばれる発達した雲を生じさせることがあります。積乱雲は、夏によく見られる雲で、入道雲とも呼ばれ、激しい雨や雷を伴うこともあります。

夏によく見られる積乱雲

成長した積乱雲は、その頂上部が水平になり、金属加工などで用いる金床(かなとこ)に形状が似ていることから、かなとこ雲とも呼ばれます。「天気の子」のポスターに描かれている雲は、まさにかなとこ雲であることから、「夏」であることが推測できます。

ちなみに、かなとこ雲の頂上部が水平なのは、大気がそれより上昇できないためです。かなとこ雲の頂上部は、「対流圏の最上部」=「成層圏の最下部」に一致しており、それより上空の成層圏では、上昇気流が発生しないため、雲が発生しないので、天気はいつも晴れ、です。

かなとこ雲とも呼ばれています
第1回コラム終わり

 

第2回 『晴れ乞い』

大事な行事の前に「晴れてほしい」と願ったり、ずっと晴れが続いて「そろそろ雨が降ってほしいなあ…」と思ったりしたことはありませんか?

昔、栽培に多量の雨水を必要とする水稲を主食に選んだ人々にとって、日照りによる立ち枯れは深刻だったはずです。そのため、日本でも古代から「天に雨を乞う」神事が頻繁に行われ、「雨乞い」という言葉も普通に使われます。

それに比べて、「晴れ乞い」という言葉は一般的な辞書には記載がなく、あまり聞いたことがないかもしれませんね。しかし、あまりに長雨が続けば、洪水や稲の根腐れといった困った事態も起こります。そのため、水神を主祭神とする京都の貴船神社(きふねじんじゃ)では、歴代の天皇が、日照りの時には黒馬を奉納して雨乞いをし、長雨の時には白馬を奉納して晴れ乞いをする神事が行われてきましたし、奈良の丹生川上神社(にゅうかわかみじんじゃ)にも同様の神事が伝わります。

イギリスの社会人類学者のジェイムズ・フレイザーは、世界各地の魔術や呪術、タブーや慣習などをまとめた『金枝篇』の中で、〈雨乞いの時には黒色の動物が、晴れ乞いの時には白い(または赤い)動物が関係する〉と述べており、黒を雨雲と、白を晴天と結びつける観念は人類共通のようです。

「黒」で結びつけられる雨雲
「白」で結び付けられる晴天

また、奈良の生蓮寺(しょうれんじ)では、本尊の地蔵菩薩が「雨晴れ地蔵」と呼ばれて昔から雨乞いと晴れ乞いの祈祷が行われ、現在では「てるてる坊主のお寺」として親しまれています。今でも高野山金剛峰寺(こうやさんこんごうぶじ)で大きな行事が行われるときには、わざわざ高野山から生蓮寺まで晴れ乞いの祈願に来るそうです。

みなさんも機会があれば、ぜひ行ってみてくださいね。

第2回コラム終わり

 

第3回 『梅雨がおこる原因』

梅雨の原因となる気団
例年6月ころから始まる梅雨ですが、そもそも、梅雨がおこる原因は何でしょうか。

図のように、日本付近には、主にシベリア気団、小笠原気団、オホーツク海気団、揚子江気団の4つの気団が存在します(揚子江気団は教科書によっては記載のないものもあります)。季節の変化は、この4つの気団の勢力の移り変わりでおこります。梅雨の原因となるのは、オホーツク海気団(寒気団)と小笠原気団(暖気団)です。

気団のぶつかり合いと前線
夏の初めころ、北からの冷たいオホーツク海気団と南からの暖かい小笠原気団が日本付近の上空でぶつかり合います。寒気団と暖気団がぶつかり合うとき、境目には前線ができ、前線付近では雨が降ります。とくに、オホーツク海気団と小笠原気団はどちらも海上で発達するため、水分をたっぷり含んでいます。そのため、雨量が多くなるのが特徴です。なお、オホーツク海気団と小笠原気団のぶつかり合いでできる前線を梅雨前線といいます。

気団の勢力と前線ができる位置
2つの気団の勢力について、はじめはオホーツク海気団のほうが小笠原気団よりも勢力が強いので、梅雨前線は日本の南にできます。やがて、オホーツク海気団よりも小笠原気団のほうが勢力が強くなると、徐々に梅雨前線が北上します。これにより、日本付近では、雨の多いぐずついた天気が続くようになります。これが梅雨です。7月下旬になると、オホーツク海気団は衰え、小笠原気団の勢力が強まります。これに合わせて梅雨前線は北上し、やがて梅雨が明け本格的な夏がきます。

梅雨末期の集中豪雨
ちなみに、梅雨の末期にかけて、とくに西日本で集中豪雨に襲われることがあります。日本の南にあった梅雨前線が日本上空を通過するタイミングで、図のように小笠原気団の西側のふちにそって、梅雨前線に向かって南西からの湿った風が吹き込むことが原因です。

一般に、梅雨前線で発達する雲は乱層雲が多く、しとしとと長い間雨を降らせることが多いですが、集中豪雨のときは積乱雲が発達して、激しい雨をもたらします。

第3回コラム終わり

 

第4回 『てるてる坊主と掃晴娘』

映画『天気の子』でも、何回か登場する「てるてる坊主」。作ったことがある人も多いのではないでしょうか?

「晴れ」を願って作られる「てるてる坊主」

晴れを願う「てるてる坊主」の起源は、一説では中国の晴れ女伝説の主人公「掃晴娘(サオチンニャン)」とされますが、その人形は、白い顔に赤と緑の着物を着、手には雨雲を払うホウキを持っています。

「掃晴娘」の伝説では、村が大雨に見舞われたときに、彼女が雨を司る竜神に祈ると、「おまえが私の妻となるなら雨をやませよう。そうでなければ村は水没させる」というお告げが下り、彼女はそれに従って天に昇ったため、雨はやんで人々は救われたといいます。それ以来、雨が降り続くと人々は、娘たちにホウキを持った女の子の切り紙人形を作らせ、門にかける風習が広まりました。

その風習が日本にも伝わり、現在でも鳥取県の一部で見られるそうですし、藤原道綱母の『蜻蛉日記』下巻(天延二年)には、「(旧暦五月)四日に、雨いといたう降るほどに……ある者『女神には衣縫ひて奉るこそよかなれ。さしたまへ』と寄り来てささめけば」とあり、この「女神」を掃晴娘と結びつける説もあります。

ただ、日本ではもともと天気に関する祈祷は僧侶の分野だったため、坊主姿の「てるてる坊主」として広まったようです。中国でも、掃晴娘の風習はほとんどすたれてしまい、今では日本のアニメ「一休さん」の影響で、てるてる坊主のほうが有名だそうです。

坊主姿の「てるてる坊主」が一般的

なお、てるてる坊主には最初目鼻を書き込まず、願い通りに晴れたらダルマのように瞳を書き入れ、お神酒を供えて川に流すのが正しい作法とのことです。

第4回コラム終わり

 

第5回 『降水確率の利用』

日本で降水確率の予報が出るようになって、30年ほどたちます。その前は、たとえば「雨」という予報を聞いても、それは自信をもって「もうほぼ間違いなく雨」と言っているのか、それとも「どちらかといえば、雨が降る可能性が高い」という程度のものなのかはわかりませんでした。

降水確率がたとえば40%というのは、もし同じような気象の状況が100回あったらそのうちおよそ40回は雨になる(1mm以上の降水がある)という意味です。逆にいえば、100回のうち60回は雨にならないということなので、降水確率40%なら、雨が降らない可能性の方が高いのですね。

でも、「雨」とか「曇り」と言い切るのではなく、確率で予報してくれることで、どのような利点があるのでしょうか。
このような確率の予報の使い方を、今日は少し説明しましょう。

よく見かける「降水確率」はどう使う?

そもそも、天気予報を聞くのは、何かの行動をするためですよね。雨が降るなら傘を持つとか、気温が高いなら薄着にするとか、そういうことです。
たとえば、今は、学校にバスで行くか、自転車で行くか迷っているとしましょう。
バスで行くと往復で800円のバス代がかかるとします。でも、自転車で行って雨が降ったら、帰りはタクシーに乗るので、帰りの片道代1800円がかかるとします。
費用を比べて、安上がりな方にしましょう。

どっちが安上がり?

バスで行けば、必ず「800円」かかります。一方、自転車で行くときのタクシー代は、必ずかかるものではありません。
たとえば、降水確率が40%なら、タクシー代がかかるのは10回中4回くらいです。よって、この場合の費用は、1800円×0.4で「720円」と考えることができます。これなら、バスで行くよりも得です。
降水確率が50%の場合は、1800円×0.5で、「900円」。今度は、バスに乗る方がいいですね。

確率予報は、このようにして使うものなのです。

このような考え方は、産業でも活用されています。
たとえば、農業では、「本当はあと一日待った方がよいけれど、雨が降るなら早めに収穫してしまおう」ということがあります。公園で弁当を売る仕事の人は、前夜のうちから弁当の仕込みを始めるので、明日の天気が気になりますよね。
そんなとき、確率をもとにして損得を計算するのです。
もちろん、一日や二日では、判断が裏目に出て、損をしてしまうこともあるでしょう。しかし長い目で見れば計算のとおりになります。確率による判断は、毎日続けることが大切です。

第5回コラム終わり

 

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