Interpersonal relationships built through social media may create new societal norms

SNSがつくる人間関係ー新たな社会規範の可能性

 「友人は何人いますか?」こう問われた時、あなたは何と答えるだろうか。友人とはどのような存在であるか、それは人によって異なる。青春を共にした高校時代の同級生こそが友人だという人もいれば、SNSで知り合い意気投合した友人がいるという人もいるだろう。ばったり出会った時、相手の名前と特徴を覚えている程度の人間関係を、1人の人間が維持できる人数は、平均して約150人だと言われている。
* ある研究によると、その時の自分にとって重要で、しかし緊急性のない話題、例えば人生について語り合えるような親密な人間関係となると、数は絞られ、平均して4人になる。これを「コアなつながり」と呼ぼう。

個人間のつながり

 SNSが普及するまで、人間関係は直接対面することで維持されていた。今、50代以上の世代の多くは、血縁、地縁、社縁(会社に関係した人間関係)によって、つまり、法事、町内会、社内慣行といった伝統的な社会規範によって、約150人の人間関係を維持してきた。オフラインの社会的ネットワークで生きる世代だ。一方、20代、30代の多くは匿名性の高い都市社会の中で生まれ育ち、核家族化などによって家族構成が変わり、終身雇用が崩れつつある時代に働き手となっている。この世代にとって、必ずしも対面を必要としないSNSが、約150人の人間関係の維持に大きな役割を果たしている。

 オフラインのネットワークで生きる人にとって、その社会規範の枠から外れることは孤立を意味する。他に人間関係を維持できる手段を持たないからだ。また、彼らにとってSNSは人間関係を維持する手段とは考えにくい。そのため、彼らには、オンラインのネットワークを活用する30代以下の世代は、人間関係が希薄に見えてしまう。しかし、オフラインとオンライン、どちらのネットワークで生きていても、「コアなつながり」を持つ人数は同じだ。

 亜細亜大学の石田幸生准教授は、この「コアなつながり」を研究している。社会的ネットワークには選択できるものもある。例えば、誰が親戚の集いに参加するかを自由に選択することはできない。しかし、住むところや会社、業種を選ぶことで地縁と社縁は変わる。SNSには地縁、社縁、さらには都市におけるランダムな出会いの縁とは桁違いの選択肢がある。ただ、オンラインのネットワーク上では、それを得るための選択肢が多くなりすぎていて、何をもって「コアなつながり」とするか、科学的な分析ができていない。それが具体的な実証研究によって解明できれば、私たちの社会がどのようなオンライン・ネットワーク、つまり新たな社会規範を構築していくべきかを考える土台が得られる。石田准教授は社会学者として、都市社会の先にあるものを見据え、このボーダーレス化された社会問題に取り組んでいる。

*イギリスの進化心理学者ロビン・ダンバーが提唱。ダンバー数と言われる。

 

石田幸生准教授(亜細亜大学 都市創造学部 都市創造学科)

東京都生まれ。幼少期を米国ニューヨークで過ごす。慶應義塾大学法学部政治学科卒業、慶應義塾大学博士(社会学)。同大学デジタルメディア・コンテンツ統合研究センター研究員を経て、2016 年より亜細亜大学に着任。慶應義塾福沢研究センター研究嘱託兼務。大学周辺のまちづくりや駅の利用などの実態調査、外務省関係のイベントでの人の交流についての企画調査に携わるなど、実践的な指導を学生に行っている。

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