Automated Convenience Stores: Solve Japan’s Labor Shortage with Technology

無人コンビニ-日本の労働力不足を解決する技術

コンビニエンスストアは日本全国で55,743店舗あり、その年間来客数は174億2,665万人である。*1 一店舗当たりの来客数は平均して年間約31万人、1日当たり約860人となる。アルバイトの外国人従業員がレジに立ち、大勢の客に対応しているコンビニの様子は、私たちにとって見慣れた光景となった。人口減少により労働力人口が不足しはじめている日本で、コンビニは外国人の労働力なくしては店を維持できなくなっている。しかし、人はもっと必要だ。今後、外国人労働者が常に活用できる保証はないので、コンビニ業界は人に頼らない店舗運営を考えていかざるを得ないだろう。

近未来の無人レジ(左)、透明電波吸収体(右)

東京都市大学の岡野好伸教授は、この問題を解決する方法の一つとして、IoT*2により無人コンビニを実現する技術の開発に取り組んでいる。その仕組みは次の通りだ。コンビニに並んでいる商品の一つ一つにICタグをつけ、商品棚と店の出入り口にセンサーを設置する。客が商品を選ぶ時と出入り口から出る時、そこに設置されたセンサーが客の持っている商品のICタグから情報を読み取り、客の電子決済システム(スマホの決済システム等)に課金する。
この仕組みの重要なポイントは、電波の発信点から商品までの距離、及び電波の強さだ。電波の強さは発信する場所からの距離の二乗に比例して小さくなり、ちょうどよい強さにするのが難しい。商品棚のセンサーが発する電波が強すぎると、客が選んだ商品以外のICタグの情報も読みとってしまい、クレームの原因となる。センサーがすぐ近くの商品のタグ情報だけを読み取るように、電波の出力を小さくする必要がある。そのためには商品棚に取り付けるセンサーの数を増やさなければならず、商品棚の製造コストが上がる。また、出入り口のセンサーが発する電波が弱すぎると、本来課金すべき商品の情報を得られず、店の損失となってしまう。これを防ぐためには、出入り口のセンサーが発する電波を強くすると同時に、店内の商品のタグ情報を読み取らないようにしなければならない。岡野教授は、コンビニ経営者が許容できる程度に製造コストを下げた商品棚を設計した。また、透明なプラスチック板に電波を吸収するシールを貼ることで、店内が見える電波の遮蔽版を作った。内部が見えない店に人は入りにくいものだ。現在特許申請中のこの技術が実用化すれば、コンビニだけでなく、様々な業界で活用できるだろう。

*1 一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会(Japan Franchise Association)の2018年の年間統計による。
*2 Internet of Things の略。モノをインターネットで繋ぐこと。

岡野好伸教授(東京都市大学工学部電気電子通信工学科)

専門は通信・ネットワーク工学。人体と電磁波の相互作用や、電波を利用した近距離無線通信で情報をやり取りするRF-IDを研究している。後者は無人コンビニの技術に応用されている。著書に『無線とネットワークの基礎』(共著、数理工学社、2015) など。

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