Bridging the Communication Gap: Is the Sun Yellow?

コミュニケーションギャップ-太陽は黄色い

国旗のデザインには、自然や動物が描かれていることが多い。日本の国旗に描かれた赤い丸は太陽を表している。図のように、他にも太陽が描かれた国旗はあり、そこに描かれた太陽の色は黄色が多く、白もある。マラウイとバングラデシュの国旗に描かれた太陽の赤には、イギリスから独立するための戦いで流れた血の意味もある。世界を見渡せば、太陽は必ずしも赤くない。このような感覚の違いは、文化的背景が異なる人同士のコミュニケーションに大きな影響を与える。
日本人から「お花見」に誘われた外国人が、「花」を桜と考えるとは限らない。中国人にとっては、花と言えば梅か牡丹だ。インドやスリランカの国花は蓮で、トルコの国花はチューリップだ。皇居の堀に面した公園にはイスラエル大使館から寄贈されたオリーブが植えられている。それを見る人は、イスラエルの国樹がオリーブであることを知らなければ、その寄贈の意味がわからないだろう。対話する人が生まれ育った社会が持つ共通認識を知ることで、言葉やモノに込められた意味が初めて理解できる。
日本人同士の会話でも、会話する人同士が持つ関係によって言葉の意味は変化する。例えば、人物Aが人物Bに「よく眠れましたか」と尋ね、Bが「よく眠れました」と答える場面を想像してほしい。AとBの関係によって、この会話の意味は変わってくる。AとBが友達同士だとしたら、熱い日が続く中でBを気遣うAと、エアコンをつけなくても眠れたBの会話かもしれない。Aが医者、Bが治療中の患者であれば、この会話は不眠症のために処方した薬の効果を尋ねたものになるだろう。私たちが行う会話は、そこに至るまでの経緯、あるいは文脈の上に成り立っている。
東洋英和女学院大学の竹下裕子教授は、文化的背景が異なる外国人と日本人のコミュニケーションを研究している。”communication”の語源は、「シェアする」という意味のラテン語”communicare”である。相手が持つ文化的背景を共有する、言い換えれば、お互いの文化を認識し合うということだ。日本の社会ではこれまで、文化的背景が暗黙のうちに共有されていることを前提に、日本特有の「察し」が成り立っていた。竹下教授は、「察し」を前提とせずに、コミュニケーションギャップを意識して、それを埋める手法を学生に指導している。それは日本人に切実に求められている必須のスキルなのである。

 

竹下裕子教授(東洋英和女学院大学 国際社会学部教授)

専門は社会言語学と国際コミュニケーション、特に日本とタイ王国の関係において、日本語と英語によるコミュニケーションに焦点を当てている。日本「アジア英語」学会の会長として、アジアにおける日本人の英語の研究とその積極的な使用の普及にも努めている。

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