The Cameras that Led Hayabusa2 to Ryugu

はやぶさ2をリュウグウへと導いたカメラ

はやぶさ2搭載カメラによって撮影された小惑星リュウグウ
(C)JAXA, U. of Tokyo, Kochi U., Rikkyo U., Nagoya U., ChibaTech, Meiji U., U. of Aizu, AIST

”惑星は太陽を一つの焦点とする楕円軌道を描く”
ヨハネス・ケプラー(1571~1630)がこの法則を発見した頃、天体観測は肉眼によるものだった。当時最も精度が高いと言われた観測を行っていたのは、デンマークの天文学者ティコ・ブラーエ(1546~1601)だった。ブラーエの死後、ケプラーは彼が残した観測データを譲り受け、それを使って惑星の運行に関する法則を導き出した。科学の土台となるものは、精度の高いデータである。日本の小惑星探査機「はやぶさ2」に搭載されたカメラも、精度の高いデータを求める科学者によって開発された。
「はやぶさ2」が、直径約900mの小惑星「リュウグウ」を目指して3億kmを飛び、そこに着陸するまで、搭載されている3台の光学航法カメラが重要な役割を果たした。このカメラには、ナビゲート機能の他に、含水鉱物や有機物の分布を観測するための機能がある。ごくわずかな光量の違いを観測することで、「リュウグウ」の鉱物に水が含まれているかを分析できた。
「リュウグウ」から届く光をカメラが確実に捉えるために、宇宙空間の余計な光が入ってこないよう、試行錯誤の末にカメラに遮光用フードが取り付けられた。また、カメラはロケットが発射される時の強い衝撃や宇宙空間の大量の放射線に耐えなければならない。その他にも、例えば適切な接着材を使わなければ、気化によりレンズが汚染されてしまう。
こうした問題を解決してカメラを完成させたのは、地球惑星物理学を専門とする立教大学の亀田教授とその研究室の大学院生だった。亀田教授は現在約4,000個発見されている太陽系外惑星を研究している。彼は太陽系外惑星における液体の水の有無を調べ、地球上の水の起源を調べたいと考えている。そのためには精度の高い観測が必要だ。亀田教授のこの課題が、「はやぶさ2」に搭載されたカメラの開発につながった。
立教大学理学部では「JAXA宇宙科学技術講義」という科目を開講しており、2018年度には宇宙科学研究所*の所長や「はやぶさ2」のプロジェクトマネージャーらによる講義が行われた。こうした最先端の講義に刺激された学生が、JAXAや日本の宇宙開発を支える宇宙産業で活躍することを、亀田教授とJAXAは期待している。

 

亀田真吾教授(立教大学理学部物理学科)

惑星探査機や、宇宙望遠鏡、地上望遠鏡を使った惑星大気光の観測に取り組んできた。はやぶさ2、火星衛星探査計画MMXに参加して、データ解析、設計検討を進めながら、太陽系外惑星大気観測装置、月惑星着陸機搭載用元素分析器の開発に力を入れている。

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