世界史B – 共通テスト(2021年度)の分析&対策の指針

共通テスト_世界史B

Z会の大学受験生向け講座の世界史担当者が、2021年度の共通テスト(第1日程)を分析。出題内容や「カギとなる問題」の攻略ポイント、次年度に向けたアドバイスなどを詳しく解説します。

 

共通テスト「世界史B」の出題内容は?

まずは、科目全体の傾向を把握しましょう。分量・問題構成などを整理し、難度(センター試験や試行調査と比較してどう変化したか)を解説します。
試験時間と配点

時間 / 配点:60分 / 100点

全体の傾向

●大問数は5題で、小問数は34問であった。センター試験と比べて大問数は1題増加したが、小問数は2問減少した。なお、大問数・小問数ともに第2回試行調査と同数であった。

会話文や資料が多用されたため、センター試験と比べて問題分量は増加した。

●ほとんどの問題で、知識だけでなく資料などの文章の読解が必要とされており、難易度はやや難化した。

出題テーマ

第1問:資料と世界史上の出来事との関係

第2問:世界史上の貨幣

第3問:文学者やジャーナリストの作品

第4問:国家や官僚が残した文書

第5問:旅と歴史

おもな注目ポイント

●第1回・第2回試行調査と同様に文献やグラフが多用されていた。しかし、試行調査と比べて写真や地図といった図版を用いた問題が減少し、文献を用いた問題が大幅に増加した。また、空欄に入れる単語と関連する文の組合せを問う出題が増加し、単純な4文正誤問題は減少した。

●地域は、東アジアやヨーロッパを扱った問題が多く出され、文献も中国やヨーロッパを扱ったものが多く取りあげられた。

●時代は、古代から現代まで幅広く出題されたが、近・現代史が多く、戦後史からも複数出題された。

政治史を扱ったものが多かったが、文化史や社会史などからも出題された。

●試行調査で出題された、前問の答えとその後の問いの答えを組み合せて解答する連動型の問題は出題されなかった。

 

世界史Bの「カギとなる問題」は?

次に、世界史Bで「カギとなる問題」を見てみましょう。共通テスト特有の問題や、合格点をとるうえで重要な問題を取り上げ、攻略ポイントを解説します。
第2問問2

2つのグラフを比較して、導かれた「仮説」中の空欄を補充する問題であった。設問で指定された時期に、それぞれのグラフがどのように変化しているのか読み取る必要があり、資料読解力が必要とされた。また、世界史的な観点から、グラフの推移を当時のヨーロッパの様相と結びつけて考察する必要があったため、知識力や思考力も求められた。

第3問問8

改ざん前の文章と改ざん後の文章を見比べて、図書の名称と改ざんの意図を答える問題であった。まずは、示された時代から世界史知識を用いて図書を特定する必要があった。その上で、文章の改ざんされている箇所から、改ざんの意図を考察する資料読解力や論理的思考力が求められた。18世紀の中国王朝ではどのような統治政策が行われたのか、思い起こしながら解答したい。

第4問問5

前問で示された3つの資料文を、発表された順に年代整序する問題であった。まずはそれぞれの史料を特定しなければならず、資料読解力と史料を特定する知識力が求められた。特定した史料を年代整序する際に、年代の近いものが含まれていたため、史料の因果関係を理解している必要があった。

 

大問別ポイント/設問形式別ポイント(2/12更新)

次に、世界史の出題内容を詳しく見ていきましょう。各問の難度や求められる知識・考え方を解説します。

第1問:資料と世界史上の出来事との関係  [やや易]

・Aでは『史記』に見える始皇帝死亡時の逸話、Bではマルク=ブロックの『歴史のための弁明―歴史家の仕事』の一節を用いて出題がされた。

・古代中国と近代ヨーロッパを中心とした出題であった。

・問1・問4では、手持ちの知識と文章から読み取った内容を組み合わせて解答する必要があり、共通テストの問題作成方針に沿った出題であった。

・問5では、史料で述べられている「嫌われた体制」が何を表しているのか特定した上で、解答を導く必要があった。史料で言及されている年代から、何について述べられているかを推察しよう。


第2問:世界史上の貨幣  [標準]

・Aでは1750年から1821年にかけてのイギリスにおける金貨鋳造量のグラフ、Bではアジアの貨幣に関する会話文を用いて出題がされた。

・近代のアジア・ヨーロッパを中心とした出題であった。

・問1・問2では、グラフの読解が求められた。

・問3では、図で示された金貨に肖像が打刻されている君主の事績について問われた。「1852年」という年代から、打刻されている君主を特定したい。

・問5では、近年のセンター試験では見られなかった3つの空欄の組合せ問題が出題された。中国の当時の時代背景を考慮しながら、解答を導く必要があった。


第3問:文学者やジャーナリストの作品  [標準]

・Aでは『デカメロン』の一部、Bでは大庭柯公が19世紀以降のロシアにおける革命運動の展開について論評した文章、Cではジョージ=オーウェルの小説『1984年』に関する討論の資料などを用いて出題がされた。

・問2は、ヨーロッパで流行した病の名称と説明の組合せを答える問題であった。病に関する説明は、知識だけでは解けず、史料の内容をしっかりと読み解く必要があった。

・問6では、史料中の空欄に当てはまる人物と、その人物の事績の組合せを答える問題であった。この出題形式は、今後の共通テストでも頻繁に出題されると思われるため、形式に慣れておきたい。

・リード文Bや問8では、やや読みにくい史料が提示され、読解に苦戦した受験生もいたかもしれない。


第4問:国家や官僚が残した文書  [標準]

・Aでは19世紀にヨーロッパで締結された条約、Bでは日中国交正常化に関する会話文、Cでは英領インドの統治に関連する文書を用いて出題がされた。

・問2では、資料中の空欄に当てはまる国の位置を地図中から判断することが求められた。地図は、位置関係が複雑なバルカン半島が示されており、資料読解力だけでなく、地理的知識も必要とされた。

・問5では、センター試験では見られなかった、史料を発表された順に並べる形式の年代整序問題が出題された。

・問6では、冷戦期の中国に関する問題が出された。戦後史からの出題であったため、隅々まで対策が行き届いていたかどうかで差がついただろう。


第5問:旅と歴史  [やや難]

・Aでは3つの地域について述べた資料文、Bでは韓国の石碑に関する会話文を用いて出題がされた。

・問3では、旅行記形式の説明文をもとにそれぞれの地域を特定し、その上で古代ローマの支配に関する知識を使って、解答を導く必要があった。問題を解くために複数の作業が必要となるため、落ち着いて問題に取り組みたい。

・問5では、朝鮮半島で信奉された教えを念頭に置いて、問題に取り組む必要があった。


 

攻略へのアドバイス(2/12更新)

最後に、次年度以降の共通テストに向けた攻略ポイントを確認しましょう。世界史で求められる力をふまえて、必要となる対策を解説します。
教科書の全範囲にわたる盤石な知識を身につける

2021年度の共通テスト世界史は、形式は新しい問題が出題されたが、細かい内容を問われる問題は出題されず、必要とされた知識はセンター試験と同じく教科書レベルの標準的なものであった。また、共通テストは様々な時代や地域から幅広く出題されるため、教科書内容の抜けのない知識を身につけておく必要がある。教科書を読むほかにも、一問一答形式の用語問題集を活用するなど、演習的な学習を行いたい。

様々な資料の読解に慣れておく

共通テストでは、グラフや文献といった大量の資料が提示された。提示された資料の多くは、教科書では扱われないような初見の資料であり、資料の読解に必要以上に時間を取られてしまった受験生も多かったであろう。初見の資料が提示されても落ち着いて読解のポイントを探し出せるように、日々の学習のうちから教科書や資料集などで資料を確認して、資料読解に慣れることを心掛けたい。また、出題される資料の中には空欄を施された文献資料も含まれる。文献資料を吟味して、流れやつながりを読み取り、空欄に入る語句を検討する必要がある。文献資料に数多く当たることで、文章読解力、思考力を磨いていきたい。

歴史事項の背景や影響といった因果関係を意識する

共通テストでは、従来のセンター試験でよく出題された知識を問う単純な形式の出題は大幅に減少し、歴史事項の背景や影響といった因果関係のほか、事項の推移を考えさせる問題が多く出題された。用語のみの表面的な知識だけでなく、教科書の文章を隅々までしっかりと読み込むことで、用語同士のつながりや因果関係も確実に理解しておきたい。

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