試行調査から読み解く大学入学共通テスト~国語編~2020.1

今回は、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の試行調査(プレテスト)の国語について、Z会の通信教育 高1・高2生向けコース国語担当より解説いたします。

 

 

センター試験から共通テストへ

センター試験から共通テストへ移行する背景として、「思考力・判断力・表現力」のさらなる養成が重要視されていること、すなわち、「知識」をひたすら詰め込むだけにとどまらず、得た「知識」を「活用」し、他者に「表現」する「運用能力」が求められるようになったことは、他の記事でも触れてきた通りです。
では、共通テストの国語の問題はどのように変わるのでしょうか。平成29年・30年に行われた2回の試行調査を見ると、複数の文章や、文章以外の資料が提示されるなど、〈情報を多面的・多角的に精査し構造化する力〉を意識した出題が目を引きました。また、これまで、主に小説が出題されてきた「文学的文章」において、詩や随筆が出題されたことも、大きな変更と言えるでしょう。〈小説に限らない文学的文章〉の出題は、〈言葉によって感じたり想像したりする力〉〈感情や想像を言葉にする力〉を深く問わんとする意図を、具現化したものだと考えられます。
今回は、国語における共通テストの試みや、問題の特徴について、2回の試行調査を例に、解説していきます。

 

 

複数文章の読解・文章以外の資料の提示

試行調査の大きな特徴として、複数の文章を比較する問題や、文章だけではなく、図表やグラフ、実用的文章(規約、ポスターなど)も併せて出題されたことが挙げられます。これは、〈一つの文章を深く理解する力〉が求められていた従来のセンター試験の問題とは、一線を画する形式です。

(共通テスト 平成29年度試行調査 国語 第4問)

例えば、上記は、表現の異なる二つの古文(二つの書写本)と、それらに関係する注釈書、という三つの文章を題材とした問題です。各文章に対する正確な読解が必要なのはもちろんのこと、文章間の相違や関連性を問う横断的な設問も出題されており、同じテーマの文章に対して〈複数の視点〉からアプローチする必要があります。

 

(共通テスト 平成30年度試行調査 国語 第2問)

また、平成30年度試行調査の第2問(評論)では、著作権に関する資料(ポスター、「著作権法」の条文)が提示され、【文章】にも図表が含まれるという、これまでのセンター試験では見られない形式で出題されました。実際の社会生活・日常生活の中での課題発見・解決といった、「生きる力」を養おうとする新しい学習指導要領での目的を体現しているといえるでしょう。今後は、共通テストだけにとどまらず、このような〈実社会〉との結びつきを意識した題材・出題も増えていくと考えられます。
設問でも、図表と【文章】を関連付けながら考える問題や、資料が提示されている意図・効果について考える問題も出題され、【文章】自体の正確な読解に加え、多くの資料の中から、解答の根拠となる部分を、すばやく見つけ出す必要があります。
これらの問題は、複数の文章・資料を提示することで、ものごとを「多面的・多角的」に考える姿勢や、必要な情報を迅速かつ的確に取捨選択する力が問われているといえます。問題に取り組む際には、〈何が問われているのか(問いをつかむ)〉〈問題文・資料のどこを見ればよいのか(関連性を見出す)〉〈解答に必要な情報を絞り込む(必要な要素を見抜く)〉ことを意識するとよいでしょう。

 

 

会話文の導入

(共通テスト 平成30年度試行調査 国語 第5問)

試行調査では、設問内などで、生徒たちが授業の中で文章に関する内容を話し合う場面が提示されました。会話文の導入は近年のセンター試験にも見られ、共通テストでもこの流れが発展しながら踏襲されていくと予想されます。会話文は「他者とのコミュニケーション」の様子を端的に表しているため、〈言葉を通じて伝え合う力〉〈構成・表現形式を評価する力〉を測ろうとする意図が見てとれます。
実際の問題では、シナリオに沿った会話文が提示されているだけですので、問題文全体の趣旨を踏まえたうえで、〈何が話されているのか(話題をつかむ)〉〈問題文のどこを根拠に発言しているのか(論理的に考える)〉〈会話の流れ(文脈を読む)〉を意識して読み解けばよいでしょう。基本的な文章読解の手法という点では、従来の〈文章全体の趣旨を問う問題〉を発展させた形と言えます。

 

 

●さいごに●

▼共通テストの国語のまとめ
✏複数の文章や資料などが提示され、それぞれに書かれていることを正確に把握する力だけではなく、情報を多面的・多角的に考える力、取捨選択する力も必要とされる。
✏〈生徒たちの会話〉など、基本的な読解の手法を応用した設問形式も出題される。

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